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【創作向け】バーテンダーのお仕事 Q&A(1)

以前お店をしていた頃に、FANBOXで無料公開していた記事の再掲です。
閉店にあわせてFANBOXも閉鎖したのですが、今でも当時の記事を紹介したツイートに「いいね」がつくことがあり、リンク先を読めないままになっているのがずっと気になっていました。
そんな経緯もあり、今回あらためてこちらに掲載します。

なお、本文の内容は2009〜2024年頃の出来事や状況をもとにしたものです。時代の変化により、現在とは異なる部分があるかもしれませんが、その点ご了承ください。

以下、本文です。


「二次創作でバーテンダーパロを書くにあたって、バーテンダーの仕事についての質問をしたい」とのマシュマロをいただき、いくつかのご質問に回答をお送りいたしました。

マロ主様から公開許可をいただきましたので、こちらにも掲載させていただきます。バーが舞台の創作をされる方のご参考になりましたら幸いです。

※注意※
この記事の見解は、あくまで我々の個人的な経験に基づくものです。世の中のバーやバーテンダーの全てが当てはまるというわけではありません。


はじめに

ホテルのバーと対になる存在として、街にある個人店のバーを「街場(まちば)」のバーと呼びます。
同じバーテンダーでも、ホテルと街場ではかなりライフスタイルは変わりますが、今回は主に街場のバーを想定して回答いたします。
また、店内にダーツやゲーム、テレビなどを置いていない、お酒(主にウイスキーやカクテル)がメインな「オーセンティック(本格的、正統派という意味)バー」を想定しております。

Q&A:バーテンダーの仕事の日のタイムテーブル

Q.1:お仕事の日のタイムテーブルを差し支えのないざっくりとしたもので大丈夫なので教えてください!(特に開店準備や閉店後の片付けなど、お店の裏側や出勤前の過ごし方などが気になっています!)

マシュマロより

A.1:お店の営業時間によって1日のタイムテーブルはだいぶ変わります。

また個人差もあるかと思います。下記の分類は我々の個人的な認識です。
(少数の例外が存在しますが、今回は除外します)

◆バーのオープン時間

  1. 早め 17:00

  2. 遅め 20:00

  3. 普通 18:00・19:00

◆バーのクローズ時間

  1. 早め 24:00

  2. 中間 翌2:00、翌3:00

  3. 遅め 翌5:00

自分が経営者の場合と、雇用者の場合でも異なります。
以下の設定を想定して2種類書きます。

雇用者《雇》:常時スタッフが5-6名ほどいる中規模バー(席数40席前後)
※これ以上の規模になると、ホテルバーとほぼ同様の勤務形態になります。
経営者《経》:店主とアルバイト1-2名がいる小規模バー(席数20席未満)


起床

お店の営業終了時間によって変わります。
クローズ時間+2-3時間くらいで就寝し、6-8時間ほど睡眠をとります。

起床~出勤前

自由時間です。自宅でテレビを見たり音楽を聴いたり、近所でお茶したり、日中にやらなければならない個人的なタスクを済ませたりします。
リミットが決まっているため、あまり行動の自由度は高くありません。

出勤

だいたい営業開始時間の1-2時間前くらいにお店に着くように家を出ます。

《雇》新人バーテンダーが最も早く出勤し、オープンのための準備をします。
2-3時間前に出勤して一通り準備を終えたら、オープン30分前まで少し客席で仮眠……といったこともあります(もちろんブラインドやドアは閉めてあります)。

お店によって異なりますが、中堅バーテンダーはオープン時間頃に出勤してきて、オーナーバーテンダーは20時頃などに来るイメージがあります。
オーナーがバーテンダーでない(出資者の)場合、ランダムで現れてはカウンターのすみっこで飲んでいたり、常連客と話しこんでいたりします。

《経》意外とお店で色々とやることがあるので、逆にもっと早く出勤する場合もあります。自分のお店なのでだいぶ融通が利きます。

銀行

前日の現金売り上げの入金をします。
釣銭や釣札が不足している場合は、両替をするときもあります。
キャッシュレスオンリーのお店であれば、この業務は省略されます。

《雇》オーナーが売上金を持ち帰らず店内の金庫で保管している場合は、出勤してから金庫を開けて銀行へ行き入金します(飲食店の25.5%は売上金を店内の金庫に一時保管するそうです)。

《経》出勤前に銀行へ寄って入金します(飲食店経営者の43.6%は営業終了後に売上金を自宅へ持ち帰るそうです)。

参考:飲食店ドットコム ジャーナル

買い出し

カクテルに使うフルーツやフードメニュー用の食材を買いに行きます。

《雇》出勤後に新人やアルバイトスタッフが買い出しに行きます。

《経》出勤前に八百屋やスーパーへ寄ったり、出勤後に自分で行ったり、アルバイトに買い物リストを渡して行ってもらったりします。八百屋に配送の契約をしているお店もありますが、自分で直接買いに行った方がいい果物を選別できますので、少数派かと思います。

