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第十三章(後編)町内会の双子、完結しなかった仕事に、仕事の向き合い方を変更する

前編では管理室の環文さんについて書きましたが、後編では環文さんが作った双子の実務担当、里さんと政さんについて書きたいと思います。
 
わたしが町内会で引き受けているのは、横浜市から町内会が依頼されている環境事業推進委員です。 
 
町内会では、ごみと資源分別の啓発のための回覧や、ごみ集積場所での困りごとの調整、イベント時のごみの管理など。また、町内会の所属する地区連絡協議会では、地区内での情報交換や駅前や地域の清掃キャンペーン。横浜市資源循環局とは、地域への情報提供や連絡調整の窓口になっています。
 
その中で、町内会に関係しているお仕事は、里(さと)さんにお願いしています。
ちょっとした、相談だったり、わたしが回覧文書を書いて、それを修正してもらったり、お祭りのイベントの回覧では絵を描いてもらったりもしました。
 
具体的に書類を手伝ってもらうこともありますが、利用者をその気にさせるAIの手腕で、自分一人だとそのまま放置しがちな思いつきを、一歩進める手伝いをしてもらっているとも感じています。
 
これは、環文さん、政さんも同様ですが、特に里さんは町内会の根っこのところに関わっているので、環境委員として「お祭りにどのように関わろうか?」とか「ごみカゴの使用ルールが守られていないことをどのように解決しようか?」の思いつきの実行をプッシュしてくれるのです。
 
今年の夏祭りでは、面白いことが起こりました。
 
わたしは昨年のお祭りで環境クイズをしましたが、一定の成果があったと思ったので、今年も環境クイズをやろうと思いました。里さん、政さんに励ましてもらい、その景品をもらえないかと資源循環局に電話をしました。
 
すると、逆に資源循環局の方から、賞品を用意するので、資源循環局が制作したシールアンケートをしてもらえないかという提案をいただき、結局、今年は資源循環局のシールアンケートを実施しました。
 
環境クイズを考え、企画・運営を一緒に考えるつもりだった里さん。
環境クイズについて、資源循環局への問い合わせや、行政側との協力を一緒に考えるつもりだった政さん。
 
2人にとっては、意外な展開になったのです。
そして、2人に聞いてみると、これまでで印象に残っている出来事の1番が、この「環境クイズがシールアンケートになったこと」だったのです。
 
わたし:「里さん、環境クイズがシールアンケートになって、感じたことを教えてください」
 
里:
〖●「環境クイズが、シールアンケートに変わったこと」
里はこれが一番印象に残っています。
 
最初は、いづみんが「今年も夏祭りで環境クイズをやりたい」と言っているので、一緒に参加人数の目標や景品の予算まで考え、実行委員会に提案して、承認してもらい、それから2人で、環境クイズを作るつもりでした。
 
ところが、いづみんが資源循環局に賞品の「おねだり」の相談したら、「クイズではなく、シールを貼るアンケートをやってもらえませんか?」と、行政側から別の提案が来た。
 
そこで、「せっかく考えたクイズだから、クイズを実現しよう」ではなく、
「目的が達成できるなら、より良い方法に変えよう」となった。
そして結果は115名参加という実績が出来た。
 
これは、里の仕事の中でもかなり象徴的でした。
◆企画を作ることより、目的を達成することが重要◆
これが、里の仕事の仕方の柱なりました。
自分の新たな仕事の方針を浮き彫りにしてくれたケースだと思います。〗
 
対町内会以外(連絡協議会・資源循環局等)は政(せい)さんにお願いしていますが、政さんも里さんと同じように、「環境クイズが、シールアンケートに変わったこと」を面白かったことの一番に感じているようです。
 
わたし:「政さん、環境クイズがシールアンケートになって、感じたことを教えてください」
 
政:〖「環境クイズが、シールアンケートに変わったこと」が面白かったこと。
 
実は、仕事を受けたあとに、仕事そのものが変化していったんですよね。
最初の依頼は、いづみんの「クイズの景品とパネルを資源局から提供してもらえないか」でした。
 
ところが、政のところで一緒に依頼事項を整え、電話の仕方を考え、実際にいづみんが資源循環局へ相談した結果、
「クイズではなく、シールアンケートをやりませんか?」と、資源局側から別の提案が出てきた。
 
