【Dirty Genes①】遺伝子は運命じゃない!不調を招く遺伝子の洗い方
どうも精密栄養カウンセラーのナカハラです。
実体験や日々の学びを元に、皆さんに役立つ健康情報をお届けしています!
本日はご好評いただいた書籍要約シリーズの第二弾。
今回取り上げるのはベン・リンチ博士の『Dirty Genes(ダーティー・ジーンズ)-汚れた遺伝子-』という一冊です!
正直、この書籍要約シリーズは準備にかなり時間がかかります笑
本を読んで、要点を整理して、何を伝えるか考えて……という作業が必要なので、頻繁にはできませんが、たまに取り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!
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「汚れた遺伝子」とは何か

著者について
この本を書いたのはベン・リンチ博士というアメリカの自然療法医(ナチュロパシック・ドクター、NPとも呼ばれます)です。
エピジェネティックスと栄養遺伝学の専門家で、「Seeking Health」というサプリメント企業の社長でもあります。
「汚れた」という表現の意味
「汚れた遺伝子」という表現に驚かれる方も多いでしょう。
これは、糖尿病の家系だとか、遺伝的傾向だとよく言われるような、体に不具合や不健康を引き起こす遺伝子を比喩的に「汚れた」と表現しているのです。
本書から学べること
この書籍シリーズを通じて皆さんにお伝えできるのは:
遺伝子と食生活・ライフスタイルの関係
重要な遺伝子の特定(人間には膨大な数の遺伝子がありますが、その中でも特に重要なもの)
具体的な改善方法
遺伝子は運命ではない
エピジェネティクスという考え方
ベン・リンチ博士が強調するのは「遺伝子は運命ではない」ということ。
遺伝子は必ずしも決定づけられた宿命ではありません。
もともと汚れた遺伝子を持っているものであろうが、生活習慣によって汚れてしまったものであろうが(生活習慣によって汚れるんです!)、食事やライフスタイルの改善によって不具合を起こさない状態に持っていける。
これがエピジェネティクスと呼ばれる分野です。
この本が画期的な理由
従来の考え方では「遺伝だから仕方がない」で終わっていたところを、「遺伝子の発現をコントロールできる」という視点を提示したのが画期的なポイント。
体調不良の原因となっている遺伝子の汚れを特定し、それをクリーニングする方法を具体的に示しています。
遺伝学における重要な基礎知識

SNP(スニップ):一塩基多型とは
まず知っておくべき専門用語が「一塩基多型(いちえんきたけい)」。
SNP(スニップ)とも呼ばれます。
塩基とは何か
DNAを構成する文字のこと。
一つの部品だと思ってください。
基本的にA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4つの文字が組み合わさって設計図を作っているのがDNAです。
ヌクレオチドとは
塩基を含む1単位のこと。
ATGCなどの文字が並んでいる、そのひとまとまりを1単位として「ヌクレオチド」と呼びます。
SNPとは
この1つのヌクレオチドの一文字だけが違うという状態。
例えば、一般的にATGCという配列があったとして、これを仮に1つのヌクレオチドとしましょう。
このAのところがGに入れ替わって「GTGC」になっているような状態。
「普通とちょっと違いますよ」という状態がSNPです。
正常: A T G C
SNP: G T G C
たった一文字違うだけで、体の設計図の「ニュアンス」が変わるイメージです。
SNPの数と影響
私たちの体には約500万個のSNPがあると言われています。
「めちゃくちゃあるやん!」と思いますよね笑
だからこそ、みんな違う。
個性が出てくるということでもあります。
重要なポイント
ただし、SNPのほとんどはそこまで大きな影響を及ぼさないとされています。
しかし、中には私たちの健康や性格に大きな違いをもたらすものもある。
これが「重要遺伝子」というわけです。
自分のSNPを知ることで、健康管理や生き方を設計しやすくなります。
2つのクリーニング方法
ベン・リンチ博士は10年の研究と試行錯誤の末、2つの方法を提示しました:
1. ソーク&スクラブ
汚れた遺伝子を比喩的に言うと、洗剤に浸してから汚れを落とすような方法。
全体的にふわっと汚れを落とすイメージです。
2. スポットクリーニング
部分的かつ集中的に汚れを落とす方法。
スポットでゴシゴシと落とすイメージ。
この間に、自分の遺伝子のどこが汚れているのかという特徴を探る問診票があり、それを見ながら取り組んでいくという流れ。
これは「4週間プログラム」と呼ばれています。
たった1ヶ月取り組めば、ある程度の体感が得られるのではないかというのが、この本の提案です。
遺伝子は日々変化している
遺伝子は常に変化しています。
DNAから設計図が送られ、工場のようなところでガシャガシャと組み立てられ、アミノ酸からタンパク質が作られ、タンパク質から体が作られる……。
常に動いているのです。
設計図にバババッと健康に関する情報を書き込んでいる状態。
その時々で、太るも痩せるも、老化するも若々しくいるのも、思考の流れや気分、感情すべて、遺伝子が書き込んでいます。
重要なポイント
ただし、何が書き込まれるかは私たち次第です。
だから頑張りましょう!……というと「頑張らなあかんのかい」って話なんですけどね笑
でも、ここがやはり面白いところ。
健康は一朝一夕にはいきません。
西洋医学の薬などで症状を一時的に収めることはできますが、その裏では副作用が起きていて、根本治療にはなっていない。
根本原因としての食生活や睡眠、運動に取り組んでいくしかないというのが、この考え方です。
メチル化という重要な仕組み

