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あまり参考にならない就活の話

新卒の後輩やインターン生から時々
「先輩はなぜこの会社を選んだんですか?」
「なぜこの業界を選んだんですか?」
と聞かれることがある。

そして私はこう返す。

「蓋を開けてみたらこんなにぴったりな業界も会社も他にないって思うけれど、今の仕事をしているのは完全にご縁としか言いようがない。だから就活エピソードとしては全然参考にならないかも」

誇張でもなんでもなく本当に参考にならないので仕方がない。


10年程前の当時、東京の大学4年生を迎えたばかりの私は就活をしていなかった。

大学の教授から「今年度中に募集開始予定のW Degree制度で中華圏の大学院に行かないか?」と提案を頂いたので、受験して大学院に行く気満々だったのである。

今日現在の私は休日はヘルスケアのカウンセラーとしても活動している通り元々中医学に関心があったのもあって、大学院で学びを深めながら中国語の上達と趣味で中医学やら水墨画やら新たな知識も得られたら良いなと非常に前向きだった。

一応帰国子女というのもあって海外に住むのも抵抗がなかったので中華圏で余暇に二胡を弾いている自分を妄想するくらいには大学四年生にして中々能天気な私だった。

しかしながらこのW Degree制度について春過ぎて初夏を迎え、そして夏がやってきても具体的な話がやってこない。
そろそろ出願しなくてはならないのでは?と思った私はその年の8月頃に教授に確認した。

すると教授から、こんな言葉が返ってきた。

「大変申し訳ないけど、W Degree制度の調印がペンディングしていて進まないから今年は無理かもしれない」

おっと?不穏だ。

非常に不穏だ。

時は大学四年生の8月。
同期の子達は基本的にもう就職先が決まっている頃。

今から焦って就職先を探すもほとんどの会社は今年度の新卒募集終わっているだろうしなあ、と思いつつ、一年理由もなく就職浪人できるほどの富豪でもない。

とあれやこれや考えた結果、
日本の大学院に進むのであれば就活を後ろ倒しをしても良いと父から有難きお言葉を頂いた。

学費はアルバイト放題でできる限り補填するとしても全額自力はきっと無理だったので寛大な父に大変感謝である。

で、大学の教授にも大学院受けます!という旨をお伝えし、大学四年生同年の冬に来る口頭試問を気長に待とうと思っていた。

ちなみに私はこういう事態に結構慣れている。

中三になったばかりの頃、父の海外転勤が決まって準備していた日本での高校受験は無くなり、高三の後半に父の帰国が決まり泣く泣く現地のインターナショナルスクールで卒業を迎えず思い入れのない日本の高校に半年だけ編入して卒業している。

なので予定していたものがその通りに行かなかったとしても「環境はめくるめく変化する。自分に実力さえつけていればどんな状況でもなんとかやっていける」という精神で生きてきた。
なので海外の大学院が日本の大学院に変わっても学びたいことが多岐にわたる私にはさして大きなことではなかった。

そんな中、11月に在学中の大学で秋採用と銘打って20社ほどの会社が採用面接を行なってくれるイベントがあった。
恵まれたことにエントリーシートは不要で、そのまま一次面接をしてくれるらしい。

採用を行っている会社の中に大手英会話教室の運営会社があった。採用枠は正社員の英会話講師。

そこで私は思いついた。

もしここで採用試験を受けて内定を頂けたとしたら、交渉して大学院在学時に非常勤講師として雇ってもらえないだろうか。

そうすると学生にしては中々良い給料を稼げるのではないか。

ということで応募してみた。
採用人事の方は落ち着いた品のある女性で私もこのように歳を重ねたいと思う方だった。
その上中々面接も良い感触だった。

その採用イベントでは最大2社までエントリー可能だったので、せっかくだからもう1社受けてみようと思い、20社の中で(個人的に)一番有名で大手と思われるIT企業に応募してみた。

大学の専攻はITとは程遠いし、
正直事業内容も細かく知らなかったので結構忖度なく自由に発言したのを覚えている。
何を話したのかはあまり覚えていないけれど、「生き方にガッツがあるね!」みたいなフィードバックを頂けたような気がする。

