【映画日記】「バベットの晩餐会」

私の最も好きな映画の一つ
今までに、何度繰り返し見たか分からないくらい見ている映画です
何度も見ているはずなのに
見るたびに新たな発見があり
深く感動します。
「バベットの晩餐会」
ストーリーはこうです。
北欧の貧しい田舎の町の話です。
そこには牧師と二人の娘を中心に
禁欲と敬虔を糧として
人々が静かにつつましく暮らしていました
その娘に恋する男性が現れたりするのだけれど
結局、二人の娘は信仰に生きる道を選び
そのまま年をとっていきます。
そこにやってきたのが
国を追われたバベット
お手伝いとして住み込むことになります。
海で取れた魚を干して
それを水でもどして、固くなったパンと一緒に煮たスープ
それが毎日の食事です。
見た目は、ちっとも美味しそうに見えないスープなのですが
バベットが作るようになってからは、
美味しいスープになっていきます。
そうして
14年が経ち
村の人たちは年を取り
神を信じてつつましく暮らしているものの
だんだん、心がぎすぎすし始めて・・・。
そんなある日、バベットが宝くじに当たり
大金を手にします。
おりしも、亡き牧師の生誕100年のお祝いの会が開かれることになっており
そのパーティーの料理を作らせてほしいと頼みます。
実は、バベットはもともと一流レストランの料理長で
料理の腕は確かで
宝くじで得たお金を使って
最高級の食材を仕入れ、村の人たちにふるまうのです。
最初は、見たことも食べたこともない料理に対し
村の人たちは、半信半疑なんだけれど
美味しい料理によって、
少しずつ、心を開き、そして優しさを取り戻していきます。
ストイックに禁欲的に暮らしていた村の人たちが
美味しい料理によって、少しずつ心を開いていくところが
この映画の見所です。
この映画、
話したいシーンは書ききれないほどあり
心に響いた言葉もたくさんあります
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食事を恋愛に変えることができる人
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これは
ある将軍が、
かつて高位級レストランでバベットの料理を食べた時
バベットを称して言った言葉
食事を恋愛に変えることのできる女性・・と。
料理はラブレターのようなものだと思います
作り手から食べる人に贈る、言葉にならないコトバ
一緒に同じものを食べる人の間で通じ合うコトバであり
ずっと時間がたっても、ずっと残り続けるコトバであり
何かのきっかけで思い出すコトバでもある
バベットは、料理を作りながら
そんなコトバを届けていたのです。
たしかに、
“おいしい”という気持ちと愛は似ています
この映画で、村の人たちが食事をするシーンを見ながら
そう思いました。
禁欲を美徳としている人々にとって
食事を味わう事、食べ物のことを考える事、美味しく食べることは、
禁じられている事の一つ
でも、美味しいものを口にした時
魂が震えるというか
押さえても、押さえても、湧き上がってくる喜びのようなものがある
それは自分では制御できない感覚
バベットは、最高級の食材を使い
最高級のワインを準備しました
村の人たちは、それがそんなに高いものだとも知らず
そんなに手をかけたものだとも知らず
バベットが最高級レストランの料理長だったという事も知らず
味わってはいけない、食べ物のことを考えてはいけない
そう言い聞かせながら食べているのにもかかわらず
思わず笑顔になり
そして、優しいきもちになっていく。
理由もなく心惹かれ
押さえても抑えても、内から湧き上がってくる衝動
まさに愛です。
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あの世に持っていけるのは
人に与えたものだけだ。
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このコトバも、すごく印象的。
そうなんですよね。
地位やお金や、権力など幻にすぎず
年を取ったり、世の中が変われば、あっけなくなくなってしまう。
けれど、誰かにしてあげたことは
自分が死んでも、その人の心の中に残り
また、その人が死んでも、誰かの心の中に残っていく。
バベットは、宝くじで得たお金のすべてを使って料理を作り
すべてを村の人たちに分け与えました
お金は無くなったけれど
みんなの舌と心に残したものは
これから先もなくなることはありません。
でも、バベットは与えただけではなく
実はたくさんのものを与えられてもいます
料理を作る機会
準備するワクワク感
作る喜び
料理を食べてもらう喜び
自分の料理でみんなが笑顔になっていく光景
バベットは、あの世ではなく
今、ここでたくさんのものを与えられている
与えたいと思っても
受け取ったもらえない場合もあるわけだから
受け取ろうとしてくれる人がいる事
受け止めてくれる人がいる事
本当は、
与える事よりも
そこにこそ、恩寵があるのかもです。
この映画
更にもう一つ大事なことを教えてくれていて
実は、教会の牧師の二人の娘たち
(と言っても、物語の中でどんどん年を取っていきますが)
信仰のためにあきらめた想いがありました
信仰のために、貞節を守って生きる人生
愛した男性と結ばれる人生
選んだ人生と
選ばなかった人生
その二つは常に彼女たちと共にありました
叶わなかった望みも
叶った望みと同じように
共にある。
最後は、選んだ人生と選ばなかった人生が一緒になって
望んだことも、叶わなかった想いも
すべてが、この世で生きた意味となる。
その時その時は
苦しんだり悲しんだりすることがあったとしても
死ぬときには、これでよかったと思えたらいいなと思います。
っていうか、そう思えるように
今を生きようと思いました。
語り始めたら
いくらでも語れる映画です。
そして、何度見ても
やっぱり、この映画、大好きだなって思います。
本当にいい映画です。
おすすめです。

