スキルに関して評価と測定で最適な方法を考えてみる
何らかの測定をする際に、大前提として重要なことは、周りと比較して測定や評価をするものではないです。
この考えで測定し評価するのアプローチは「パフォーマンス目標」といい、短期的には頑張れるモチベーションになりますが、その分、失敗して無能だと思われたくないので難しい課題への挑戦を避けてしまったり、褒められないとやる気を失ったり、長期的に続かないリスクが高いです。
そのため、自分ができるようになること自体を目的にする「マスタリー目標」で内発的な動機を継続させることが大事。
しかし、現実の社会では受験や就職など、他者との比較が避けられない場面も多々あります。 子どもの内なる成長を信じたい。
でも、社会での競争も避けられないというジレンマの中で、私たちは子どものスキルや成長をどう測定し、評価していけばいいのでしょうか?
ここで言う測定とは、必ずしも数値化するだけでなく、子どもの変化を捉えて言語化するプロセスを言います。
そのため測定をする際には、認知スキルにはテスト。非認知スキルにはルーブリックが一般的に使われたりします。
ちなみに、ルーブリックとは、学習のゴールまでの道筋を示す「地図」や「ナビゲーションシステム」のようなもので、
例えばプレゼンテーションだと以下の3つの側面に分けたりします。
①内容の理解度
②構成・わかりやすさ
③表現方法
それぞれの要素で3〜4段階で目指している状態を書いて、到達度を測ります。
測定の道具を選ぶ前に、なぜ?となに?
測定方法は、認知スキルだと、テスト、パフォーマンス評価(スポーツテストのような)が代表的ですが、行動観察だったり、ルーブリックやインタビューも使用したりします。
非認知スキルは、テスト、パフォーマンス評価ではなく、行動観察、ルーブリック、インタビュー、質問用紙が使用されます。
それぞれの測定方法はガイドがあったり、参考になるものがあるので調べればいいのですが、その前にどの方法で測定すればいいか、いっぱいあって悩んじゃうと思います。
なので、「なぜ測定するのか?」「何を測定するのか?」を明確にしないといけないというのが課題になります。
なぜ・なに・どうやっての順番
例えば、Aさんが授業についていけないのでその根本原因を知りたいとします。(なぜ測定するのか?)
根本原因なので、単元の理解度、取り組み方、単元から離れた個人的な問題などさまざまな点で測定が必要です。(何を評価するのか?)
そのため、1つの測定方法ではなく、複数の測定方法を組み合わせます。(どう評価するのか?)
・復習テスト: 間違いの傾向を探る。
・ルーブリック: 単元の要素ごとに到達度をチェックする。
・行動観察: 授業中の集中力や、課題への取り組み方を見る。
・インタビュー: 本人に直接、困難な点や気持ちを聞く。
まず大事にするのは、過去からの成長
マスタリー目標に立った上で、子どものスキル測定するには?というのが今回のテーマです。
なので、なぜ?の部分は外部との比較ではなく、自分自身の過去から現在までの成長を測定することが重要になります。
測定するには、目に見えないといけません。
そのため、決定的に重要になってくるのは時系列の情報です。
4月の自分からの変化だったり、できなかったところができるようになったと目に見える形になって初めて測定できます。そして、その測定結果は単なる数字の羅列ではありません。
一つ一つの記録が、「昨日まで解けなかった問題が、今日解けるようになった」という小さな成功体験の証となり、「自分は成長できるんだ」という自信の源泉になります。
この「成長のストーリー」を本人や一緒に過ごす家族と共有することこそ、マスタリー目標に基づく評価の最も重要な役割なのです。
これは、教育に限ったことではないですが、人はすぐに結果が見えて、わかりやすい相対比較に流れがちです。
それは、日々の小さな変化は見慣れてしまい、客観的な成長を認識しにくいからです。忙しい日常の中で、成長の記録を継続的に取り続けること自体も大きな負担になります。
そのため、変化を記録して、客観的な視点で見える化してくれる第三者の存在や仕組みは、非常に重要になります。
外部との比較は自分の立ち位置を知るためのベンチマーク
では、全く周りと比較しないでいいかというと、そうではないと思っています。
人生は、基本的には比較されます。
大学受験ではテストの点数が比較され、ビジネスパーソンは会社への貢献で比較されます。
比較されることが悪いことかというと、良い面もあると思っていて、それが今の自分の立ち位置を知ることができる点です。
過去の自分から成長した結果、全員の中で上位20%の成績をとっているのか、下位20%なのか。
自分がやりたい研究があり、そのために難関大学に行きたいなら、他の受験生と比べて良い結果を出さないといけない。
この相対的な情報を知ることで、自分の目標達成に向けて、どの程度努力が足りているのか足りていないのかがわかります。
冒頭に、パフォーマンス目標は長期的に続かないリスクがあると書きましたが、1〜2年の短期でやり抜く分には十分意味があります。
ここで重要なのは、外部比較の結果を自分の価値を決める「成績表」としてではなく、目標達成までの戦略を練るための「地図」として使うという意識です。
結果に一喜一憂するのではなく、「目標までどのくらい離れているか?」だったり、「どのルートが近道か?」を、客観的な情報として捉える。
そのための対話が子どもには必要になります。
結局大事なのは中庸
自分自身の成長を大事にした上で、必要に応じて外部のルールでパフォーマンスを出すという考え方で、どちらかに傾倒しすぎると不幸になってしまいます。
頑張る際に、その頑張りは、自分の成長や人生を通じた目的のためなのか、外部の基準を超えるためなのか、はっきりさせると頑張り方の質が変わると思います。
これは、子どもとのコミュニケーションでも大事にしたい視点です。
「テストの点、どうだった?」と他者比較の結果だけを尋ねるだけでなく、「半年前と比べて、一番成長したと思うのはどんなところ?」と本人の中の成長に焦点を当て、その上で「目標達成のために、あとどんな力が必要だと思う?」と社会の中での現在地を一緒に確認する。
そんな、内側(マスタリー)と外側(パフォーマンス)の両方に目を向けた対話こそが、子どもが自信を持って自分の人生を歩んでいくためのコミュニケーションになるのではないでしょうか。