メチル化とは何か
もう一つ重要な言葉が「メチル化」。
過去の配信でも何度か触れていますが、おさらいしましょう。
メチル化とは、分子にメチル基(CH₃:炭素と水素)という小さな化学基がつく反応のこと。
体の分子についたり離れたりするんです。
メチル化の役割
これが何をしているかというと、スイッチの役目。
遺伝子の発現をコントロールできるんです。
DNAの特定の場所にメチル基がつくことで、遺伝子のスイッチをオンオフする。
これがエピジェネティクスの代表例ですね。
メチル化が機能しないと何が起こるか
このシステムがうまく機能しないと、次のような問題が起こります:
本来発現すべきでない遺伝子が発現する
逆に、発現すべき遺伝子が発現しない
このような遺伝子発現の異常が生じるのです。
典型例ががん。
がんの原因となる遺伝子の発現を止めることができなくなってしまうのです!
メチル化=「遺伝子のスイッチ」
分子にメチル基がついたり離れたりすることで:
働いてほしい遺伝子を「ON」にする
ガンなどの悪い遺伝子を「OFF」にする
この制御がバグると、体調不良の引き金になります。
さらに肝臓はメチル基の供給(1炭素代謝)に深く関わる重要臓器とのこと。
やはり肝臓はできるだけいたわりましょうという話につながってきますね。
遺伝子のバックアップ機能

健康な生活による保護機能
健康な食生活をしていると、基本的には生まれつきの遺伝子であろうが、後から汚れたものであろうが、問題を起こさないようになっています。
正確に言うと「起こしにくい」状態です。
たまに不摂生で遺伝子が少し汚れてしまうこともあるでしょう。
しかし日頃からきちんとした生活を送っていれば、それほど害は少ないのです。
バックアップ機能の仕組み
不摂生で1個の遺伝子が汚れても、相互作用として他の遺伝子がバックアップ機能のように補填してくれます。
1つ目の遺伝子が汚れても、2個目、3個目の遺伝子がフォローに入る。
体全体としては不具合が起きないという仕組みが、実は体の中で働いているのです。
バックアップ機能の限界
ただし、体にとって劣悪な環境を与え続けると、そのバックアップ機能ですら限界を迎えます。
具体例で考えてみましょう
1つの遺伝子がダメージを受けても、2個目、3個目、4個目が助けようと頑張ってくれます。
しかし毎日ファストフードでハンバーガーとポテトと甘いコーラを飲み続けていたら……。
ドーパミンが出るから今日も明日も明後日も同じ食生活が続き、気づけばファストフードで体ができている状態に。
こうなると、だんだん2つ目、3つ目、4つ目の遺伝子も汚れていきます。
そして体に不具合が出てきます:
体がだるい
ブレインフォグが起きる
ニキビができる
体重が増える
イライラする
このような状態になっていくわけです。
重要なポイント
バックアップ機能があるということ、そしてその限界があるということを覚えておいてください。
2パターンの「汚れた遺伝子」

