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よんだ「近代日本少年少女感情史考 -けなげさの系譜 -」北田耕也 著(1999)

北田耕也(1928 - )社会教育学の研究者

第1章 夜明け前の闇
第2章 懐かしき家郷と立身出世の夢
第3章 天皇制国家とナショナリズムの情念
第4章 幼き美神
第5章 けなげな命
第6章 お国のために

自分が少年だった頃の感情とはどのようなものだったか。
「気持ち」を分かってもらえないことの寂しさ・苛立ちが
大きかったかもしれない。
(大人になってから、インナーチャイルドを癒すしかない。)
子の、大人との関わりで、特に「母親」の比重が重い社会なのであれば、
母親の人間的レベルが、子の自我形成に影響する。
ここから人間社会に適応すべく自分を引き上げていかなければならない。
人生のハンディは、母親の資質にかかっている。マイナスは勿論ある。
この本の内容とは関係なく、個人的な話を書いた。

本書は、近代日本の歴史の影響を受け、子どもの感情の世界はいかようであったか。その世界は、受動的であり許容的である、という話。

癒やされる話と、しんどい話があるので、癒やされる話から残したい。
(読書とは、誠にしんどい行為ですね。読んだ本を言語化する事も。)

後半、第4章『幼き美神』の章は癒やされる。
北原白秋の童謡、児童自由詩運動の頃(大正時代)の、当時の子どもの詩が綴られる。

「風」
ガッカウカラカヘルト
カゼトムギトフタリデ
カケクラシテヰマシタ。
 
(学校から帰ると 風と麦と二人で 駆けっこしていました。)

第1節 美神を引き出す P. 152

「節穴」
節穴から
すうっと
月の光がしのびこみ
口をあけて
なめてみた。                              

第1節 美神を引き出す P. 155

さて、日本の中世は多産多死社会なので、
子どもの生死に敏感ではなかったのではないかと推測されている。
(子どもの感情についても同様かと思われる。)
そして、江戸時代。武士の事は今回記載を保留にさせてもらい、
大多数の方の農民の子は、寺子屋で何を学んだか。

元禄時代の「寺子屋制訓」がありますが、ここで説いている教えの本質は、堪忍すること・・・封建制度の重圧に押しつぶされないで生きていくことができる、そういう芯の強い人間を作ろうとする意図が現れている

第1章 夜明け前の闇 P. 33

封建制度に対する抵抗として、
(直接的な抵抗は出来ないとしても)負けずに生きていく、という信念。
この姿勢は現代でも、内面に抱きたい思いですが。

明治はじめは、江戸の延長として、
家や村を懐かしみ、母親をかけがえのないものとして慕う心情。
しかし、国民国家の形成や産業の近代化が
感情の変化を起こしていく。

「立身」という言葉は、世俗的な出世を意味していなかったが、
拝金主義も加わり、「国家に奉仕する」という意味にすり替わっていく。

夏目漱石は、「現代日本の開花」という講演の中で、この開花は、生活の程度が高くなったという意味で、生存の苦痛が柔らげられたというわけではない、と言い、昔よりかえって苦しくなっているかもしれない、昔は死ぬか生きるかのために争った。今はむしろ、生きるか生きるか、という競争になってしまった。

第2章 懐かしき家郷と立身出世の夢 P. 101, 102

(石川)啄木は、明治四〇年に、盛岡中学の校友会雑誌に載せた「林中書」で「富国強兵」は文明の目的ではない、と言い・・・鉄道や電車や電信電話の便利さはただ生活上の便利に止って、一点の便利をも人生の真趣に貢献しておらぬ・・・昔の人より今の人の方が懶惰(らいだ:不活発)になったのは、畢竟(ひっきょう:絶対)この偽文明のせいだ。

第2章 懐かしき家郷と立身出世の夢 P. 102

著者は、『何か現代のわれわれのことを言っているようですね。』と。

すこし、この本から離れますが、
20世紀末からでしたか、新しい歴史教科書をつくる会というグループが発足し、自虐史観を改める、という事だったかと。
大東亜戦後(太平洋戦後)の教育は、アメリカ国の意図で、戦意を削るべく教科書に手を加える事で、脳の外科手術が行なわれ、それが今も継続しているものと思われます。それに反対する行動は、もっともな事かと思うのが自然かもしれません。
しかし、そもそも、明治国家の教育が、戦闘人間をつくるものなのだと思われ、明治時代以来、日本人が受けてきた「教育というもの」は、
日本国家の「駒」となるべく洗脳されるプログラムであるか、
大東亜戦後のアメリカ国のプログラムに従ったロボトミー洗脳の、
いずれにしろ、強制的なものである。
そもそも「教育」ということ自体、
キリスト教徒のある人間が、「よそ者」の脳を変革しようとはじめた政策、
と言える。

勉強なんかしたくはないが、
裏の意図がある「教育」に抵抗するには、独学するしかない。
そうしないと騙されて、お金を巻き上げられて、
挙句には命も回収されることになると思う。

どういった意図があって、世の中の「行為」がなされているのか。
なぜ、テレビは「偏った報道」ばかりするのか。
なぜ、ワクチンを推奨したのか。
なぜ。

本の最終章(第6章)は、「お国のために」。

今に神風が吹いて米軍の軍事力を根こそぎやっつけるだろう、神国日本に奇跡が起こらないはずはない。これは戦前日本の教育が少年少女たちの心の中に植え付けた観念です。

第6章 お国のために  P. 269

人は、自分が、まさか洗脳されているなんて考えない。
この世に生まれて、親や社会とかかわるうちに既に洗脳されているのだと思う。自分の親が、すでに洗脳されていると考えるべきだ。
自分独りで考えられた「考え」なんてほとんど無いと思う。
誰かの「考え」をミックス、編集し、自分の腹に落としたものを
「自分の考え」と思い込んでいるのに過ぎない。
私が書いている「この文章」も、同様。
ある考えと、ある考えを、くっつけているのに過ぎない。
自分自身が創造した「高尚な考え」なんか無い。

ただただ抑圧されず強制されず、なるべく自然の感情で生きていきたい。

本のタイトル「近代日本 少年少女感情史考 -けなげさの系譜-」、
これを見て、多くの人は、この本を読もうとは思わないのではないか。
松岡正剛さんの千夜千冊:1057夜で紹介された本。
いろいろ考えさせていただいた。