雨の森で、バクさんとクロロさんに出会った。
「もりの教室 in 逢瀬」を開催しました
2026年7月26日、福島県郡山市逢瀬町で「もりの教室 in 逢瀬〜森のドアとミニ地球を体験する夏〜」を開催しました。
今回の主役は、「森のドア」と「ミニ地球」です。
森のドアでは、ごみが自然の中で分解されるのかを観察します。ミニ地球では、土や植物、水、空気などが関わり合う小さな生態系をつくります。
どちらも、その日に作って終わる工作ではありません。
時間がたつと何が変わるのか。自分たちの予想は合っていたのか。後日もう一度見に来て、続きを観察するための環境学習です。
当日は途中から雨が降り、予定どおりに進めるのが少し難しい時間もありました。
森の中で行う企画なので、天候はどうしてもこちらの都合に合わせてはくれません。
それでも、雨の様子を見ながら場所や進め方を調整し、参加者の皆さんにも協力していただき、無事に森のドアとミニ地球の両方を完成させることができました。
むしろ、雨も含めて自然の中で学ぶ一日だったのかもしれません。
今回の先生は、森下英美子先生
今回の「もりの教室」で講師を務めてくださったのは、森下英美子先生です。いつもありがとうございます!!
中潟の恩師の一人です。
森下先生の説明で特に面白かったのは、自然の仕組みを、子どもにも届く言葉へ置き換えていたことでした。
バクテリアは、食いしん坊だけれど、おいしいものしか食べないグルメな「バクさん」。植物の光合成を支えるクロロフィルは、葉っぱの中で働く「クロロさん」として登場します。
難しい言葉をただ簡単にするのではなく、子どもたちが想像できる存在に変えて伝えていました。
また、子どもたち一人ひとりと目を合わせ、反応を確かめながら説明していたことも印象に残っています。その場で全部を理解してもらうことだけを目指すのではなく、まずは言葉や体験を記憶に残す。将来、学校でバクテリアや光合成を習ったときに、「あのときのバクさんだ」「クロロさんの話だ」と知識が接続されることまで考えられているように感じました。
今すぐ理解できることだけが、学びではありません。
森の中で聞いた言葉や、自分の手でつくった経験が、数年後の授業とつながることもあります。森下先生の説明を聞きながら、環境教育の面白さは、未来の理解につながる種を渡せることにもあるのだと思いました。
バクテリアは、食いしん坊でグルメな「バクさん」
今回、特に面白かったのは、自然の仕組みを子どもにも伝わる言葉へ置き換えて説明していたことです。
例えば、森の中でごみや落ち葉などの分解に関わるバクテリアは、「バクさん」として登場しました。

バクさんは食いしん坊です。
ただし、何でも食べるわけではありません。
実はかなりのグルメで、おいしいものしか食べません。
森の中に置かれたものをバクさんが食べられるなら、少しずつ自然に帰っていきます。でも、バクさんが食べられないものは、そのまま残ってしまいます。
「バクテリアが有機物を分解する」と説明すると、子どもには少し難しく聞こえます。
でも、「食いしん坊だけど、好き嫌いがあるバクさん」と聞けば、何となくイメージできます。
森のドアの裏側には、性質の違うさまざまなものを貼りつけました。
どれをバクさんは食べるのか。
どれはおいしくないのか。
どれは時間がたっても残るのか。
最初にみんなで予想し、その答えはこれから森の中で少しずつ明らかになっていきます。
「ごみは自然に帰るのか」という大きな問いが、バクさんを通すことで、子どもたちの近くまで降りてきたように感じました。
光合成をしてくれる「クロロさん」
植物の働きを説明するときには、光合成を支えるクロロフィルが「クロロさん」として登場しました。
植物は、ただ土に植わっているだけではありません。
光を受け、水や空気と関わりながら生きています。その大切な働きをしているのがクロロフィルです。
でも、いきなりクロロフィルや光合成の仕組みを詳しく説明しても、小さな子どもにはすぐには理解できないかもしれません。
そこで、「葉っぱの中にクロロさんがいて、太陽の光を使って植物を元気にしている」という形で伝えます。
これなら、子どもたちも葉っぱを見たときに、少し違った見方ができます。
葉っぱの中では何かが起きている。
見えないけれど、クロロさんが働いている。
そんなふうに一度でも聞いておけば、将来、学校で光合成やクロロフィルを習ったときに、「あのときのクロロさんだ」と知識がつながるかもしれません。
私は、ここがとても面白いと思いました。
「今わかること」だけが、学びではない
学びの場では、ついその場で理解してもらうことを目標にしてしまいます。
今日教えたことを、今日わかってもらう。
