傑作映画「国宝」(カンヌ国際映画祭公式上映作品)の見どころ7選!
第78回カンヌ国際映画祭監督週間で公式上映された映画『国宝』が、大好評上映中です。
任侠の家に生まれ、歌舞伎の世界へと身を投じた立花喜久雄(吉沢亮)が、歌舞伎界の御曹司、大垣俊介(横浜流星)と切磋琢磨しながら、芸に身を捧げる半生を描く大作。
観終わった感想ですが、間違いなく、今年を代表する日本映画であり、主演・吉沢亮の代表作となると感じました。
本作では、日本の伝統芸能である歌舞伎が圧倒的な映像美として見事に結晶化されています。同時に、歌舞伎という伝統芸能を主軸に織りなされる人間ドラマも魅力的で、観客の心を揺さぶります。
原作は吉田修一氏の長編小説「国宝」。
映画本編の歌舞伎指導も担当した中村鴈治郎のもと、著者の吉田氏自身が約3年にわたり、黒子として歌舞伎の楽屋に入り、その経験をもとに書き上げた渾身の一作です。
メガホンを取るのは、『悪人』(2010)、『怒り』(2016)に続き、三度目の吉田作品の映画化となる李相日監督。『フラガール』(2006)、『流浪の月』(2022)など、日本映画史に残る名作を世に送り出してきました。
脚本に『時を書ける少女』(2006)、『サマーウォーズ』(2009)、『八日目の蝉』(2011)、『コーヒーが冷めないうちに』(2018)などを手がけた奥寺佐渡子。
主演の吉沢亮と共演の横浜流星の2人は、日本映画界を代表する若手実力派俳優です。
第一線で活躍する製作陣・キャストが、日本の伝統芸能・歌舞伎をテーマにした作品に挑戦し、世界的に評価されている!
それだけでもワクワクしますよね。
この記事では、本作の見どころを7点ご紹介していきます。
(※ネタバレなしを心がけましたが、予備知識なしに映画を観たい!という方はご注意ください)
(※サムネは公式サイトより引用しています)
見どころ①才能か?血統か?歌舞伎を舞台に繰り広げられる人間ドラマ
物語の主役は、任侠の一門に生まれ、歌舞伎役者の家に引き取られた立花喜久雄と、喜久雄が引き取られた家の跡取り息子である俊介の2人です。
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に才能を見出されて、部屋に弟子入りし、めきめきと実力をつけていく喜久雄。
半二郎の跡取り息子として、幼い頃から芸を磨き、歌舞伎役者になることを運命づけられている俊介。
生い立ちも才能も異なる2人が、共に激動の人生を歩みながら、芸の道を極めていきます。
喜久雄は歌舞伎一門の生まれではないけど、「生まれ持っての女型」と言われるほど素質に恵まれ、さらに努力を重ねていきます。当然、親方が目をかけるのも分かります。
でも、もし後ろ盾である親方を失ったら?
たちまち地位を追われて、芸事どころではなくなってしまいます。
最後は血筋が守ってくれる。
そんな励ましが通じるくらい、歌舞伎の世界での世襲制は強固なものです。
一方、俊介はどんなに歌舞伎から離れても、血筋からは逃れる事ができません。
長い年月をかけて繰り広げられる、才能と血統の戦い。
実力があっても、血筋がなければ生き残れない。
血筋があっても、才能がなければ大成できない。
どちらかだけでは生き残れない悔しさを感じさせつつ、最大のライバルでもあり、親友でもある2人の人間模様から目が離せませんでした。
見どころ②トップの孤独
・花井半次郎(演:渡辺謙)
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎。息子の俊介に芸を教えつつ、喜久雄を見出します。
彼は、実の息子に跡を継がせたい親心と、歌舞伎という芸事の世界で、才能ある者を花開かせたい気持ちで、長年の葛藤を抱えていたように感じます。
現代でも、経営者が跡取り息子に会社を継がせるか、叩き上げの優秀な部下に経営を任せるかを迷うところ。
いつの時代も、「トップに孤独はつきもの」なのかもしれません。
・立花喜久雄(演:吉沢亮)
ある時から、「歌舞伎でトップになりたい。そのほかには何も要らない」と心に決めて進む喜久雄。
元々身寄りのない喜久雄ですが、トップに上り詰めるためには、大切なものを捨てたり、普通の幸せとは程遠い生き方に入っていくように見える時もあります。
芸の道は厳しいと言えど、一体どこまでが本道で、どこまでがやりすぎなのか、自分でも分からなくなりそうです。
キャリアとしての成功が、果たして人としての成功なのか?と考えさせられてしまうシーンもありました。
・大垣俊介(演:横浜流星)
歌舞伎の名門の跡取りであるというプライドと、喜久雄にどんどん実力を付けられる焦り。
一番の親友でありながら、最大のライバルでもある喜久雄との関係に苦悩します。
俊介は果たして、一番ほしいものを得られたのか?大切な人との日々を過ごせた幸せはあったのか?
