見出し画像

033:灰色

・自分にとっての灰色は、つまらない日常を観測する時にかける眼鏡のレンズだ。
・親が離婚した直後の中学生時代を思い返すと、比喩とかではなく本当にセピア色の情景が想起される。
・東京で過ごす日々も、灰色がかった光景をよく目にする。

・デザイナー・フォトグラファーをやっている親愛なる友人がいるのだが、彼の写真は全て灰色だ。
・そんな彼のデザイン学校での卒業制作となる写真集を見せてもらったのだが、冒頭挨拶文が興味深く、東京の情景を灰色に写したその写真集は素晴らしい作品だった。

・彼は自分と同じく灰色のレンズのついた眼鏡をかけて東京というコンクリートジャングルを見ているようだが、自分は「つまらないもの」として見ていなかったその光景を彼は「美しいもの」として捉えていた。
・見えている風景はきっと同じようなもののはずなのに。

・灰色が単なるつまらないものを移す色ではないことに気付かされた。
・彼の灰色を通して表現された東京のもつ躍動感、都市としての可能性は、自分が見てきた灰色の中で最も輝いていた。
・ただ写真集が素晴らしかったという話ではあるが、自分の価値観が少し変わったような感覚になった。


・よく海外に留学に行き価値観の変わる学生が揶揄されることがある。
・以前仕事でタイまで出張し、それはそれで刺激的な毎日を数日間送ったのだが、価値観が変わるなんてことは全くなく、そんなことはそうそうないものなのだなと思った。
・日常の中のちょっとした出来事のおりに、変革は起きているのだ。

・何はともあれ、彼は大成して欲しい。親愛なる友人であり、古参ファンでありたい。

いいなと思ったら応援しよう!