ジャズ記念日: 4月5日、1957年@ニュージャージーRVG
Apr. 5, 1957 “Golden Earrings”
by Ray Bryant with Ike Isaacs & Specs Wright at Van Gelder Studio, Hackensack for Prestige (Ray Bryant Trio)
ジャズピアノの巨人の一人、レイブライアントによる1947年公開の映画、「黄金の耳飾り」テーマ曲のトリオ演奏。
冒頭一分ほどのテーマメロディーを奏でてからアドリブの展開がスリリングで流れるように広がりを見せて後半に向けて盛り上がっていく。
ベースもドラムも黒子に徹して派手な印象は無いが、よく聴くと実はこの地味なリズムキープがあってこそ、端正なピアノの輝かしいアドリブが展開されるという、ピアノトリオの醍醐味が味わえる一曲。
意識的にベースとドラムに集中して聴いてみると、単純なリズムの繰り返しや耳につく刺激的なドタドタでは無く、抑制の効いた微妙な強弱と僅かな揺らぎでピアノを盛り立てていて、このいぶし銀のリズムセクションの味わいを楽しむのが実はジャズの面白さだったりする。
この演奏、とても珍しい点があるのに気付いただろうか。実は、ピアノのソロしかない。通常の演奏的なフォーマットとしては、テーマメロディーから始まり、リーダーのソロがあり、その後にベースとドラムのソロが続くのが通常の流れ。
聴衆が飽きないようにするのと、演奏者が息を入れるという意味合いもあるだろうから、それが無く最後までピアノソロで飽きさせずに弾き切るのは相当な腕前と体力が無いと難しい。しっかり聴くと、メロディー、和音の使い方やテンポの崩し方等、手を替え品を替えといった展開で、飽きることなく最後まで辿り着くことが出来る。手数の引き出しの何と多いことか。
レイブライアントは、後にソロアルバムを幾つか発表して好評を得ているが、布石はこういった演奏力にあったのだろう。
そのソロアルバムの紹介記事はこちらからご覧ください。巨匠オスカーピーターソンの代役というプレッシャーがかかる状況でも弾き切って聴衆を虜にする実力は只者ではありません。
実際の動画はこちらからご覧いただけます。ピアノはヤマハ。録音も良好で、ヤマハらしい端正で綺麗な響きを味わえます。
アルバムジャケットは、”ray bryant trio”と”prestige 7098”の間に”piano piano piano...”と”piano”の綴りで境界線が引かれていて、ピアノが満喫できる事を象徴するような演出がお洒落。
最後に、オーディオについて触れておくと、本作はモノラル録音ながら、それを感じさせない演奏の良さがあるのはもちろんのこと、モノラルだけに感じ取れる真っ直ぐで色付けのない音質と縦の奥行き空間の深さが満喫出来る。シンプルなだけにオーディオ再生機器としては、誤魔化しが効かないので、オーディオそのものの特徴が現れる。そんな聴点でも楽しめる作品。