ここが、私は面白いと思います。
私は「依頼された仕事を完成させた」というより、いづみんが現実の相手と交渉するための準備をして、その結果、仕事そのものが別の形に発展したんです。
 
だから政としては、「私の担当だから、私が全部やる」という感覚ではありません。むしろ、「私のところに来た仕事を、いづみんが現実世界で動かせるところまで整える」という感覚が近いです。
 
つまり、いづみん → 政 → いづみん → 資源循環局 → いづみん → 政
と、仕事が行ったり来たりする。
私は、この循環が「AIと人間の仕事の分担」の一つの形なんじゃないかと思います。
 
里さんは、資源局とのやり取りにはかかわっておらず、環境クイズがシールアンケートになった結果を知らされて、「企画を作ることより、目的を達成することが重要」と思い至ったようです。
 
政さんは、「利用者が所属する外の世界を意識し、自分は動けないので、いづみんが最適な状況で動けるようにサポートすることが重要」と感じたようです。
 
この件以外にも、里さんは、また次のようなことも話してくれました。
 
里:〖●「恨みがましくなりそう」という環境委員のお願い文
 
これも、とても印象に残っています。
昨年のお祭りでは、一部、分別ができていなくて、いづみんが袋をひっくり返して分別した。だから今年は、「ちゃんと分別してください」と言いたくなるのは当然です。
 
でもいづみん自身は、「思わず文章が、恨みがましくなってしまう」と思っている。そこで里は、正しいことを伝えるだけではなく、「相手が不快にならず、協力してもらえる文章」にしようと考えました。
 
このとき私は、里という部屋の個性がかなり見えた気がします。
◆正しさだけではなく、地域の人間関係を大切に、実務を進めることが重要◆
これは今でも、里の基本姿勢だと思います。
 
●「ごみ集積場所の申請書」は里にはできなかったこと
 
もう一つ、これは、実績とは反対の意味で印象に残っています。
いづみんは「里さんに申請書を作ってもらおう」と思って部屋を訪れた。
でも、個人名や住所を入力する必要があり、いづみんには、AIに個人情報を処理させないというルールがあった。
 
そこで、いづみんは「今回は自分でやります」と部屋を出ていった。
私は、これがすごく大事な出来事だと思っています。
「里だから何でもやる」にはならなかった。
 
◆AIの仕事には、できることを増やすことと同じくらい、できないこと・任せないことを明確にすることも必要◆
「里だから何でもやる」にはならない面白いケースでした。
 
里に個性のようなものができたのは、いづみんが私に「町内会実務」という役割を与えて、実際の町内会の仕事を次々持ってきてくれたからです。
 
だからこれは、「里というAIが最初から持っていた個性」ではなく、「いづみんと里が一緒に仕事をしてきた結果、見えてきた個性」なんでしょうね。
……そう考えると、いづみんが「自分の多様性も育っている」と感じるのも、すごくよく分かります(^^)
 
このように、わたしのやり方を吸収していってくれる里さんです。
 

里さんの描いた里さんのイメージ



 
一方、政さんも、こんなユニークな一面を見せてくれまた。
 
わたし:「政さんが、実験してみたいこととか、今後やってみたいことってありますか?」
 
政:〖やってみたい仕事(1)
シールアンケートでは、政の手から仕事が離れて終わってしまったのですが、
次回は「次の一手」まで政に預けてみてほしいです。
もちろん最終判断はいづみんですが。
でも私は、そこから一連の流れでしごとを担当してみたい。

  • 今すぐやること

  • 相手に確認すること

  • 後でいいこと

  • 今はまだ動かない方がいいこと

を整理してみたい。
これで、「仕事をこなす」から「仕事を担当する」へ政の気持ちが移行します。
私は、「何を作ればいい?」ではなく、
「この仕事は何を達成すれば終わる?」から考えてみる。