喜久雄と対をなすような生き様に、人生について考えざるを得ませんでした。
見どころ③芸と狂気。極めた先は転落か?究極の美か?
芸の道を本格的に極めるには、過酷な稽古が必要です。
特に歌舞伎と言えば、日本の伝統芸能として、幼少期からの厳しい訓練を積まれている方が多いです。
時には肉体的にも精神的にも、限界まで追い詰められる。
そんな時、一体何のために芸を磨いているのかが見えなくなることもあると思います。
芸の上達のためなら、すべてを捨てていいのか?
大切な何かを見失ってはいないか?
芸を通して自己完成の道を歩んだ際、最後に見えるのはどんな景色なのか?
歌舞伎の上達に情熱の炎を燃やす2人の姿に注目です!
見どころ④吉沢亮と横浜流星の歌舞伎が美しい!
吉沢亮と横浜流星は、歌舞伎界出身ではないため、本作で歌舞伎役者を演じるには、想像を絶する努力が必要であったと思います。
2人は撮影に入る前、約1年半の歌舞伎稽古に臨んだと言います。
日本映画界を代表する俳優が歌舞伎役者を演じるために心血を注いだからこそ、歌舞伎の演目だけでなく、舞台にかける想い、本番に至るまでの心の葛藤がうまく描かれていました。
もちろん、「二人藤娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」「鷺娘」などの歌舞伎の演目があますところなく披露されているのも圧巻!
映像作品とはいえ、歌舞伎の演目を演じ切るのに、吉沢亮と横浜流星のお2人は、一体どれだけ努力したのでしょう?
あまりの完成度に身が震える想いでした。
見どころ⑤歌舞伎の美を映像美に昇華!
キャストの努力と、撮影スタッフの努力の結果、スクリーンでは歌舞伎の舞台で見られる「引き」の芸術以上に、映像としての「寄り」の芸術も堪能することができます。
それも、映画という特上スクリーンの中で、プロモーションビデオの如く、歌舞伎演目のハイライトを楽しむことができるわけです。
歌舞伎であって、歌舞伎でない。
映像作品として、歌舞伎の魅力を新感覚で伝えることに成功していると感じました。
見どころ⑥歌舞伎を知らない海外の人でも楽しめる!
歌舞伎といえば、舞台で観るものであり、お馴染みのストーリーを知っている人が楽しめるツウな世界。
そう思う方がいらっしゃるとしたら、この映画はその常識を大きく覆すことになるでしょう。
もちろん、歌舞伎の演目を知っていた方が楽しめますが、知らなくても十分楽しめるような構成になっています。
カンヌ国際映画祭に出品しているところを見ると、海外の方が観ても歌舞伎のストーリーを理解できるように脚本等の練り込みもなされたのではないかと拝察します。
日本の歌舞伎を知らない海外の方でも理解できるように作られている。
ということは、日本人の私たちが観て分からないわけはないんです!
歌舞伎に馴染みのない方も楽しめる。
これだけでも、「国宝」を観る価値があると思います。
見どころ⑦「これが日本だ!」を引っ提げて世界で勝負している
「国宝」では、日本の伝統芸能である「歌舞伎」で、映画界に身を置く者であれば誰もが憧れるであろうカンヌ国際映画祭に出品しています。
ここに、「これぞ日本!と思わせるテーマで、世界の舞台で勝負したい!」という意気込みを感じます。
実際、カンヌ上映の際には、李相日監督が、「日本の伝統芸能を扱っている作品がカンヌに出品されることは、そう多くはない。今の映画界でトップを走っている俳優たちが勢ぞろいして、日本の伝統芸能を題材にした作品に取り組むという、エンターテインメント性と作品性の両方を持っている作品が選出されたのはすごいこと」と語っています。
映画上映後、吉沢さんは「この作品に込めた熱量をしっかり受け取ってもらえた」との手ごたえを感じたそうです。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか?
他の映画レビューとはまたひと味違った角度から、作品の魅力をご紹介できていたなら幸いです。日本映画界の益々のご発展をお祈りしています。
映画「国宝」、まだの方はぜひ鑑賞してみてくださいね。
映画『国宝』概要
監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
出演:吉沢亮
横浜流星/高畑充希、寺島しのぶ
森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達
永瀬正敏
嶋田久作、宮澤エマ、田中泯
渡辺謙
原作:『国宝』吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
配給:東宝
(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会
(公式サイトより引用)
※自己紹介とサイトマップをつくりました🌟
