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【中国コラム】京東・ファストリ、再度の提携。〜13年前に、劉強東が柳井正から学んだもの。

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本日は、京東物流とファーストリテイリングの「国際物流デジタル化」提携に関連し、京東(JDドットコム)の創業者・劉強東が提携に込めた"想い"に踏み込み分析したコラムの抜粋をご紹介します。

(本記事は約4,000字の分量がございます)。



🔸劉強東がユニクロを取り込み、業界が震撼!

🔸2026年8月、京東・ファストリが協業を発表。

 10年前、ユニクロと京東の提携はわずか3ヶ月で、慌ただしく「別れ」を告げた。それから10年が経った今、ユニクロは世界中のオーダーを京東に託した。

 8月10日、京東物流は、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングと戦略的提携を結んだと発表した。提携対象はUNIQLO以外のブランド、GU、Theoryなどへ拡大した。

 提携内容には、全チャネルでのEC物流、グローバル物流ネットワーク、AI・デジタル化、倉庫自動化・ロボット、グリーン物流まで幅広くカバーされている。

 2015年当時に劉強東が望んでいたのは、ユニクロに京東を通じてより多く服を売ってもらうことだった。しかし、2026年の提携では、京東が柳井正に代わり、服をどの倉庫に置くのか、どこから発送するのか、在庫をどう調整するのか、そして世界中の消費者の手元にどう届けるのか、などのソリューションを担当することとなった。

京東グループCEO・劉強東

🔸10年前の提携はあっけなく解消。しかし、ユニクロ・柳井正に学んだ京東・劉強東は再び提携の機会を得た。

 劉強東は2013年にフォーチュン誌のインタビューを受け、柳井正の著書を読み、ユニクロの「コスト・効率」を重視する姿勢が強く印象に残った、と答えている。

柳井正氏の著書は多くが中国でも翻訳され売られている。

 柳井正は小さなアパレル店舗から始め、在庫回転やサプライチェーン、スケールメリットによるコスト減を積み重ね、今の世界的なアパレル企業を築き上げた。そして劉強東と京東も、同様のことに取り組んでいた。

 また、当時の京東にはもう一つ悩みがあった。

 京東は3C製品(コンピューター、通信機器、家電など)の売上に支えられており、男性ユーザーがメインだった。しかし、真の総合ECプラットフォームとなるためには、いつまでも男性ユーザーに支えてもらう訳にはいかない。女性ユーザーの取り込みが大きな課題だった。

 劉強東は、衣料品、靴・帽子、家具、化粧品などの方が粗利益が高いと考えていた。女性ユーザーの取り込みを図る京東にとって、ユニクロは理想的なパートナーだった。

 2015年4月17日、ユニクロの京東旗艦店が正式にオープンした。

 京東は、ユニクロ商品を直接京東の倉庫に保管する優遇対応を行った。

 しかしそれにも関わらず、蜜月はわずか3カ月しか続かなかった。7月にファーストリテイリングはユニクロの京東旗艦店を閉鎖した。

 ファーストリテイリングは、試験運用の結果、京東のプラットフォームと中国におけるユニクロのEC戦略が合致しなかったと説明した。

 当時、ユニクロは2009年に天猫に進出しており、2014年の「ダブル11(中国で毎年11月11日開かれる大型ECセール)」では天猫アパレルカテゴリーで売上1位を獲得していた。

 中国のアパレルECは天猫の存在感が高く、一方で京東は依然として3C製品・家電製品中心、という印象が強かった。

 その後、丸々10年間の沈黙を経て、2025年9月に京東とファーストリテイリングの再度の提携がなされた。

 今度は、2015年の旗艦店モデルという形ではなく、ミニプログラムを活用したモデルが構築された。

 消費者が京東アプリで「优衣库(ユニクロ)」と検索すると、UNIQLO公式ミニプログラムに入り、全カテゴリーの商品を購入できるようになった。そしてオーダーは京東物流に連携される。

 そして、1年も経たないうちに両社の提携はさらに一歩前進した。

🔸ユニクロの世界戦略、EC強化。

 ファーストリテイリングが物流面の提携強化を選んだのは、同社が進めている新たな世界展開と直接関係している。

 2026年8月期第3四半期の時点で、ユニクロの海外市場における売上はすでに1兆8,340億円に達し、日本市場での同期間の売上8,676億円の2倍以上の規模となっている。

 北米と欧州では、売上・利益ともに2桁成長を維持している。そして今年の3月から5月だけで北米で6店舗を新規出店。欧州でも同時期に4店舗を新規出店し、イギリスやオランダなどで店舗を拡大している。

上海市内のユニクロ店舗

 そして実店舗以外に、アパレル大手にとってオンラインでの販売がもうひとつの戦場となっている。

 ファーストリテイリングによると、2025年度のユニクロのEC売上は全体の約15%を占めた。日本では14.8%、中国大陸・香港・マカオ、韓国、北米、欧州ではいずれも20%近くに達している。