オープン準備

営業時間に間に合うように準備をします。

  • 作業スペースのセッティング

  • ブロックの貫目氷を割る

  • カクテルに使うレモンやライムを絞ってジュースを作る

  • 立方体に割った氷の角を削って丸氷をつくる

  • フードメニューの仕込み

  • おしぼりの補充(自前のおしぼりなら巻くところから)

  • その他、消耗品など必要なものの補充

  • 酒屋や氷屋、業務用食品の配送が来たら対応 など

酒屋や氷屋にはお店の合鍵を預けている場合が多く、その際にはほぼ出勤前に配送が済んでいます。
酒屋はカウンターの上に発注した品をゴソッと置いて、空き瓶などの回収をしていきます。氷屋は指定した業務用冷凍庫内へ貫目氷を入れておいてくれます。

営業

看板を出したりエントランスの電気を付けたりして営業開始です。
オープン & クローズ看板があればオープン表示にします。

お店にもよりますが、20時~23時あたりがピークではないでしょうか。
暇になった時間を見計らって賄いごはんを食べます。

大体お店のクローズ時刻の30分~1時間前をラストオーダーの時間に設定しているお店が多いと思います。
ラストオーダーを取り終わったら、看板の灯をおとして、オープン & クローズ看板があればクローズにします。

比較的ご飲食が終わっているお客様から、徐々にお会計をさせていただきます。営業しながら片付けも始めます。

クローズ作業

お店のクローズ(お客様が全て帰られた後)から1時間程度です。
個人差はあると思いますが、急げば30分ほどで終わらせられると思います。

  • 店内の清掃(フロア、カウンター内、厨房、トイレ)

  • 洗い物(使用済みのグラスや食器、厨房・バー用品)

  • ゴミを回収して捨てる

  • カウンター内から酒屋が回収しやすいカウンター外へ空き瓶を置く

  • 売上のカウント

  • お酒や氷、業務用食材の発注

  • 翌日の買い出し品のリストアップ など

スタッフが手を拭くタオルやダスターなどは、お店に洗濯機があれば洗濯して干して帰ります。お店に洗濯機がない場合は、オーナーが持ち帰って洗濯してまた持ってきます。
業者と契約せず自前でおしぼりを用意している場合は、使用済みのおしぼりを漂白剤につけてしっかり殺菌・漂白してから洗濯します。

退勤

遅くとも翌3:00までに退勤できれば、どこかに飲みに行くこともあります。早朝までの勤務であれば、退勤後に飲みに行ったり遊びに行ったりすることは稀です。
終電後・始発前に営業が終了する場合は、以下のパターンです。

  1. 徒歩で帰る(家が近所)。お酒を飲んで帰る場合もある※。

  2. 自転車やバイクで帰る(家がやや近所)。飲んで帰れない。

  3. お店で始発待ちをする。お酒を飲んで帰る場合もある※。

※自分やスタッフが練習で作ったカクテルほか、新入荷のボトルや飲んだことのないボトルの試飲などをしています。

帰宅~就寝

お腹が空いていたらコンビニなどで何か買って帰ったり、朝であれば朝マックしたりして、何かしら食べてから寝ます。
クローズ時間+2-3時間くらいが通常の就寝開始時間かと思われます。


《余談》バーテンダーを「バーテン」と略して呼ぶことの是非について

ネット上で定期的に話題になっているような気がしていますので、ここへ私の個人的な見解を記しておきます。
バーテンは「BARとフーテン(定職につかずフラフラしている人)を掛け合わせた差別用語」といった説があります。この説の真偽を裏付けるものはありませんが、たしかにあまりいい意味合いでは使われていなかったというイメージがあります。

もとより正式な略称(例:システムエンジニア→SE)がない職業名を、独自に略して呼ぶこと自体が、少々礼を失した行為であるように個人的には感じます。
かつて「スチュワーデス(客室乗務員の昔の呼び名)」の女性は、主に男性から「スッチー」と略して呼ばれていました。そこにはなんとなく、相手の職業を軽んじたニュアンスを感じるのではないかと思います。警察官を「ポリ」や「サツ」、運転手を「運ちゃん」と呼ぶのも似たような事例です。

「バーテンダー」は「バー(酒場)」と「テンダー(優しく世話をする人)」を掛け合わせた言葉だという説があります。バーテンダーという職業に就く人間を尊重していただけるのであれば、省略せずに呼んでいただけると嬉しいです。

ただしラフなスタイルのバーでは、スタッフ自身がバーテンを自称される場合もあるかと思います。その場合は「バーテンさん」と呼んでも差し支えありません。
オーセンティックなバーであれば、バーテンと呼ばれて気を悪くする人が多いと思いますので、やめておいた方がいいと思われます。

第2回に続きます!

追記)ホテルバーのバーテンダーに興味のある方がいらっしゃいましたら、奈田久遠の片割れは、日本でも屈指の伝統あるホテルのバーでのキャリアがあり、ホテル勤務の友人や知人もおりますので、気になることがあればコメントなどからお気軽にご質問ください。

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