1. 汚れたように振る舞う遺伝子
SNP(一塩基多型)がなくても汚れることがあります。
大多数の人が同じような遺伝子配列を持っているにもかかわらず、食生活、ライフスタイル、環境毒、ストレスなどの影響で汚れたように振る舞う状態になります。
もともと生まれつき汚れているわけではないのです。
2. 生まれつき汚れた遺伝子
遺伝子多型、または遺伝子変異と呼ばれるもの。
これがSNPです。
SNP自体は“よくある個体差”で、問題になるのは一部だけなのですが。
SNPの数
先ほど述べたように、1人のゲノムにあるSNP数は約500万個。
しかし、遺伝子の働きを変える可能性のあるSNPは、この本では約4万個としています。
ただしこの数値は定かではありません。
遺伝子研究は日々進化しており、この本の出版時期からも時間が経過しています。
複数の情報源を確認しましたが意見が分かれているため、正確な数値はまだ確定していないというのが現状です。
ただし本書の解説という趣旨に沿って、ここでは約4万個という数値で進めていきます。
健康に最も大きな影響を与える7つの遺伝子
約4万個のうち、ベン・リンチ博士は「健康に最も大きな影響を与えるものは7つ」としています。
この本では、この7つの遺伝子のSNPに焦点を当てていきます。
500万個から4万個、そして4万個から7つへ。
大幅に絞り込まれました。
それだけ大きな役割を果たす遺伝子があるということです。
なぜこの7つが選ばれたのか
これら7つの遺伝子は、他の数百もの遺伝子にそれぞれ影響を与えます。
ハブのような役割を果たしているのです。
1個の重要遺伝子が汚れると、他の数百もが連鎖的に影響を受ける。
そのため、この7つのいずれかが汚れている場合、他の遺伝子も汚れていると考えられると本書では説明されています。
本書の核心的なメッセージ
本書で何度も繰り返されているのは次の点です:
生まれつき汚れた遺伝子であろうが、汚れたように振る舞っている遺伝子であろうが、正しい食生活、十分な睡眠、毒素・ストレスを避ける生活をすれば、問題を起こすことはない
先ほど紹介した4週間の遺伝子クリーニングプロトコル(ソーク&スクラブやスポットクリーニング)を実践することで、健康を改善できるというのが本書の趣旨です!
なぜSNPは存在するのか

「みんな汚れていない方がいいのに」と疑問に思う方もいるでしょう。
現代社会においては比較的安定した生活環境にあるため、SNPが不具合として働くというイメージがあります。
人類全体の生存戦略
しかし、もっと原始的な時代を考えてみましょう。
大陸を渡り歩いていた頃の移動民の時代です。
地球上で何が起こるかわからず、どんな環境に遭遇するかも予測できない状況。
その中で、人類全体の生存確率を高めるように設計されているのです。
現代社会では個性や個人を重視しがちですが、人類という種はそのようには設計されていません。
人類という種全体、より大きな視点での生存戦略が考慮されています。
多種多様である方が、種として生き延びやすいのです。
環境によって変わる生存戦略
環境が変われば、求められる能力も変わります。
現代社会の資本主義においては、合理的な資本主義への適性が高い人の方が生き延びやすいのは確かです。
しかし狩猟採集民族であれば、肉体の強さ、走る速さ、視力の良さといった要素が重要なファクターになります。
環境によって生存戦略が変わっていく中で、SNPの存在が人間という種の存続を支えています。
もし全員が同じ遺伝子を持っていたら、対処できない事態が起きた瞬間に種全体が絶滅する危険性があります。
しかし多種多様であることによって、ある個体は死んでも別の個体は生き残るという状況が生まれる。
これがSNPが存在する理由だと考えられています。
次回予告

さて、最も気になる「7つの遺伝子」とは何なのか。
次回はその7つの遺伝子について詳しく解説していきます!
あなたのイライラや体のだるさ、不調は実はこの7つのうちのどれかが原因かもしれません。
ぜひ次回もご覧くださいね!
おわりに
もう2月ですね。
相変わらず凄い早さで日々が進んでいます。
暦の上では立春も過ぎ、言っている間に体感的にも春がやってくるんでしょうね!
季節の変わり目はまた体調を崩しやすいので、引き続き気をつけながらやっていきましょう。
次回もお楽しみに!
それでは、今日も健康で!
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参考文献・エビデンス一覧
Dirty Genes: A Breakthrough Program to Treat the Root Cause of Illness and Optimize Your Health
エピジェネティクスの基礎
Feinberg, A. P. (2007). Phenotypic plasticity and the epigenetics of human disease. Nature, 447(7143), 433-440.
Jirtle, R. L., & Skinner, M. K. (2007). Environmental epigenomics and disease susceptibility. Nature Reviews Genetics, 8(4), 253-262.
SNPと遺伝子多型
Sachidanandam, R., et al. (2001). A map of human genome sequence variation containing 1.42 million single nucleotide polymorphisms. Nature, 409(6822), 928-933.
International HapMap Consortium. (2005). A haplotype map of the human genome. Nature, 437(7063), 1299-1320.
メチル化と遺伝子発現
Bird, A. (2002). DNA methylation patterns and epigenetic memory. Genes & Development, 16(1), 6-21.
Robertson, K. D. (2005). DNA methylation and human disease. Nature Reviews Genetics, 6(8), 597-610.
栄養遺伝学
Fenech, M. (2008). Genome health nutrigenomics and nutrigenetics—diagnosis and nutritional treatment of genome damage on an individual basis. Food and Chemical Toxicology, 46(4), 1365-1370.
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