【日記】 心に優しさを持て
いつもより少し遅めに起床してしまいました。窓を開けると心地よい日差しが、こんな晴れ晴れとした日は「太陽の塔」でも拝みにいけ、と告げた気がします。なので、10年ぶりくらいに吹田に行くことにしました。
朝ごはんは雑に食パンとコーヒーで済ませ、残りページが少なくなくなった村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み終えました。最終章では、物語の舞台が東京からフィンランドに移るのですが、どちらもまだ行ったことがない土地と国ゆえに、それぞれのイメージを膨らませるのに、朝食分のエネルギーが全て消費された気がします。
最寄駅から阪急列車を乗り継ぎ、万博公園の最寄駅、その一つ手前にある山田駅で下車しました。この時自らに課したサブクエストがあります。それが、"山田駅から太陽の塔に到着するまで、一切のテクノロジーを使用しないこと"です。
割と精度の高い自分の方位磁針に従い、公園の方向へ歩きました。最初は順調でした。大体は道なりでしたから。ただある地点で、二つある道のどちらに進めば良いのか分からなくなりました。
そんな時、二人の子供とその母親、それと祖母らしき方が僕の側を歩いてきました。確証はなかったですが、地元民であることを信じて話しかけました。
僕「ここから万博公園までって、どのように行けば良いですか?」
母親「もう少し歩いたら左に曲がるんです。そしたら見えてきますよ。」
少女「ママー、○○たちも行くんやし、一緒に行ったら良いやん」
祖母「ほんまやねぇー」
僕「良いんですか?」
母親「はい、いきましょか」
なんと有難いことにその方々は、見ず知らずの青年のために、万博公園の入り口まで着いてきてくれたのです。なんて優しいんでしょうか。なんて暖かいんでしょうか。ただでさえ今日は暖かい。それも一月中旬とは思えないほどに。だのに、これ以上温まっては季節外れの熱中症を患ってしまいますよ。
道中で、そのご家族は『タローマン』という、NHKが制作した岡本太郎式特撮活劇を見にきたそう。そうなると、この二人の少年少女も『タローマン』を見るのでしょうか。その歳で世界的巨匠の感性に触れるのでしょうか。ならばいつかはこの子達も岡本太郎が言うように、心に毒を持ち、内に秘めたる芸術を爆発させるのでしょうか。
少女「着いたよ」
変なことを考えているうちに、僕たちは公園の入り口まで来ていました。親切にしてくれたご家族一行にお礼を言い、僕たちは別れました。もちろん少女にも。
さて眼前にそびえ立つは、両手を大きく広げた白き物。
ただ僕の目には、先ほどの少女たちの心の方がより大きく見えてしまいました。21世紀はまだまだ明るい。
