逆捨離
逆捨離なんて言葉、無いのだが勝手に私が考えた。
さっちゃん(注1)とM(注2)のことである。
でもどちらかというと、さっちゃんの方がその程度がかなりひどい。
ものを捨てないのである。
まずは、キッチンである。
キッチンでは、当然ゴミ箱がある。シンクの直ぐ後ろにある。分別して入れられるように並べてある。後ろを振り向くと直ぐに開けられる。
ところが、買ってきた弁当のパッケージは、剥がしたらそのまま、シンクの横に放り出してある。

それを私が、ゴミ箱に入れる。
その度に、独り言ちる。
「その手でゴミ箱に入れりゃいいのに」
次に、紙袋である。どんな紙袋も、大きいのも小さいのも、絶対に捨てない。必ず部屋の隅に置いてある。
時々、大きな紙袋に無造作にまとめて入れられている。
一年に一度。年末の大掃除の時に私が痺れを切らして言う。
「この紙袋、半分にして!」
さっちゃんは、ぶりぶり言いながら整理したように見せかけ。いいとこ、7分の6くらいには圧縮する。
時々、私が捨てるのである。誰も起きていない週末の早朝に。
そうして辛うじて、バランスをとっている。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジがいなきゃ、我が家は、ゴミ屋敷だな。笑
笑い事じゃないんだよ、ほんと。
さっちゃんがいつも、言う。
「私のは、お金がかからない。コジくんの電気消し忘れは、お金の無駄っ!」
……。
なんのはなしですか。

あの時のそんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注2)Mとは、長女のことである。私にはかなりキツいが。根は、優しい子である。

