安全祈願
三志朗(注1)が我が家に来て、暫くして。その当時、プロジェクトで都心のホテルに泊まり込んでいたさっちゃん(注2)がようやく帰宅してきて。私はちょうど夏休みだったので、安全祈願に行こうということになった。
我が家から一番近くて、車の安全祈願が気軽に出来るところは、高幡不動尊である。
そこに、さっちゃんが帰宅してきて早々、出かけて祈祷をしてもらった。

さっちゃんは、決して信心深くはないがそういうことには、気がつく。
私ひとり納車早々行っても良かったのだが、毎日の通勤で使うのはさっちゃんなので、さっちゃんがいなくてはならないと私自身が思い、さっちゃんが帰宅するまで待っていたのである。
さっちゃんは、さも、私が忘れていたであろうような言い方をする。
「私が言い出さなきゃ、コジくん、気付かなかったでしょ?」
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、ここは黙って、そうだねと言って、いなせ。
そ、うだね……。
さっちゃんは、図に乗るタイプでもある。
「ほら。持ちつ持たれつでしょ」
そ、うだね……。
なんのはなしですか。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
コジくん、祈祷してもらって、なんだかスッキリしたから、マッサー(注3)頼んまっさー!
マッサージをすると家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)我が家の車には、三志朗という名前がついている。燃費もまずまず良く足回りも軽やかで、最高の相棒なのである。
(注2)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注3)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。

