見出し画像

屈辱に耐え、商戦に耐え、男たちが行きつく先は?山崎豊子の「不毛地帯」①

いつも私の記事をご覧くださり、ありがとうございます🌸

定期購読マガジン「仲川光🌸文学入門」、3度第1回を公開させていただきます。

この記事がいいな!と思った方、続きが読みたいと思った方は、ぜひ定期購読マガジンの方をご検討くださいね。↓↓


※単体の有料記事だと250円。
※定期購読マガジンですと1ヵ月980円。
※月2作品ほどご紹介。あらすじ・解説で1作品につき3~4記事。
※継続購読であれば、圧倒的に定期購読マガジンがお得です🌸
※定期マガジンに加入すれば、その月の記事がずっと読めますが、加入しないと、その月の記事は読めなくなってしまいます💦
今月分の購入を検討されている方は、お早めにどうぞ💖

3月第1作目には山崎豊子『不毛地帯』を取り上げます。

『不毛地帯』は、『白い巨塔』『華麗なる一族』などの作者・山崎豊子氏の長編の中でも、特に優れた作品の一つと言われています。

主人公の壱岐正は、若くして大本営作戦参謀として直接、大東亜戦争の開戦・敗戦に携わります。

そして、シベリアに捕虜として十一年も抑留され、帰国後に商社マンに転身し、再び熾烈な戦いに入っていくという、特異な運命を背負った人間です。

社会派作品を得意とした山崎豊子氏の綿密な取材力の元、実在する人物や歴史的事件から紡ぎ出される物語は、重厚感溢れる大作として、日本の現代文学のレベルをグッと引き上げている印象です。



山崎豊子(1924~2013)

大阪府生まれ。本名、杉本豊子。小説家。
旧制京都女子専門学校(現京都女子大学)国文学科卒。
毎日新聞社の井上靖のもとで働きながら小説を書き始め、1975年に『暖簾』を刊行。翌年刊行した『花のれん』で直木賞を受賞。
社会問題に鋭く切り込むベストセラー小説を発表し続け、多くが映画化・ドラマ化された。
2013年、「週刊新潮」に『約束の海』を連載開始するが、未完のまま同年9月に死去。

代表作品:『白い巨塔』『華麗なる一族』『大地の子』『沈まぬ太陽』など


【書き出し】

この小説はフィクションである。例えば歴史的に相当する人物がいても、それは単なる偶然の一致に過ぎない。

社長室の窓の外に大阪城が見え、眼下に帯のような堂島川が見える。

近畿商事の社長である大門一三は、朝、出社すると、窓寄りの机に坐り、大阪城を視野におさめる。冴えた冬陽の中で、天守閣の甍(いらか)と塗籠(ぬりごめ)の白壁がくっきりと空に聳(そび)えている。


【名言】

二度と過ちを犯さないために、生きて歴史の証人になること、それが貴様の使命だ!

世界二千年の歴史を振り返ると、守りだけでも、攻めだけでも、勝利したためしはない。

自他ともに生きる共生の心が存在しなければならない。



【あらすじ】

壱岐正は、近畿商事の社長、大門一三が、半年間、入社するよう口説き続けた男だ。

壱岐は、陸軍大学校を主席で卒業し、大本営陸軍部作戦参謀まで登り詰めたが、大東亜戦争の終焉と同時に、11年間ソ連に独立され、その後、2年間は同じく抑留された仲間の就職の世話をしていた。

面接で入社を迷う壱岐に大門は、「軍と商社は同じやと思う。両方とも元手なしで、要は人と頭の使い方一つで、浮きも沈みもする」と言い、説得に成功する。

”白い不毛地帯”シベリアでの抑留は過酷だった。大本営でマレー上陸作戦等の立案に参画した壱岐は、関東軍参謀を経て、終戦の4ヶ月前に、本土決戦の作戦要員として大本営に戻っていた。

日本が無条件降伏した後、関東軍への停戦命令書を携えて満州に飛んだが、壱岐の滞在中に司令部はソ連軍によって占拠され、壱岐も拘束された。

東京で極東軍事裁判の証言に立つと言う屈辱を味わった後、待っていたのはシベリアでの強制労働だった。

寒さと飢餓、暴力、密告等、人を人とも思わない仕打ちの中、同郷の谷川元大佐に言われた、「生き恥を曝しても、今、生きることは国家人としての責任だ。生きて歴史の証人となれ」と言う言葉を胸に、壱岐は耐え抜いた。

ここから先は

1,071字

¥ 250

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?