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tender_gnu736
リス
私は、リスのようである。
こんなことを言っても、何のことだかわからないだろう。
リスは、とっても忘れっぽいらしい。そこが、私と似ているのだ。
リスは、冬に入る前、木の実などのたくさんの食べ物を拾い、頬張り、色んなところに隠して備蓄していく。
ところが隠したところを忘れてしまって、結構探すのだという。
恐らく、ここら辺に埋めたぞ、隠したぞ、とか独り言を言いつつ、探し回るのだ。
そして、漸くにして、見つけていく。
私は、夏物、冬物を、衣替えともなく、ちょっとしたところに固めて置いておく。
季節は過ぎる。そして、それを忘れてしまう。
この冬、お気に入りの指ぬき手袋が見つからず、とうとうAmazonで購入してしまった。

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、リスは、でも、森の再生に役に立ってるんじゃなかったっけ?
そうなのだ。
リスは、こうしていくつかの隠した木の実の在処を忘れてしまう。
だが、そのお陰でその木の実は芽吹き、新たな世代の木として育ち、バランス良く森を再生するのに役立っているのだという。
私の忘れっぽさは、ただ、家内を怒らせる材料にしかならぬ。
なんのはなしですか。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、その新しい手袋、結構するよね。値段。罰としてマッサー(注2)倍返しね」
やっぱりね……。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。


