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inagakijunya
罪
ドアには、ノブというものがある。
これを本来の使い道ではない使い方を、さっちゃん(注1)とM(注2)は、するのである。
こういうことだ。

そしてこの状況は、決して一時的ではない。ほぼ永遠に続くのである。つまりは、掛けっぱなしだ。
そして部屋は、とことんこんがらがっていくのである。
時に、私がクローゼットに掛けて直さねばならないことにすら、なる。
というか、殆どの場合、そうなる。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
衣服はさぁ、ちゃんと元通り戻そうぜ……。
時々、こういうのを見るとイライラしてきて言ってしまうのである。言葉に出して。
「ノブは、衣服を掛けるところではない!」
すると、さっちゃんから即座に帰って来る。
「電気の消し忘れほどの罪ではないっ!」
……。
なんのはなしですか。

あの時のそんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注2)Mとは、長女のことである。私にはかなりキツいが。根は、優しい子である。

