ある企業の物語〜この組織は大丈夫なのか?〜
理念は立派だった。
ウェブサイトには「社員を大切にする」「多様性を尊重する」という言葉が並んでいた。
でも実際に中に入ってみると、全然違った。
休職制度はあった。でも機能しなかった。
就業規則には休職制度が明記されていた。
でも実際には「復帰の見込みがない人は休職を使えない」という独自のルールが存在していた。
法律で保障された制度が、会社独自の解釈で骨抜きにされていた。
体を壊しても、休めない。
そんな組織だった。
数字が語るものがあった。
半数以上が1ヶ月以内に辞めていった。
それでも組織は「合わない人が辞めていくのは仕方ない」と言い続けた。
問題は辞めた人ではなく、辞めざるを得ない環境を作った側にあるのではないか。
私はずっとそう思っていた。
制度の歪みは他にもあった。
当日欠勤が一定日数を超えると自動退職になる規定があった。
有給休暇を使っても、評価に影響する仕組みがあった。
有給は労働者の権利のはずだ。
でもその権利を行使することが、評価を下げる理由になっていた。
言葉による圧力もあった。
個室で行われた面談。
「あなたにはここで働く価値がない」
「チームの邪魔をしている」
そういう言葉が、平然と使われた。
これはマネジメントではない。
ただの圧力だ。
それでも今は思う。
こんな企業もあるんだな、と。
この経験も私の人生の糧になる。
貴重な体験をさせてもらったと感じている。
そして水面下で進む動き。
退職を遠回しに誘導するようなコミュニケーションが続いた。
組織の中で、誰かを辞めさせることが静かに、でも確実に進められていた。
これは特殊な一社の話なのか。
私はそう思いたかった。
でも日本には同じような組織が、想像以上に多く存在するのではないかと感じている。
理念は立派。でも制度は機能しない。言葉は美しい。でも現場は違う。
そういう組織に、気づかず入ってしまう人がどれだけいるだろう。
最後に一つだけ問いたい。
あなたの職場は、理念と現実が一致していますか?
休職制度は、本当に使えますか?
有給休暇を使っても、不利益を受けませんか?
あなたが体を壊したとき、その組織はあなたを守ってくれますか?
組織の健全さは、理念の美しさではなく、制度が実際に機能しているかどうかで測られる。
私はその組織を去った。でも後悔はない。
あの経験があったから、今の私がある。
私はそう信じている。
