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【ポルトガル生活】いつもの散歩道で、豊かさについて考えた。

いつもの散歩道を歩きながら、最近よく考えることがある。

豊かさって、なんだろう。


カモメが羽ばたく、ドン・ルイス1世橋

今日もまず、ドン・ルイス1世橋の上層へ。

何度歩いても、この橋の上に立つと少しだけ背筋が伸びる。柵から身を乗り出して下を覗くと、ドウロ川がゆったりと流れている。右岸にはポルトの旧市街、左岸にはガイア地区。両岸にオレンジ色の屋根がびっしり並んでいて、その間を船がゆっくり行き交っている。

頭上をカモメが一羽、滑るように横切っていった。

ここの景色は、いつ来ても飽きない。同じ場所に立っているはずなのに、光の角度が違うだけで、まったく違う街に見える。


モーロ庭園、全てを見渡す場所

橋を渡った先の高台、モーロ庭園。

ここに来ると、つい立ち止まってしまう。眼下にドウロ川が大きく弧を描いて流れていて、対岸にはポルトの旧市街がぎゅっと詰まっている。人々が芝生に座ってのんびりしていたり、カモメが地面をてくてく歩いていたり。

全部が見える。川も、街も、橋も、空も。

この景色を見ていると、なぜか少しだけ気持ちが整理される。自分が抱えているものが、ほんの少しだけ軽くなるような感覚がある。


猫がいる通り

坂を下っていく途中に、いつも猫がいる通りがある。

石造りの壁の隙間から、ひょこっと顔を出してくる。こちらをじっと見て、気が向いたらすり寄ってくる。人間の都合なんて知ったことじゃない、という顔がいい。

今日もいた。妻がしゃがんで手を差し出すと、のっそりとやってきて、頭をぐりぐり押しつけてきた。

猫は何も考えていないように見えて、たぶん何も考えていない。ただそこにいて、気持ちのいい場所で、気持ちのいい時間を過ごしている。それだけで、十分そうだった。


対岸から眺める

ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区から、反対側のポルト旧市街を眺める。

いつもは向こう側から見ている景色を、逆から見る。同じ街なのに、ちょっと新鮮に見える。暮らしていると感覚が麻痺してくることがあるけれど、視点を変えるだけでまた見えるものが変わる。当たり前のことなのに、忘れがちだ。


いつもと違う道へ

今日は少しだけ冒険して、いつもとは違う道を歩いてみた。

路地を抜けると、両端に古い家が並んでいる。窓から洗濯物が垂れていて、観光客の姿はあまりない。ここには、住んでいる人たちの暮らしがそのまま見える。

その景色の先に、対岸の街が覗いている。ポルトにはこういう場所がいくつもある。何気ない路地の向こうに、ふっと視界が抜ける瞬間。

道角にうさぎのストリートアートがあった。有名なアーティストの作品だろうか。ポルトの街の壁には、あちこちに落書きや絵が描かれている。歩くたびに目に入ってきて、感性を刺激される。


ドウロ川を見ながら、最近のこと

川沿いのベンチに腰を下ろして、妻と話した。

最近は、お互いに考えていることがある。日本に帰ったら何をしようか。どんな暮らしがしたいか。今の生活をどう次につなげていくか。具体的な話もあれば、まだ形になっていない漠然とした思いもある。

ドウロ川を見ながら、ぽつりぽつりと言葉を交わす。結論が出るわけではない。でも、こうやって隣に座って、同じ景色を見ながら話せる時間があること自体が、たぶん大事なことなんだと思う。


SANDEMANと、カモメ

川沿いを歩いていると、SANDEMANの建物が見えてきた。ポートワインの老舗で、黒いマントと帽子のシルエットがトレードマーク。屋上の看板に、あのおなじみのシルエットが立っている。

ちょうどその横を、カモメが一羽、すうっと横切っていった。

黒いマントの紳士と、白いカモメ。なんだか絵になる瞬間だった。こういう偶然の一瞬を写真に残せると、なんだか不思議と満たされた気分になる。


帰り道の急な階段

帰り道は、いつもの急な階段。

ポルトの階段は、まあまあ容赦がない。息が上がって、太ももが悲鳴をあげる。でも、途中で振り返ると、さっきまでいた川沿いの景色が一望できる。

足が止まる。しんどいけど、ここからの景色もまた、いい。

階段の途中にカフェがあった。テラス席からの眺めがよさそうだ。「今度、朝早く起きてここに来ようよ」と妻に言った。まだ観光客が少ない時間に、この景色をコーヒーと一緒に味わったら、たぶん最高だ。


豊かさとは

最近、「日本に帰ったら何をしよう」と考えることが多くなった。

帰国が近づいているわけではないけれど、ポルトでの暮らしが長くなるにつれて、「この先」のことを自然と考えるようになった。

豊かさとは何か。

正直に言えば、最初に浮かんでくるのは、おいしい食べ物を食べること、新しい場所に行くこと、まだ知らない何かに触れること。刺激があって、ワクワクする体験。それも確かに豊かさの一部だと思う。

でも、今日みたいな散歩をしていると、もう少し違うものが見えてくる。

好きな人と、おだやかに、のんびりと暮らせる余裕。それが、自分にとっての本当の豊かさなのかもしれない。

今は仕事を辞めてキャリアブレイク中で、時間だけは十分にある。でも、余裕があるかと聞かれると、素直にうんとは言えない。将来のこと、お金のこと、キャリアのこと。頭の片隅に常に何かがある。

時間があることと、余裕があることは、違う。

二人で過ごす時間が増えたことで、お互いに考えていること、悩んでいることが前より見えるようになった——かと思えば、近くにいるからこそ逆に見えなくなる時もある。言葉にできる日もあれば、うまく出てこない日もある。それでも、同じ方向を探そうとしている、という感覚だけは確かにある。

「自分たちにとっての豊かさ」を、一人で見つけるんじゃなくて、二人で見つけていけたら嬉しい。そう思えたこと自体が、今日の散歩の収穫だったかもしれない。

少なくとも今日は、いつもの散歩道を歩いて、猫と遊んで、妻と川を眺めながら話ができた。それは間違いなく、豊かな時間だった。

この先の暮らしの中で、こういう時間をちゃんと持てるようにしていきたい。そのために何ができるか、少しずつ、二人で考えていこうと思う。

答えはまだ出ていない。でも、考え続けること自体に、きっと意味がある。

LIVE YOUR LIFE. ——自分たちの人生を、自分たちで生きる。

そんな当たり前のことを、いつもの散歩道が思い出させてくれた。


今日歩いた景色を、動画にまとめました。
「LIVE YOUR LIFE」


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