 世界のアパレル業界全体を見渡せば、EC売上はまだ伸ばす余地がある。

 ZARAの親会社Inditexは2025年度の売上が399億ユーロで、そのうちオンライン売上は107億ユーロで、前年比4.8%増となった。ECがすでに売上の4分の1以上を生み出している。

 世界のアパレルECは、単に「ネットショップがあるかどうか」を競う段階をとうに終えている。これから差がつくのは、全チャネルにおける在庫効率、配送スピード、そして返品・交換コストだ。

 衣料品の商品価値は、時間の経過に大きく左右される。消費者の手元に来るのが2日遅れたとしてもそれほど影響の大きくないスマートフォンなどとは違うのだ。例えば、夏物衣料が市場に届くのが数週間遅れれば、販売できる期間そのものが過ぎてしまう可能性がある。

 ある人気のダウンジャケットが爆発的に売れたとしても、主要なサイズがいくつか欠けてしまえば、店舗には売れ残りの在庫が大量に残る可能性がある。アパレル業界の利益は、往々にして最後まで売れ残った衣服によって失われる。

 無駄な在庫を少しでも減らせれば、数十ドルのベーシック商品一着から、もう少し利益を絞り出せるかもしれない。

 「LifeWear」を世界規模のビジネスに育て上げた柳井正にとって、物流はすでに商品の競争力そのものの一部になっているのだ。

🔸劉強東が13年間待ち続けた瞬間。

 京東が(ファーストリテイリングのような)世界規模のオーダーを引き受けることができるのは、ここ数年で物流事業を発展させてきたからだ。

 2025年、京東物流の売上は2,171億元(前年比18.8%増)に達した。そのうち「一体型サプライチェーン事業」の売上は1,162億元で、33%も増加。全売上の半分強となる53.5%を記録した。

 「一体型サプライチェーン事業」は外部企業向けのソリューションで、顧客数は9万1,200社に達した。京東物流は、初期の「京東商城の商品を配送する会社」という単一的なイメージから徐々に脱却し、在庫管理、倉庫保管、配送、リバース物流(返品物流)、システムサービスが主要な収益源になりつつある。

 2025年末時点で、京東物流は世界25カ国・地域に、保税倉庫、直送倉庫、海外倉庫を合わせて約200カ所展開しており、総面積は約200万m2に達している。海外用の貨物専用機は12機で、イギリスのスマート倉庫では数百台のロボットが保管・ピッキング作業で稼働している。

 規模的には、国内で1,600箇所を超える倉庫、3,400万m2を超える総面積との比較で、海外事業の基盤はまだ成長途上と言える。

 京東の海外における物流インフラ・設備のさらなる拡充、投資のためには、ファーストリテイリングのような巨大かつグローバルで、継続的なオーダーを持つ顧客が重要である。倉庫、仕分け、越境輸送、末端配送のネットワークに、絶えず「荷物を供給」してくれるからだ。

 2013年に京東の女性ユーザー比率がようやく50%を突破した時、劉強東は喜びつつも、頭の中は「どうすれば服や化粧品をもっと売ることができるか?」という事でいっぱいだった。

 そしてまさにその頃、柳井正の著書を読んで彼が目にしたのは、小売企業が「コストと効率」を重視し、商品をより安く販売する方法だった。

 それから13年後、両社の立ち位置には微妙な変化が生じた。ユニクロは世界的なアパレル大手となり、京東は長年にわたって巨額の資金を投じて築き上げてきた倉庫、アルゴリズム、ロボット、配送ネットワークを一つの商品としてパッケージ化し、それをユニクロに売り始めたのである。

 劉強東はかつて、「小売業は数十年にわたる長距離走だ。」と語った。京東とユニクロの間でも、実際に10年以上にわたる長いレースが繰り広げられてきた。

 そして今、劉強東はついに「コストと効率(の結晶であるソリューション)」を柳井正に売る機会を再び得た。それは、13年前まさに柳井正の著書から彼が読み取ったものであった。


🔹補記

コラムのご紹介は以上となります。

原題は「刘强东拿下优衣库,轰动行业!」で、劉強東がユニクロを取り込んだ、業界に激震!というまるで京東の方が立場が上かと思わせる刺激的なものです。

ただし、最初の提携解消から13年の間、劉強東が京東グループを率いて発展させ、今やファーストリテイリングがそのソリューションを必要とするまでに成長した、というのもまた事実なのだと思います。

そして、その努力の支えのひとつとなったのが、柳井正氏の「コストと効率」重視の考え方なのであれば、コラムにあるように劉強東にとって今回の再度の提携は待ち焦がれたものであったでしょう。

<関連の日経新聞記事>


本日は、ここまでとさせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


追記;本記事をnoteマネーにピックアップしていただきました。

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