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ジャズ記念日: 8月4日、1958年@ニューヨーク “Summertime”by Miles Davis

August 4, 1958 “Summertime”
by Miles Davis & Gil Evans Orchestra
at 30th Street Studio in New York for Columbia (Porgy and Bess)

都会的な蒸し暑さのあるニューヨークの夏に、曲名の通り南部を舞台としたオペラ、「ポーギーとベス」からの偉大なガーシュイン兄弟が手掛けた有名曲で、その題名から暑さで気だるくなるような夏に聴きたくなる一曲を紹介します。

初演は1935年のボストン

同オペラ曲で構成されたジャズアルバムをマイルスが名編曲家のギルエバンスと組んで制作したのが本作です。

エバンスとマイルス

白人嫌いなマイルスといえども才能を認めて共演した数少ない一人が「音の魔術師」と形容されるエバンスで、曲のアレンジ手法の影響を受けたとされています。マイルスの物悲しげな音色に寄り添った伴奏をするオーケストラの展開がドラマチックですが、これもエバンスの演出によるものなのでしょう。

マイルスはビバップ、ハードバップに続き、今作ではクラシック音楽にも近づき、ジャンルを跨ぐクロスオーバーの最先端を生涯にわたって走り続けることになります。本曲でのマイルスはアドリブは最小限に控えて原曲メロディーに忠実に演奏していますが、それはエバンスがマイルスを念頭にアレンジを施していて、マイルスもその意図を汲んでの結果と推察します。

アドリブの余地が少ない中でも、その音色と表現で孤高の存在感を示すマイルスの凄みは、この時点でも「帝王」に相応しいものです。ポールチェンバースによる歌心あるベースラインを軸に、エバンスが繊細なアレンジを施して音を重ねることで旋律の展開を促進していて、2:25からさりげなく主旋律の裏側にチューバが加わることで終焉に向けての盛り上がり効果が生まれています。

アルバム自体は複数日に跨って収録されていますので、オーケストラ編成でもあって、かなりの予算が付けられていたものと思われます。この作品が高く評価され、商業的にも成功したからこそ、二人による続編的なクラシック音楽を題材とした「アランフェス協奏曲」を含む「スケッチオブスペイン」という大傑作が翌年に生まれることになります。

因みにドラムは、アルバムでは、フィリージョージョーンズとジミーコブが起用されていますが、マイルスは、この二人をどう使い分けていたのか、がとても気になるところです。ドラマチックなドラムの存在感をフィリーに求めて、バラード的な情緒さとオーケストラとの調和感をコブに割り当てたというのが、個人的な見立てです。3曲目”Gone”のフィリーのダイナミズム、10曲目”It Ain’t Necessarily So”のコブのオーケストラと一体化したグルーブ感は、二人の個性が最大限に発揮されていて起用も秀逸だと思います。マイルスとエバンスは事前に相談したのでしょうか。そして、フィリーとコブは、同じスタジオに居合わせて、どちらがなんの曲を演奏するのかドキドキしながら待機していたのでしょうか。

録音はコロンビアで頻出のマンハッタンにあったスタジオ、通称”The Church”で行われました。広々としたスタジオだけあって、このようなオーケストラ録音を実現するための選定かと考えられます。

収録中の写真の一枚
譜面には”WHERE’S MY BESS”とある
そこにはマイルスのコメント通り、コードの記載がなく、
旋律だけ記載されている事がわかる

ポーギーとベスから生まれた他のスタンダード曲は以下の通り。

そして、ガーシュイン楽曲に興味を持たれた方は、こちらの紹介記事もどうぞ。

最後に、”The Church”とマイルスの演奏に興味を持たれた方は、こちらをご覧ください。本作の約半年前の名盤で、ベースとドラムも本曲と同じ構成です。

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