サッカー経験者でもない男がリフティングのコツを語る
前回のつづきです。運動神経については、理解してくださっている事を前提に話を進めます。
ここでは、リフティングを取り上げましたが、どのようなスポーツであれ、理屈、やるべき事は同じです。「運動神経の仕組みを把握し、最適な神経伝達回路を形成する事」これに尽きます。
なお、リフティングとは本来なら、サッカーが上達するための訓練のひとつですが、ここでは、サッカーの存在は考慮していません。
あくまでも、リフティング連続100回を達成するために必要な事を優先に考えています。
さらに、僕はサッカー未経験です。せいぜい小中学校の頃、遊びでやっていた程度である事は予め申し添えておきます。
1)運動神経伝達ルート

さて、まずご理解戴きたいのが、「全ての動作は、脳からの指令が運動神経を介して必要な筋肉を動かした結果」だという事です。例外はありません。無意識の動作、いわゆる癖でさえ該当します。
例えば、日本人なら、殆どの人がお箸を使えるでしょう。いちいち「人差し指はこう動かして・・・」などと考えたりしませんよね?
ところが、お箸を使い始めた頃はどうだったでしょうか?程度の差はありますが悪戦苦闘したはずです。
ご家庭によっては、お箸での食事が苦にならなくなった後も、「そうではない」「正しく使いなさい」と何度もダメだしされた方もいるでしょう。
これは、お箸を使うために必要な運動神経が形成され始めた頃だとお考え下さい。
親の忠告を無視して、お箸を使い続けた場合、正しくない運動神経伝達ルートが強化されます。無意識での動作が可能なレベルにまで強化されてしまうと矯正は大変です。
「うるさいなぁ」と思いつつも、親の忠告に従った場合、正しい運動神経伝達ルートが強化されます。
ここで大切な事は、不慣れな動作であるうちなら矯正も簡単だという点です。
2)体が覚えるまで

スポーツの世界では、「体が覚えるまでやれ」という概念があります。
競技中に、「この動作をする時は・・・」と考えていては、どうしてもパフォーマンスが低下しますので「無意識で動けるレベルにまで昇華させろ」という事です。
ただし、とにかく「がむしゃらに頑張れ」という意味ではありません。理由はお分かりですよね?間違ったフォームが定着してしまうからです。
「体が覚えるまでやれ」というのは、正しい動作を何度も繰り返して、正しいフォームを定着させよう、そういう事ですね。
何事にも基本となる型は存在します。これは、最も効率よくパフォーマンスを発揮するために、先達が試行錯誤したうえでの結論、つまり経験と知の結晶なのです。
プロのスポーツ選手にも、個性的なフォームの方は存在します。ですが、おそらくは基本の型を習得したうえで、さらに発展させたものでしょう。そうではないなら、紛れもなく天才、という事になりますね。
3)フォームが崩れる時

次にご理解戴きたのが、決して「全力をだしてはいけない」という事です。
全力=無意識、つまり、正しい動作からかけ離れた素の動作がでてしまう事を意味します。
高校駅伝、あるいは、箱根駅伝でも構いませんが、スタート直後はどの選手も、よく訓練された美しいフォームで走り始めますよね。
ところが、終盤にも差し掛かると、息も絶え絶え、フォームが崩れている選手を見かけます。
一生懸命な姿に感動を覚える方もいらっしゃるかと思います。そこを否定するつもりはありません。
ですが、冷静に考えてみるとおかしな話なのです。
なぜなら、最も効率よく前方への推進力を追求したフォームなのですから、苦しい時こそ、維持した方が良いはずでしょう。
それにも関わらず、なぜ崩れるのか?答えは体力が限界に達して、その選手本来の走り方に戻ってしまったからです。
選手を否定しているわけではなく、「限界に達すると訓練したフォームはあっさりと崩れるもの」という事を認識してください。
理想としては、7割~8割です。逆に言えば、7割~8割の力をだしても安定するレベルの運動神経を構築しましょうという事です。
4)黒歴史
あまり書きたくはないのですが、自分のことにも触れておきましょう。
小学生の頃は、放課後に野球をして遊んでいました。少年野球で習ったわけではありませんので、フォームなど滅茶苦茶、力任せです。
とはいえ、この頃は言ったもの勝ちですから、だいたいピッチャーでした。ようするに「ピッチャー俺な」、そういうノリです。
実際、スピードはでるのです。ただし、ノーコンですけれども・・・。
その後、中学、高校と本格的に野球をする機会はありませんでした。たまにキャッチボールをするくらいでしょうか。
それで、高校3年生の遠足では「行き先は自分達で決めろ」という担任の、自主性を重んじてくださったのか、面倒だったのかは判然としませんが、クラスで行き先を考えることになりました。
誰が言い出したのか覚えていませんが、
A君 「おう、球場貸切って野球しようや」
僕 「ええやん、それ」
ということで、あっさり決定。最後の遠足は皆で野球をする事に相成りました。今思うと、実はイヤだった人もいたのでは、という気がしないでもありませんが、気のせいでしょう。たぶん。
当日は、野球部を差し置いて「ピッチャー俺」と言えるほど、僕は厚顔無恥ではありません。その辺りは弁えているのです。
ですが、終盤にもなると、疲れからか皆がダレはじめ、当初の緊張感はもはやありません。ようやく出番のようですね。

テレビでしか見たことのない黒土、マウンドの傾斜もしっかりあります。想像していたよりも高く感じました。これはテンションあがります。最初から全力でいかせてもらおうか。
というわけで、少しだけ投げたのですが、皆が軽く驚く程度の球速は維持していたようで「スピードだけは、たいしたものだな」と担任の先生にも誉められました。
「いえいえ」と謙遜しておきましたよ。高校生相応の弁えは持ち合わせているのです。だらしなくニヤニヤしていたと思いますけれども・・・。
気分よくベンチに引き上げてくると、クラスメイトから聞き捨てならないひと言が。
B君「お前あんな滅茶苦茶な投げ方で、なんで速いのん?」
僕 「あ”?」
B君「え?」
僕 「今なんて?」
B君「サイドスローやん」
『は?そんなわけがあるか。野球をしたのは小学生以来だが、キャッチボールはしていたのだ。お手本にしたのは、ジャイアンツの桑田だ。サイドスローなわけあるまい』
気になっていたのか、翌日、剣道部の道場へと向かいました。大きな鏡があるのです。
その鏡に向かって、子供用のボールを投げ込みます。当時、教室には何故か子供用ボールが数個常備されていたのです。
僕 「ええフォームやん、桑田みたいやろ?」
B君「いや、意識してるやん(笑)、全力で投げろや」
しからば、全力で。子供用の柔らかいボールとはいえ、鏡が破損したりはしないよな?と思いつつ、全力で投げ込みましたとも。
感想ですが『誰だ?お前は?』でした。間違いなくサイドスロー、というよりも横投げです。
桑田のライバルであった斎藤には似ても似つかない、まさしく小学生のフォームでした。子供フォームで、ドヤ顔しつつ投げていたわけです。これは恥ずかしい・・・。
5)まとめ

長くなってしまいましたが、ここでの教訓は「全力を出すと最初に身体が記憶したフォームになってしまう」という事です。
素の動作がでてしまいやすいのは、体力が限界を迎えた時、イレギュラー時に咄嗟の判断を求められた時です。
従いまして、リフティング100回を達成しようとする場合
①素のフォームを把握する
②全力をだしてはいけない
これが前提になります。
またしても長文になってしまいましたので、つづきは次回に。自分語りはするべきではありませんでした。すみません・・・。
