見出し画像

TARGET:枠にはめるのではなく、枠を合わせる環境づくりの実践モデル

古くからモチベーションを説明する際に、達成目標理論というものがあります。この目標は大きく2種類あります。

・パフォーマンス目標
他者と比較して自己の有能さを示すことだったり、劣っていると判断されないことを目標に頑張るというもの。

・マスタリー目標
新しいスキルの習得、能力の向上、学習内容の深い理解自体を目標に頑張るものです。
比較対象は過去の自分。

パフォーマンス目標は、「テストで一番になる」といった短期的な成果を出すための強い動機になります。
しかし、その原動力が他者との比較や評価であるため、「失敗して無能だと思われたくない」という恐れから難しい課題への挑戦を避けたり、褒められないと分かると途端にやる気を失ったりと、長期的な学びの姿勢が育ちにくいという側面も指摘されています。

そのため、教育現場では、長期的な視点で、持続的な成長と深い学びに繋がりやすいマスタリー目標を育むアプローチが重視されはじめています。

ミライトラボがアフタースクールで個別学習をやるのも、学習面でマスタリー目標を達成し、自信を持ち、学び続ける楽しさを知ってもらうことを目指しているからです。

このマスタリー目標を志向する環境の作り方を構造的体系的ににまとめたのが「TARGETモデル」です。
これは1988年にジョンズ・ホプキンス大学の社会学者エプスタイン博士により提唱された理論と実践の報告書です。

40年前に考えられた理論ですが、僕が目指している環境づくりの指針になっています。
僕自身は、一度作った環境に子どもたちをはめ込むのではなく、子どもたちに合わせて環境を柔軟に変化させていきたいと思っていて、
そのために必要なのはHow toではなく、体系的なフレームワーク。

TARGETモデルはそれを提供してくれています。
以下に簡単にモデルの説明をします。

TARGETとは、モチベーションに影響を与える6つの変更可能な要素の頭文字をとったものです。簡単にまとめます。

  • Task(課題):意義深く、適度に挑戦的であること
    (例:答えが一つでない問いを投げかける、一人ひとりに適切な難易度調整をする)

  • Autonomy(自律性):学習プロセスの意思決定に参加できること
    (例:複数の選択肢から宿題を選ばせる、クラスや家庭のルール作りに参加させる)

  • Recognition(承認):個人の努力や進歩に焦点があたること
    (例:「100点ですごい」ではなく、「最後まで粘り強く考えたね」とプロセスを褒める)

  • Grouping(グルーピング):多様な能力が混在するグループを作ること
    (例:固定の成績順グループではなく、プロジェクトごとに多様なメンバーで協働させる)

  • Evaluation(評価):過去の自分との進歩を認めること
    (例:他人と比べるのではなく、「半年前よりここができるようになったね」と伝える)

  • Time(時間):学習ペースや時間を柔軟に調整すること
    (例:一斉カリキュラムで終了させるのではなく、早く終わった子には発展課題を与えるなど、個々のペースを尊重する)

このTARGETモデルの素晴らしいなと思ったところは、体系的にまとめることで、SNSで見るような「良い褒め方」といったぶつ切りのアドバイスの背景を補足してくれる点と、チェックリスト的な役割を果たしてくれる点だと思います。

この6つの視点は、学校だけでなく、家庭での声かけや習い事選びの際にも、必ず役立つと思います。

いいなと思ったら応援しよう!