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荒技ショートショート_ 布告

熱帯夜。聞くだけで暑くなる。

昔は、クーラーを消して窓を開け、扇風機を当てて寝ていた。時には氷枕などを使い、寝入りばなを気持ちよく過ごすことも含めて、色んな工夫をしつつ過ごしていた。

あの頃が今や、懐かしい。

ところが今や、クーラーをつけっぱなしで寝ないと熱中症になる。時に、命に関わる。

かくいう今も、クーラーをつけていた。西東京の高校野球の決勝も、涼しい部屋から仕事しながら観戦していた。


夏。緊張の夏。熱中症にならないようにと、あれやこれやの工夫を凝らす夏。

既に暦の上では晩夏から秋なのだが。まだまだ残暑は続くようだ。


そんな日曜日の夕方に、またもや、荒技をやってしまった。


さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。

「熱帯夜」からはじめるnoteを自由に書いてみませんか?

ジャンルは小説・詩歌・エッセイなど何でもOK。はじめてnoteを書く人も自己紹介の代わりとしてお気軽に!と、いうことで。


そして、田原にかさんからのお題は…。

お題が【じゃない不倫】ということで。


また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は…。

今回のお題は、「傷口と痛み」(あるいは「間主観性」)です、とのことで。


今回は、これを文中で使ってみよう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

コジ、「荒技師あらわざし」だなんて、あんまりおおっぴらに言わないほうがいいよ。


うむ……。そうだな。



3人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。ほんとうに励みになる。

また、今回は、山本蛇内さんのシロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として書いてみる。

「シロクマ文芸部・熱帯夜」で検索して飛んで来ました。

コメント欄に、シロクマ感想文を、ほんの少し書かせて頂きます。


ノリのいい流れに、本当に暑さが飛んでいきそうな感覚になりました。

本当に、この暑さ、宇宙の果てに飛ばして消し去りたいくらいですね。夏は暑いと言いますが。ここまで暑いと、何のやる気も起こりません。

もう少し穏やかな暑さで、勘弁してもらえないでしょうかね。無理なんでしょうね。笑

今、生きていられることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉(シロクマ文芸部)と、たらはかにさんの表のお題(毎週ショートショートnote)、そして山根あきらさんのお題(青ブラ文学部)3ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文と、全部で4重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。

そうだ、今週は4重の荒技だ。


うむ。


これで何週間だろうか。とうとう3年8ヶ月に突入した。


まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、つぶやいた。

まるで、悪ガキそのものだな。


まあな。


なんのはなしですか。

荒技、まだやってるのか…って、はぁ…まぁ…


さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「ショートショート_ 布告」約410字を、どうぞ。


熱帯夜が続く7月末。財前は母校での講演に出かけた。

時計台前を抜けて本部棟中庭のベンチに腰掛けていると、赤いワンピースの女性が近づいてきた。

講義を始める直前、職員に導かれて最前列の招待席に座った人物だ。

彼女は名刺を差し出した。

「ハイデルベルク大学医学部教授
医学博士
ナハト・ラーベ」


財前は苦笑して言った。

「ドイツ語で最初に覚えたのは“Wer nicht arbeitet, soll auch nicht essen”です。恥ずかしながら」


彼女は冷笑を浮かべ、財前の耳元に口を寄せて囁いた。

「Salz in die Wunde streuen」



泉が怪我を負ったのは、つい昨日のことである。

彼女は財前から一歩ずつ身を引いて、微笑みながら流暢な日本語で語った。

「傷口と痛み。本人の痛みはわかりませんものね」



財前は呟くように返した。

「間主観性…」



「お大事にとお伝えください」

踵を返し、彼女はゆっくりと歩き去った。



気付けば時計台は、宵闇に包まれていた。


《余滴》

さて。今週の荒技の解説です。特に、田原にかさんの「毎週ショートショートnote」のお題の。

ショートショートnoteカードゲームでは、お題の言葉そのものを入れ込まないで匂わせるのを流儀としています。私としては。

小牧幸助さんの書き出しのお題や、山根あきらさんの青ブラ文学部のお題、私が水曜日に書いている「三題噺」の三つのお題は、その言葉そのものをストレートに文章やタイトルに入れ込むのですが、田原にかさんのお題は、言葉そのものは入れ込まず、“匂わせる”という流儀に沿い、なるべくそうしていっている“つもり”なんです。

しかし一方で、私のこの「荒技」に、お題そのものを探し続ける方もいらっしゃいまして。

ですので、今回も少しだけ解説を。

もちろん苦情は受け付けません。これこそが「荒技」ですから。笑


◆田原にかさんのお題【じゃない不倫】の匂わせ度について→

お題そのものは作品中には登場しません。

ですが、作品全体を通して、お題のイメージを表現してみました。

物語の中で「布告」は、大勢に向けて発せられるものではなく、たった一人の耳元で静かに囁かれます。

設定としては妖艶な知的美女が、財前に超接近している。周りから見れば、これって不倫?而してその実は、全くそうではないってところです。笑


◆山根あきらさんのお題=【傷口と痛み】と【間主観性】について。

今回は、ドイツ語を物語の鍵にしました。

財前が口にした

「Wer nicht arbeitet, soll auch nicht essen.」は、「働かざる者、食うべからず」という意味のことわざです。財前ほどの人が、この諺を最初にドイツ語として覚えるなんてことは、なかろうとは思いますが。

一方、ナハト・ラーベが返した「Salz in die Wunde streuen.」は、「傷口に塩を擦り込む」。

日本語の「傷口に塩を塗る」と、ほぼ同じ意味の慣用句です。

泉が怪我を負った直後だからこそ、この言葉は単なることわざではなく、

「その傷のことは、もう知っていますよ」という、静かな布告にもなっています。



今回は、時計台を使って時間の流れと、財前の心境の変化を表現してみました。

財前は、何が起ころうと慌てふためくことはありません。

冒頭では夕方の大学。そして最後には、同じ時計台が宵闇に包まれています。

風景は同じでも、見えている世界は、ガラッと違っているのかもしれません。




今回のタイトルは、「布告」です。

新たな登場人物、ナハト・ラーベ。彼女は果たして敵なのか、味方なのか。それはまだ内緒です。笑笑


また今回の作品は、『怪談』『裏稼業』『家紋』に続く、『荒技』世界の新たな登場人物紹介でもあります。

これから少しずつ、この人物の正体も明らかになっていくことでしょう。たぶん。



今日のお節介な解説はここまでです。

何ですと?

ナハト・ラーベという名前にも意味があるのかって?もちろんあります。でも、そこを書いてしまったら、荒技になりません。笑笑笑


ちなみに今回のカバー画像は、「大学 時計台」で検索して選びました。




それにしても荒技。毎週毎週、本当に頭と時間を使います。

ですが、まあ、続けられるだけ続けてみます。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。

「コジくん、今日は疲れたから、マッサー(注1)ちゃんとしてね。忘れずにね。VIVANTなんて、今見なくても撮ってるからいつでも見れるからね。」


「…」


マッサージをすると、家内は上機嫌である。


家内が上機嫌だと、我が家は平和である。


だから。



これで、いいのだ。

また来週、荒技チャレンジしようぜ!


(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。


荒技チャレンジ、時間と頭をめちゃくちゃ使うって、話


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