今日のジャズ: 9月2-5日、1964年@ニューヨーク “April in Paris”
Sep. 2-5, 1964 “April in Paris”
by Sammy Davis Jr. & Count Basie Orchestra arranged by Quincy Jones at Bell Sound Studios, NYC for Verve (Our Shining Hour)
二大巨匠の組み合わせによる演奏。ベイシーによるビッグバンドの経済的維持、大スターながら商業的には当時スランプ期に陥った稀代のエンターテイナー、サミーデイビスJrが組んで、クインシージョーンズがアレンジするという、豪華な組み合わせです。
緻密に計算されたアレンジで、メロディーのリードを取る右側と追随する左側の掛け合いのように優秀なミュージシャンによる抜群のアンサンブルが堪能できます。終わると見せかけて「ワンモアタイム!」の掛け声の後で、更に盛り上げるのはエンターテイナーたる演出です。
曲名の通り、歌詞はパリの四月を大絶賛しつつ恋が焦がれる気持ちを伝える内容です。厳しい冬を経て春の息吹が感じられるパリの四月は確かに気持ちが良さそうですね。
この演奏と歌唱の晴々しい感じは、もしかすると同年7月にアメリカで制定された、特に黒人の方々が待ち焦がれた人種差別を禁じる「公民権法」にあるのかもしれません。その直前のタイミングで収録された緊張感ある作品からの一曲はこちらをどうぞ。
サミーの声も発音も、見出した恩人のシナトラら、大衆受けした歌手同様にハッキリとしていて癖がなく分かりやすいものです。因みに名前にJuniorが付くのは、一般的には、偉大な父親の存在を受けて命名されるもので、語弊を恐れずに言うと、おぼっちゃん、つまり良家の息子が多い印象です。そして、ジュニアの命名後に父親の名前にはシニアが付きますが、そのデービスシニアはダンサーで名を成した方だそうです。
ジュニアという名前を持つ有名人を、王族や貴族といった階級を除いて、思い付く範囲で何名か列挙すると以下の方がいらっしゃいます。先ずは「ジュニア」を前面に押し出すタイプ。

左が映画監督のシニア

父親はニューオリンズの検事
自身もテレビドラマ”Law & Order”に検事役で出演

父親もメジャーリーガー

牧師の父親マイケルは宗教改革者の
マルティン(ルター)と同じ名前に改名
次にジュニアの名を表に出さないジュニアたち。

父親は製造業の幹部だったらしいが謎が多い

父親は会計士

父親は抽象画家
そして本作に関わっているクインシージョーンズもジュニアで、Wikipediaによると父親は野球のセミプロであり大工だったとのこと。ジュニアを使わない面々の共通項として、ジュニアと誇りを持って表立って言うにはちょっと父親との関係性が希薄だったり、親の七光的な力の物足りなさが感じられるのは気のせいでしょうか。
更に踏み込んで、あのジャズの帝王マイルスについて言うとルパン三世の如くリアルなIII世で、シニア、ジュニアと続いた三代目。マイルスの父親は歯医者で、確かにボンボンだったらしく、モダンジャズの開祖チャーリーパーカーに気に入られたのは、演奏のみならず、たかる財力を兼ね備えていたから、という逸話もあります(上がマイルス、下がパーカー作品の紹介記事)。
三世の名を持つ偉大なジャズマンには、もう一人、エレキベースのイノベーター、ジャコパストリアスがいます(ジュニアは歌手兼ドラマーのミュージシャン)。
作曲は「言い出しかねて」等を作曲したヴァーノンデュークによるものです。デュークは更に”Autumn in New York”という本曲のように季節と地名の組み合わせによるスタンダード曲も手掛けています。地名絡みのスタンダード曲では、”I like New York in June”を六月に紹介していますので、ご興味があればご覧ください。
最後に、煌びやかなカウントベイシー楽団を更に楽しみたい方は、デュークエリントン楽団との貴重な共演作をどうぞ。