質問したら、正しく答えてもらう。
もちろん、それも大切です。
でも、今回のもりの教室を見ていると、今すぐ全部を理解できなくてもいいのだと思いました。
バクさんやクロロさんという名前だけが、何となく記憶に残る。
森の中で土を触った感覚が残る。
雨の中でミニ地球を作ったことを覚えている。
その記憶が、数年後に学校で習う知識とつながるかもしれません。
「あ、これ知っている」
「昔、森で聞いたことがある」
そう思った瞬間に、教科書の中の言葉が、自分の経験を伴った知識へ変わります。
先生が子どもたちと目を合わせながら、反応を見て、わかりやすい言葉に置き換えて説明していたことも印象的でした。
一方的に答えを教えるのではなく、子どもがどこまで理解しているのかを見ながら、少しずつ届けていく。
今すぐの理解だけではなく、未来の理解につながるきっかけを渡す。
環境教育には、そういう役割もあるのだと思います。
もりのドアで分解と循環を学ぶ
もりのドアとはもりの沖入りの箇所にドアを設置するというものです。
ドアの内側(地面側)にはごみを設置します。
接地したごみをバクさん(バクテリア)や虫たちがどのように勝利していくのか、食べられずに残るものは何か。
たくさん考えながらドアにごみを打ち付けていきます。
みんなの予想を聞きながら「これは結果発表の時盛り上がるぞ!」って思いました。



小さな地球を、自分たちの手でつくる
ミニ地球では、土や植物などを使って、小さな自然環境をつくりました。
土があり、植物があり、水分があり、空気がある。
それぞれは別々に見えますが、自然の中ではすべてが関わり合っています。
水分が多すぎてもいけません。
少なすぎても植物は育ちません。
光の当たり方や気温によっても変わります。
自分たちの手で小さな地球をつくることで、地球環境という大きな言葉を、手元の大きさまで近づけることができます。
ミニ地球も、その場で完成して終わりではありません。
これから植物がどう変わるのか。
水分はどう動くのか。
中の環境はどうなっていくのか。
時間をかけて観察することで、自然の循環や環境のバランスが少しずつ見えてきます。
森のドアが「自然は何を分解できるのか」を考える体験なら、ミニ地球は「自然はどのような関係で成り立っているのか」を考える体験でした。
どちらも同じくらい大切な、今回の主役です。
地元の人に、逢瀬町のフィールドを知ってもらえた
今回うれしかったことの一つは、郡山市内の親子に、逢瀬町の自然を学びのフィールドとして知ってもらえたことです。
逢瀬町には、森も、畑も、川もあります。
自然が身近にある地域です。
ただ、自然があるだけで、自動的に学びの場になるわけではありません。
そこへ入るきっかけや、自然を見る視点を渡してくれる人が必要です。
「ただの落ち葉」だと思っていたものが、分解されて土へ戻る途中のものに見える。
「ただの葉っぱ」が、クロロさんの働く場所に見える。
「ただのごみ」が、自然に帰るものと帰らないものを考える教材になる。
もりの教室を通じて、普段見ている森の風景が少し違って見えるようになったなら、とてもうれしいです。
遠くへ出かけなくても、郡山市内には親子で学べる場所があります。
そして逢瀬町は、農業体験だけをする場所でもありません。
自然の循環や環境について、体験しながら考えられる場所でもあります。
逢瀬いなか体験交流協議会は、環境教育もしています
逢瀬いなか体験交流協議会というと、農業体験や農泊、学生との交流、農産物の販売などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それらも大切な活動です。
でも、逢瀬町にある地域資源は農業だけではありません。
森や川、生きもの、土、地域の暮らしも、子どもたちにとっての学びになります。
今回のもりの教室では、森のドアとミニ地球を通して、自然の分解と循環を考えました。
環境問題を大きな言葉のまま伝えるのではなく、実際に手を動かし、自分で予想し、時間をかけて観察する。
子どもにも伝わる言葉に置き換えながら、将来の学びにつながる種を渡す。
そんな環境教育を、逢瀬町のフィールドで実施することができました。
雨も降り、簡単な一日ではありませんでした。
それでも参加者の皆さんと臨機応変に動き、二つの体験を無事に形にできたことは、本当によかったです。
これから森のドアとミニ地球がどう変わっていくのか。
バクさんは、どれを食べてくれるのか。
クロロさんは、植物の中でどんな働きをしてくれるのか。
今回の教室は終わりましたが、観察はまだ始まったばかりです。
逢瀬いなか体験交流協議会は、環境教育もしています。
そして、逢瀬町の森には、まだまだ学べることがありそうです。

