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paprika_hn
花
さっちゃん(注1)は時折、仕事のプロジェクトで都心に出て。時には缶詰になってホテル生活になる。
日比谷公園の近くに行くことが多く。帝国ホテルにも近くて、立ち寄ることがある。
さっちゃんがいつも感心するのは、帝国ホテルのロビーに飾られた花である。

「やっぱり凄いわ」
これがさっちゃんの口癖で。見かけたら感動し、ラインに写真を入れてくる。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
帝国ホテルなんて、ランチを食べるだけでも恐れ多いよな……。
まさに。
さっちゃんによると、花を見ると心が洗われるらしい。見るだけで。だからこそ、何の立ち寄る要件もなくても、花を見に立ち寄るのだそうだ。
「我が家のせせこましさを、一瞬でも忘れられる」
らしい。
なんのはなしですか。

理不尽な物言いを問い詰めようかとソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、コジくんには、マッサー(注2)があるじゃん。素晴らしいよ。そのゴッドハンド。今夜も遺憾なく働かせて。倍返しで。
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注2)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。