そんなこんなで大学で開催された就活の一次面接イベントは終わり、幸運なことにその後の面接や筆記試験も幸運なことにトントン拍子で進んだ。

英語講師の正社員の内定は先に頂けた。
非常に心ある会社で人生に関わることだからと2社目のIT企業の内定が出るまで待ちますと言って頂いた。

正直元々の目的は英語講師の正社員の内定を元に大学院生活で非常勤講師の資格を交渉することだったので2社目のIT企業の方は辞退でも良いかと思ったのだけれど両親から「とりあえず最後まで受けなさい」と愛情のある強い圧を感じたので最後まで受けることにした。

そして迎えた2社目の最終面接。
立派なビルの高層階に呼ばれ、
広い部屋に偉い人と私、1対1。

色々と質問された気がするが、それらほとんどは覚えていない。鮮明に覚えているのは最後の質問だけ。

「君は何がしたいの?」

という質問だった。

その企業にハマりたいという強い気持ちが無かった私はITとは関係があまりないようなことを正直に言った。

「日本の文化と技術を正当に輸出する仕事がしたい。海外で日本企業が正当に評価され、正当なお金を稼ぎ、数十年後もこの国を豊かにして行くために役に立てる人間になりたい」

今思い返しても、
ぱっと見ITと何ら関係のない回答に、
普通だったら
「ほんであんた何しにうちに受けに来たん?」と言われかねない内容だと思う。

でもその時面接官の偉い人はびっくりすることを言ったのである。

「うちなら出来る。手を挙げてこちらを説得させれば、なんでもやらせてあげる」

そう静かに言い切った。

私はびっくりした。
なんというか、そもそもITに直接関係のないことを回答した私がダメなのだけれど、それにしても「なんでもやらせてあげる」は随分と大きくでてくれた。

同時にこの会社に強い関心が湧く。
仕組みにITを使えば、やりたいことはなんでも出来るなんて。ベンチャーならともかく大手IT企業でそれを言い切る採用面接官。

その後、面接官からは

「必要なスキルは入ったら自然と覚える。別に簿記は取らなくても良いけどこの会社に入社するまでに財務諸表は読めるようになっておいた方がいい。どんな職種に配属になっても最低限の知識だ」

というコメントを最後に面接を終えた。

数日後、2社目についても内定の電話を頂いた。

すでに最終面接でその大手らしからぬ風土とカラーにかなり興味を惹かれたのに加えて、
内定を報告した後両親から
「大学院ではなく、絶対そっち(IT企業)が良いと思う」と強い推奨があったのもあり、
結果的に二転三転して大学院には進まずに
学部卒で業界も企業も全く検討に入れてなかったIT企業に入社を決めたのだった。

そして新卒で入社して10年近く経つけれども、
いまだ転職する気は起きない。

最終面接の口説き文句のように
「なんでも」やらせてくれているかと思えば
もちろん良識ある大手なので額面通りにとは言えないが、おそらく大手日系企業の中では最もあらゆる面で自由度が高く、挑戦に好意的で意見の反映性が高いので面接官が言わんとしていたことはよく理解できる。学びが多く、ワークライフバランスも良い。

正式な承認プロセスを通過すれば副業もできる。(実際今の私は休日は東洋医学ベースの体質改善カウンセラーとして働いている)

転職はせずとも異なる部門の異動で事業内容は転職と同様の変化があるので、10年近く経っても新鮮な気持ちで働けている。

とまあ、こんな経緯で私は当初想定していたキャリアから二転三転して思わぬ業界・企業に入り、意外とそれが自分に合っていて10年経つ。

楽しいキャリアパスを進めている理由としては10代の頃から「受け身でしがみつくのではなく、逃げずに能動的に向き合って楽しむ」ことを大事にしてきたのが大きいのではないかなと思う。

思わぬ事態が起きても、
及び腰にならずに向き合って能動的に考え行動してみる。それでだめなら別の方法を考えてみる。外的要因ではなく、自分の内側に培ったもので勝負する覚悟を持つ。

そう決めていれば何を選択しても結果オーライになる気がしている。

なので全く参考にならない就活エピソードだとは思いつつ、楽しいキャリアを歩むためのマインドセットはいささか参考になったら嬉しい。
(マインドセットに重きを置きがちINFJ)
















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Yumi (JTC海外事業開発  兼 ホリスティック食養生デザイナー) よろしければ応援いただけると嬉しいです!いただいたチップはより質の良い情報をお届けできるように、文献や検証材料費に使わせていただきます。