250:青年よ我に帰れ
・執着を捨てろ。
・自分が思っているほど、他人は自分のことを見ていない。
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・休日。今日も鋭い頭痛と鈍い腹痛を携えて目を覚ます。
・本当は朝から活動したかったが、どうしても身体を動かすことができず、気づいたら昼になっていた。
・新聞記者をやっている腐れ縁な地元の友人と会う予定だったが、今日は無理かもなと思い、断りの連絡を入れた。
・昼、ようやくのそのそと布団から身を投げ出し、薬を飲み、無理やり身体を引きずって顔を洗う。
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・友人には断りの連絡を入れたが、このまま外に出ないとおそらくこの気怠さは明日以降も引きずる。
・振り回して申し訳ないと思いながら彼に電話をかけ、やはり今日は会えないかと打診したところ、快諾してくれた。
・身支度し、家の近くの喫茶店でお昼を済ませ、集合場所とした浅草へ向かった。
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・浅草で友人と落ち合ってから隅田川を渡り、隅田公園の芝生があるエリアでキャッチボールをした。
・東京において、公園で身体を動かすことに付き合ってくれる友人は少ない。貴重だ。
・高校時代を思い出しながら、ボールを取っては投げていた。
・周りには家族やカップル、高校生の友人グループたちなどで賑わっている。
・おそらく20代後半の男二人でキャッチボールをしているのは自分たちしかいなかっただろう。
・電話はよくするものの、彼と対面するのは3~4ヶ月ぶりであった。
・久しぶりに見た彼は無精ひげが生えていて目の下にはひどいクマがあり、くたびれた顔をしていた。
・自分たちが頻繁に顔を合わせていたのは高校時代。老けたな、と思った。
・自分は自分で「お前また痩せた?」と言われた。
・あぁ、痩せたよ。社会人になってから、痩せ続けている。この5年で7kg痩せた。
・お互い社会の荒波に揉まれて、あの頃の無垢さを失っていた。
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・キャッチボールをひとしきり楽しんだあとは少しだけ散歩をし、ドトールで駄弁った。
・互いの悩みを話す。思い出話に花を咲かせる。今後を憂う。
・仕事に悩まされている、という話をした。彼は、執着を捨てろ、と返した。
・以前も同じような助言をしてくれたことがあり、頭ではわかっているつもりだった。
・だが自分の状況を対話という手段を通じて言語化することで、執着していたことに気づかされた。
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・会社における他人というのは思っている以上に、自分に興味がない。
・自分に置き換えてみるとわかりやすい。先日、同年代が3人一気に離職したが、あまり興味がなかったので、彼らの最終出社日も自分の体調を優先させ在宅勤務をした。
・送別会も参加しなかった。余裕があれば行ったかもしれないが、所詮そのレベルで、まぁ普通の飲み会イベントと変わらない感覚だったので参加表明しなかった。
・同じなのだ。
・別に自分がどれだけ忙しかろうが、自分が潰れようが、彼らは自分にたいして興味がない。
・仮に自分が仕事ができる人間で、優秀だったとて、一目置かれることもない。
・そもそもこんな広い世界の中を生きているのに、星の数ほど無数にある会社──しかも中小企業の中で仮に興味を持ってもらえたとて、だからなんなのだ、という話である。
・なぜ自分はそんな中で頑張ろうとしていたのだろうか。
・執着を捨てることは確かに勇気がいる行動だが、そもそも執着していることに気づいてなかったのは、恐ろしい。
・「俺もお前がどれだけその会社の中で頑張っていたとしても、興味ないし、知ることもできないよ」
・その通りだ。自分も、彼の仕事ぶりには興味がないし、興味があるのは自分と長年つるんでくれる彼の人間性や、彼とこれまで築いてきた・あるいはこれからも築いていくであろう、思い出である。
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・離職者が多くでたことによる引継ぎや、海外出張に行っていたことで国内案件の状況が把握できなくなっていたこと、また来期から組織体制が新しくなるのに伴い性質の異なる仕事も扱いだしたことで、我を見失っていた。
・後ろ指さされたって良い。全部お気に召すまま、一目散に逃げちゃおう。
