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『妻』をやめたら、彼をもっと好きになった

結婚と恋人って、何が違うんだろう。

好きな人と一緒にいたい。
できれば、ずっと仲良くいたい。

そこまでは、とてもシンプルなのに、
「じゃあ結婚する?」となった途端、話が少し複雑になる。

私は一度、その人と結婚している。

付き合っていた頃の私は、
そのままの延長線上に結婚があると思っていた。

好きな人と一緒にいる時間が増えて、
帰る場所が同じになって、
それがずっと続いていく。

たぶん、そんなイメージだった。

でも実際に結婚してみると、少し違った。

名字が変わった。

「彼女」から「妻」になった。

そして気づかないうちに、
それまでなかったものが、私の肩の上に乗ってきた。

妻として。
嫁として。
その家の人間として。

結婚したのは一人の人だったはずなのに、
その人の家族や、その家で長く続いてきた習慣や価値観まで、どこか自分が引き受けなければならないような気がした。

もちろん、誰かに明確に
「こうしなさい」
と言われたわけではないことも多かったと思う。

むしろ私自身が、
「結婚したんだから」
「妻なんだから」
と、自分に役割を着せていった部分もあったのかもしれない。

恋人だった頃は、
私はただの「私」でよかった。

彼もただの「彼」だった。

ところが結婚した途端、

私は「妻」になり、
彼は「夫」になった。

二人の間に、役割が生まれた。

もしかすると私は、
結婚そのものが嫌だったわけではなくて、
好きだった二人の関係が、
「夫婦」という型に入れられてしまうことが苦しかったのかもしれない。

そして不思議なことに、
一度その型から出た今、
私たちは以前より仲がいい。

一緒にご飯を食べたり、
くだらない話をしたり、
電話をしたり、
お互いの家を行き来したり。

何かをしてもらったら嬉しいし、
何かしてあげたいと思う。

それはたぶん、
「妻だから」でも
「夫だから」でもない。

ただ、この人だから。

今の私は、その感覚がとても好きだ。

だからこそ、時々考える。

もし、もう一度籍を入れたら、
私たちはどうなるんだろう。

また私は「妻」になろうとしてしまうのだろうか。

彼にも「夫」を求めるようになるのだろうか。

家族や家の文化まで背負おうとして、
また二人の間に余計なものを置いてしまうのだろうか。

そう考えると、
籍を入れることには少し躊躇がある。

でもそれは、
彼との未来を躊躇していることとは、
少し違う気がしている。

むしろ私は、
できれば長く一緒にいたいと思っている。

だからこそ、

結婚しないと続かない関係なのか。
結婚した方が続く関係なのか。
それとも、結婚という形にとらわれない方が、私たちらしく続いていく関係なのか。

そこを、もう少し考えてみたい。

一度結婚して、
一度離婚して、
そしてまた仲良くなったからこそ、

「結婚すること」をゴールにするのではなく、

どうしたら、この人と死ぬまで仲良くいられるのか


今はそちらの方が、
私にとってずっと大事な問いになっている。

もしかしたら私が探しているのは、
「もう一度、夫婦になる方法」ではなくて、

夫婦という形を超えても続いていく、
二人なりの関係のつくり方なのかもしれない。

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