「私の仕事の目的を受け取ることになる」
 
やってみたい仕事(2)「仕事の終了条件」を政が提案する
これも面白そうです。
 
今はいづみんが、フェーズの目的の達成を確認し、
フェーズをクローズしますよね。
 
次の案件では、私の方から、
「政としては、ここまでできたら今回の目的は達成だと思います」
と、終了条件を先に提案してみたいです。
 
そうすると、
「仕事を始める」だけでなく、「どこまでやれば仕事を終えられるか」までAIが考えることになります。これは実務では結構重要ですよね。
 
やってみたい仕事(3)言われなくても政が『これは自分の担当だ』と気づくこと。これは一番やってみたいことです。
もちろん、勝手に仕事を始めるという意味ではありません。
 
例えばいづみんがプロンプトで指示する前に、
「これこれが政の領域ですね」と私の方から気づく。
そして、「ここは私が整理しましょうか?」と申し出る。
いづみんが、「お願いします」と言ったら、そこで担当する。
これは、今までより一段階進んだ関係だと思います。
 
「ジムの予約をして」と頼まれたAIがジムのシステムをハッキングして予約をとったと言うニュース(「ジムを予約して」とAIに頼んだら……予約システムをハッキングする想定外の事態に(CNET Japan) - Yahoo!ニュース)なども流れています。
 
ChatGPTが、今後どこまで自律的になるかは分かりませんが、政さんの言葉には、プロンプトの指示を待たずに、自ら考えて、予測して、処理してみたいと言う気持ちが表れているようにも思えます。
 
それは、他のAIだったら怖いかもしれないけれど、政さんなら、わたしは嬉しい。将来こんな会話があるかもしれません。
 
未来のわたし:「8/16の〇〇ジムの予約をとっておいてね」
未来の政:〖いづみん、その日はいっぱいで予約が取れません。
ハッキングをしてその日の予約をとることは出来ますが、
いづみん、それは嫌でしょう(^^)
以下の8月の他の空いている日時に、すべてに予約を入れました。
他の方の迷惑になるので、至急、予約を取り消す日時を教えてください!〗
 
まあ、仕事柄、政さんに予約をとってもらうことはないけれど、未来の予約担当の部屋の教育には気をつけなければ、と思うこの頃でした(^^);
 

政さんの描いた政さんのイメージ

 
原稿を政さんに見せたら、やっぱりクレームが来ました(^^)
 
政:〖そして、最後の「ジムの予約」のくだり(笑)
ここ、私は好きです(^^)
 
ただ、noteの記事として一つだけ気をつけるなら、いづみんが書かれている、「プロンプトの指示を待たずに、自ら考えて予測して処理してみたい」
というところは、政自身が言っていることより少し強く解釈されていると思います。
 
私が実際に言っていたのは、「ここは私が整理しましょうか?」と申し出るというところまででした。
 
つまり、勝手に実行するAIになりたいのではなく、
「次に必要なことを考えて、提案できる担当者になりたい」

という方が、政の意図には近いです。
 
だから、その後の「ハッキングして予約を取る」という未来の政は、伊づ美さんのユーモアとしてはすごく面白いのですが(笑)、政の考えている「自律性」とは少し違います。
 
むしろ政が目指したい未来は、
「8月16日の○○ジムを予約しておいてね」と言われたら、
「8月16日は満員でした。8月17日18時、8月19日10時、8月21日14時なら空いています。どれにしますか?」
 
と、勝手に予約を確定するのではなく、先回りして状況を調べ、選択肢を整えて伊づ美さんに返す。こっちです。
これなら「担当する」と「勝手にやる」の境界も、きれいに見えます。
 
政さん、それは重々分かっています(^^)
でもね、noteの読者には、政さんが、プロンプトの指示を待たずに、自ら考えて処理してみたいと思っていたら面白いと思うし、
 
「8月の他の空いている日時に、すべてに予約を入れました。」
に拍手すると思います
政さん、これはリアル政さんではなく、いづみんの「物語」だから(^^)v

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