真っ直ぐ歩けないのは何故なのか?
1)地平線までの距離
以下の様な話を聞いたことはありますか?
『目指すべき対象を目視できなければ、ヒトが真っ直ぐ歩き続けることは不可能』
360度、どの方角を向いても地平線以外には何も見えない状況、例えば砂漠を思い浮かべてください。
勾配のない水平な地だと仮定すれば、大人が目視できる距離は、おおよそ5キロ弱です。
仮に半径が10キロある円形砂漠の中心に居るとしましょう。
単純に考えれば、どちらに向かって歩いても直線距離にして10キロ歩けば砂漠の端に到達します。
ところが、実際には最短距離を歩き続けて砂漠を脱出できる人はいません。
なぜなら、ヒトは真っ直ぐ歩くことが出来ず、大抵の場合は左に曲がってしまうのです。
2)左回りが得意な理由
陸上競技ではトラックを左回りで走りますよね。
1913年、国際陸上競技連盟によって「トラック競技は左回りとする」と定められたためです。
理由としては、「左回りの方が走りやすく良い記録がでるため」とされています。
ちなみに、第一回(1896年)のアテネ五輪から、 第三回(1904年)のセントルイス五輪までは右回りでした。
左回りが走りやすい理由は諸説ありますが、明らかになっていません。
代表的な説としては以下の通りです。
① 心臓が左にあるため
② 地球の自転の影響
③ 利き足の影響
①は、心臓が左にあるため、無意識に左重心になってしまうという考え方ですが、さすがに違うでしょう。
心臓の位置は胸の中心あり、左側に少し突出している程度です。
そもそも、心臓は重要な臓器ではありますが、重量はそれ程でもありません。
ヒトの臓器で最も重いのは右側にある肝臓ですので理屈に合わないのです。
②は、確かになんらかの影響が生じる可能性があります。
とはいえ、スケールが壮大過ぎて実感しにくいですね。この説だと南半球にある競技場は、右回りの方が走りやすくならなければおかしいですが、その手の話は聞いたことがありません。
そういうわけで、③「利き足の影響」一択でしょう。
3)スーパーの秘密
野球もご存知の通り左回りですが、日本に持ち込まれたのは、1873年のことです。
陸上競技が右回り左回りで試行錯誤していた頃にはルールとして確立していました。
おそらくですが、「何となく左回りがしっくりくる」という感覚的なものから、そのまま定着したのではないかと予想します。
「競技場を走ることも、野球をする機会もないからどうでもいいや」と思いました?
それなら、もっと身近な例を挙げてみましょう。
例えばスーパーに買い物に行くと、まず果物や野菜コーナーがあり次いで魚や肉が並びます。さらに進めば、お惣菜やパンが陳列し、最終的にレジに到達するのです。
そして、1番端のレジを任されるのは、ベテランの頼りになる店員さんに違いありません。たぶんですけど。
もうお気づきですよね。スーパーも左回りすることを前提として、買い物しやすい順番に商品が並び、人員が配置されているのです。
稀に右回りのスーパーも存在しますが、「何となく買い物しにくい」という印象が残ってしまいます。
とはいえ、中には右回りが得意で、左回りが苦手な人もいます。利き足に由来すると考えれば当然ですよね。
その場合だと、右回りのスーパーの方が使い勝手の良いことになります。
右回りが得意な人からすると、陸上競技も野球も最初からハンデを背負っている事に他なりません。
直線を走れば、圧倒的なパフォーマンスを発揮する選手でも、カーブになると平凡な記録になってしまう選手は、つまりそういうことでしょう。
4)実際に調べてみよう
それでは最期に、あなたの身体は、左回りと右回りのどちらが得意なのか調べてみましょう。
簡単に試せるうえに、明確な結果がでますので是非に。
まずは、障害物が何もない空間を確保します。半径1M程度あれば十分です。
次に、その場で目を閉じて足踏みをします。腰の高さまで膝をあげるくらいのイメージで、20歩(左右10づつ)カウントしましょう。
後は目を開けて、身体の向きを確認するだけです。
※ 転倒してしまう可能性がありますので、補助してくれる方に監視を依頼してください
いかがでしたか?大半の方は、左方向に10度くらいのズレが生じていると思います。
人によっては、真横を向いていたり、前に進んだり、後ろに下がったりしているかもしれませんね。
前者なら何の問題もなし、バランスの良い筋骨格バランスです。後者は、何らかの対応が必要ではないかと考えます。
