今月のジャズ: 10月、1976年@ハリウッド “Teen Town”by Weather Report
Oct. 1976 “Teen Town”
by Weather Report (Joe Zawinul, Wayne Shorter, Jaco Pastorius & Alex Acuna) at Devonshire Sound Studio, North Hollywood, CA for Columbia (Heavy Weather)
10月20日紹介曲を作曲、演奏したオーストリア人のジョーザビヌル率いる実力者揃いで構成されたスーパーバンド「ウェザーリポート」による、エレキベースのイノベーター、ジャコパストリアス作曲作品。短い曲ながらスリリングな展開が凝縮していて度々聴きたくなる。シンセサイザーのタッチが若干ワンテンポ遅れてやってくるのが当時のテクノロジーの限界のような気もするが、これがまた機械的では無い、良い意味でのアナログ加減の個性と風情を生み出している。因みに10月20日紹介曲では、ウーリッツアーのエレピを使用していたザビヌルは、本作ではフェンダーローズを弾いている。
近未来的なワクワク感に満ちた作風。アルバムではラジオやテレビで頻出の名曲、”Birdland”に続く短い二曲目で、まさにアルバムの展開を司る、三分弱の繋ぎの一曲。
ジャコのベースにタイトなドラムとパーカッションが追随し、ザビヌルのシンセサイザーが同期しながら音を重ねて土台を作り、その上にウェインショーターの侘び寂びソプラノサックスが絶妙なバランスとタイミングで浮遊する事でバンドが疾走する。
これだけのスピードを見事なリズム感で揃えられるのは実力者揃いといえども容易ではないはずだが、当時のビデオを見るといとも簡単にこなしているように見える。如何にも八十年代といった映えあるステージの演出も面白いし、アルバムのかしこまったバージョンよりも、こちらの映像を交えたライブ演奏の方がジャコの手数も多くて楽しめます。
唯一演奏において、タイトなリズムに縛られない印象のショーターであっても、デジタル的に単調になりがちな演奏に、このリズムの合間を縫うように揺らぎと人間味のある味わいを加えるという芸達者さ。
ジャズスタンダード曲か、と問われると一般的にはそうでは無いかも知れないが、本作はウェザーリポート七枚目にして最大のヒットアルバムという事で認知度が高いのと、辣腕エレキペース奏者にとっては腕まくりして演奏(挑戦)したくなる格好の楽曲で、著名ベーシストがこぞって演奏しているので、ぜひ紹介したい。
先ずは、現在ジャズエレキペース界の重鎮、マーカスミラー。速いフレーズを太くてタイトなチョッパーで軽々と弾きこなすのは流石です。
現在進行形の進化版の最前線は、リチャードボナの演奏をどうぞ。以下映像の三分頃から始まります。超絶フレーズを軽くこなして、更に笑顔で遊びまで楽々と織り込むテクニックには空いた口が塞がりません、、、
更に1996年生まれのブラジル人の若手、マイケルピポキーニャ。本曲のイントロが流れるとガッツポーズするところが、本曲への率直な愛着の表れです。
もう一つ、レッドホットチリペッパーズのベーシスト、Fleaが弾いている動画がありますのでご覧ください。Fleaはドジャーズ優勝のワールドシリーズをブラッドピットと観戦していた人物ですが、ベースの腕前は確かでジャズアルバムにも参加しています。
ジャコの影響力とエレキベーシストの進化、凄まじいですね。当時のウェザーレポートにおいて、刺激的なジャコの登場と共に電化音楽に押し負けそうになったショーターが活路を模索して、ブラジル音楽とジャズの融合を図った名盤『ネイティブダンサー』(1974)を作成する契機のひとつになった、ということをつい最近知りました。

ジャズ風味のブラジル音楽というテイスト
本作の印象的なジャケットは、アメリカ人イラストレーターのルービーチによるもの。手掛けた印象深いアルバムは以下。






作品の構図や素材そのものが派手で混沌としている印象ですが、採用しているアーティストも多岐に渡っているのが特徴的です。ウェザーリポートには本作を含めて三枚のアルバムに携わっています。
最後に、ジャコが率いるビッグバンドによる日本でのライブ演奏作品をどうぞ。名曲、名演、名録音盤です。
