ちょいよみ 2026 03 03
・ 『蕃書調所の研究』 SNSI副島国家戦略研究所(成甲 2016)
ー 明治を創った幕府の天才たち ー
【千夜千冊・以外】 61 / 317 頁
幕末に日本を揺るがせた尊王攘夷は、
明治維新が成功すると瞬く間に消滅し開国和親となった。
陽明学が「尊王」と「攘夷」を結びつけた。
しかも、その陽明学はキリスト教と親和性があった。
私は、田沼意次時代に頓挫した開国和親の勢力が、
その本当の目的である開国和親を隠し、
尊王の旗の下に攘夷の長州と同盟を結んだことが
尊王攘夷運動(=薩長同盟)の本質であったと考える。
大英帝国の属国としての日本を受け入れた元攘夷論者たちだけが、
明治の元勲として、永く生きながらえた人たちであった。
・ 『異界を旅する能』 安田登 著(ちくま文庫 2011)
ー ワキという存在 ー
【千夜千冊・1176夜(意表篇)】 69 / 269 頁
昨日読んでいた『隠された歴史』でも三島由紀夫氏の『豊饒の海』
四部作に触れていた。三島は魂の輪廻転生を明確に否定した。
四部作は、この本『異界を旅する能』でも少し取り上げられている。
本多という登場人物が「ワキ」の役。
それまで役割が甘かったが、最終巻で「ワキ」の役を成し遂げる。
能はお客さんに受けるとか受けないは、あまり重要ではない。
対象は客ではなく、自分になる。
不可視の存在である幽霊、シテを、観客に「分からせる」、
見せるのがワキ=「分からせる人」の役割なのだ。
シテの独白を、翻訳して、観客に届ける。
なぜ人にとって異界と出会う事が必要なのか。
それは異界と出会うことによって「神話的時間」を体験し、
そして人生をもう一度「リセット」できる可能性を
感じるからではないだろうか。
新年1日を迎えリセットし、節分の翌日もリセットし、
4月1日もリセットし、誕生日を迎えてリセットする。
スキがあれば、リセットしたい。
どうも日本人は(文字も含めて)しかっりした記譜法を
わざと拒否してきたのではないかと思う。
文字は、文明の基となるものであり、それを不完全なものとし、
一極集中の権力が発生しないようにしたかもしれない。
そうだとしたら、凄い。
文明が「ろくなもんじゃねぇ」、という見方からは。
日常の意識的な体験による自己、すなわち「ケ」の自分は、
実は本当の自分ではなく、垣間見た「晴れ」の自分こそが、
実は自己の本質に近いという事を心の深部で確信的に感じる。
