よんだ「マネー」ベルナルド・リエター 著、堤大介 訳(2001)ダイヤモンド社
【松岡正剛の千夜千冊 1383夜(交貨篇)】
ダイヤモンド社のビジネス本は誰が読んでいるのだろう。
この本をダイヤモンド社が扱ったのは、著者がトレーダーでありコンサルタントであるから、その手の読者がいるであろう想定だろうか。
これ以降も著者の本は出版されているるが、翻訳されていないのは、この本の売れ行きのせいか。
これはビジネス本ではない。お金についての根源的な本。直訳すれば「お金の神秘」か。ユングの概念「元型」を方法として、「お金」を紐解いていく。以下文面は、ほぼ著書からの抜き書きである。
まず、人類の元型として「グレートマザー(偉大なる母性)」があるが、西洋文明は、それを抑圧してきたことから話がはじまる。
現代の先進国は、男性優位社会が継続されている。最初からそうだったわけではなく、大昔は「女性優位社会」があった。時代は旧石器時代。
新石器時代となり、はじめは母権制であったところも、家父長制に代わっていく。
家父長制は、紀元前3100年ごろから紀元前600年ごろまで2500年近くかかって確立。神話でも男神に書き換えられていく。
マグダラのマリア教団、黒聖母教団など、抵抗はあったのだが、15世紀以降、魔女狩りがあり、とどめはプロテスタントにより、女性の元型の影響は断たれた。
女性を崇めていた”先進社会”では、互いに補い合う二種類の通貨制度が存在。現代社会でも使用されている方を「陽のお金」とすれば、もう一つのお金として「陰のお金」があり、保存がきかない素材でつくられていた。つまり蓄財が出来ないので、常に使用し続けるしかない。「陰のお金」であれば、お金が権力層に、過剰に貯められる事が無い。
本題は、女性の元型への敬愛と、繁栄の永続を約束するマネーシステムの出現との間のつながり。エジプト人たちはグレートマザーに物質的な富を求め、富のための祈りを躊躇しなかった。
母権制から家父長制への急激な転換が起こった場合の4現象
1.恐怖と元型の影が、異常なほど情緒に結びつけられる。
2.グレートマザーの元型の3つの属性(セックスと死とお金)がタブーになる過程で、セックスと死とお金に対する「魅惑と恐怖」が強くなる。
3.グレートマザーの2つの影(貪欲さと欠乏感)が知的論争と感情的論争の焦点になる。
4.「陽の影」の世界観(暴君、サディスト、超理性性、セックスへの耽溺)は、その文化を強化し、文化の一部となる。
支配は、支配する側にとっても失うものが大きい。自我喪失、共感喪失、現実逃避。
生きる意味は、愛する人、神、自然、母国などの関係から発声する。他社とのつながりを持てない人は、「空虚な自我」と呼ばれる孤独感をいっそう募らせる
広告の目的は、消費者に「現在の自分と所有物に対する空虚感や不完全さ、不満足を感じさせること」
心理学から見た黒聖母
「徹底的な魔女狩りの背後に潜んでいたのは、ある種の女性性が混ざった暗黒の力だった。暗黒部分の女性性が抑圧されると、暗黒の力はもっと巧妙で危険な性質を帯びる。黒人を奴隷にしたり、アメリカ先住民を滅ぼすという歴史がその一例だ。女を蔑視し、その反動で男を英雄視し、肉体と性に対する情緒を歪ませ、ひいては地球を汚すことにもつながった」
インド-ヨーロッパ語族が残忍な”効率性”をもって母権性社会を滅ぼしたのは、「恋人」(元型)が不在していたから。インド-ヨーロッパ語族は、見族浄化を基本戦略としていた。つまり成人男性を皆殺しにし、女たちを犯して奴隷にすること。奴隷制は、この戦略の論理的結果。
過去のものになりつつある5つの世界観
①少なくとも5000年以上も昔の「家父長制」の世界観
②2500年前のギリシャ哲学の時代に由来する「理性主義者」の世界観
③500年前のルネサンス期に誕生した「モダニスト」の世界観
④ここ250年間の工業化時代がもたらした世界観
⑤冷戦時代の旧秩序に基づく世界観
21世紀の”大聖堂建築プロジェクト”(提案)
・生態系浄化と持続的発展を実行する。
・異常気象を軽減する。
・都市を再生する。
・識字率を地球規模で向上させる。
・数十億人の人類に食べもの、衣料、住まい、教育を与え、そして励ます。
・すべての人々に学習と創造のチャンスを与える。
今回の本も、気になった事の転記のみ。
人にはそれぞれのレベルがありますので、ご了承ください。
今もって、世界の権力層による支配は継続されておりますが、
やれる事をやるしかないわけで。
エジプト王朝時代の人らのように、
快活で喜びにあふれ、罪の意識なしに人生を謳歌し、
思うがままに快楽を満喫する、ように生きたい。なるべく。
どんな時代になろうとも、「人生を楽しむ」こと、かと。個人的には。
