会議室でノートPCを開いたら、誰の声も録れていなかった——対面会議でAI議事録を使う3ステップ
# 会議室でノートPCを開いたら、誰の声も録れていなかった——対面会議でAI議事録を使う3ステップ
「中村さん、議事録あとで送ってくれるんですよね?」
今年の春、出社週3になって2週目の水曜日。6人で集まった会議室の終わり際にそう振られて、僕は「はい、もちろん」と答えながら、机の真ん中に置いていたノートPCの画面をそっと閉じました。AI文字起こしはちゃんと回していたつもりでした。家に帰ってログを開くまでは。
開いてみたら、6人いたはずの発言ログが、ほぼ2人ぶんしかありませんでした。
この記事で得られること
対面会議でAI議事録が崩れる物理的な理由が分かる
- スマホ・PC・スピーカーフォンの使い分けの目安が分かる
- 5分でできる対面会議用のセットアップ手順が手に入る
結論を先に書いておくと、対面会議でAI議事録を機能させるコツは「マイクの位置を意識する」「会議前に必ず2分の起動チェックをする」「会議後すぐに音量プレビューする」の3つだけです。難しい機材は要りません。順番に書いていきます。
何が起きていたか——ノートPCを真ん中に置くだけでは足りなかった
ログを開いて気づいたのは、僕の隣に座っていた2人の発言はそれなりに残っていて、対面に座っていた3人の発言が「(発話なし)」か、ひどいときは別の人の言葉に混じって意味不明な文字列になっていた、ということでした。
調べてみたら、これは音響の基本らしいです。マイクから話者までの距離が1m離れると音量はおよそ6dB下がる。つまり、対面の人と僕の距離が1.5m〜2mあったとすると、隣の人の声と比べて音圧が半分以下になっていた。ノートPCの内蔵マイクは普段、自分の顔から30〜50cmの距離で使う前提で調整されているので、机の向こう側の声は「環境音」として処理されかけていたわけです。
しかも、ノートPCを机の天板に直置きしていたので、誰かが資料をめくる音、コーヒーカップを置く音、キーボードを叩く音——全部が振動として内蔵マイクに伝わって、ノイズとして上乗せされていました。後から会議時間60分のうち手作業で議事録を作り直すのに70分かかって、ふだん会議時間の1〜1.5倍と言われている手作業議事録の典型例を、僕は自分で再現してしまいました。
転機——「ツールが悪い」のではなく「拾えていない」が原因だった
最初、僕は「AI議事録ツールの精度がオンラインに比べてオフラインは弱いんだろう」と思い込んでいました。でも他の同僚にヒアリングしてみたら、ちゃんと対面会議で使えている人もいる。差は何かと聞いたら、全員口を揃えて「マイクの置き方」と答えました。
ツールの問題ではなく、入り口の音声が崩れているから出口の文字起こしも崩れている。当たり前の話なのですが、オンライン会議では自分のマイクの前で自分が喋るだけなので、この問題に気づきにくいんですよね。
ここから僕は、対面会議用に3ステップのセットアップを組み直しました。
ステップ1: マイクの「位置」を決める(機材選びはあとでいい)
最初にやるべきは高い機材を買うことではなく、いま手元にあるデバイスをどこに置くかを決めることです。
僕がいま採用しているのは「机の中央に、参加者全員から1m以内にマイクが収まるように置く」というルールです。4人なら正方形の机の中央、6人なら長机を2つに分けてマイクを2台。スマホでもノートPCでも構いません。ポイントは天板直置きをやめて、薄いノートや手帳を1冊敷くこと。たったこれだけで、机をコツコツ叩く振動ノイズがかなり減ります。
それでも7人以上の会議や、声の小さいメンバーがいる場合は、スピーカーフォンを1台追加します。Jabra Speak2シリーズあたりが市場で1万5千〜3万5千円くらいで手に入って、USBで繋ぐだけ。会議室の常設機材として総務に1台買ってもらえないか相談すると、案外通ります(僕の会社は通りました)。
ただし、「これじゃないとダメ」というわけではありません。3人くらいの小さな打ち合わせなら、僕はいまだにスマホ1台を机の真ん中に置くだけで済ませています。機材の正解は人数と部屋の広さで変わる、というのを覚えておけば十分です。
ステップ2: 会議が始まる「前」に2分だけ起動チェックをする
これが地味に効きます。会議室に着いたら、開始2分前にAI議事録を起動して、自分で「テスト、対面会議のテストです」と一度発話して、文字起こしがリアルタイムで出ているかを目視確認する。
このときに僕が使っているのがMeeting Lensです。理由は単純で、ブラウザで開いて開始ボタンを押すだけで動くから、会議室のPCを借りた日でもインストール作業が要らない。アプリのインストール権限がない貸し出しPCでも、Chromeさえ開ければセットアップが終わります。
加えて、Meeting Lensはオンデバイスでの音声処理に対応しているので、会議室のWi-Fiが不安定で音声をクラウドに送るのが心配な場面でも、ローカル側で文字起こしが進みます。社外の人を招いた対面会議で「録音内容はどこに送られますか」と聞かれたとき、「ブラウザ内で処理されています」と即答できると、相手の表情がふっと緩むのを何度か経験しました。
起動チェックで「自分の声がリアルタイムに文字になって出るか」を確認できれば、本番中に「あれ、録れてる?」と画面を覗き込む不安がなくなります。1分のテスト発話で、60分の会議の安心が買える計算です。
ステップ3: 会議が終わった「直後」に音量プレビューを5秒だけ見る
最後のステップは、会議が終わったその場で、ログをスクロールして「対面側に座っていた人の発言が拾えているか」を5秒だけ確認することです。
僕は冒頭の失敗のあと、これを習慣にしました。終了ボタンを押す前に画面を見て、参加者全員の発言が満遍なくログに残っていれば終了。もし片側だけしか拾えていなければ、その場でマイクの位置を直して、最後の5分だけでも追加で録り直します。会議室を出てから家で気づくのと、出る前に気づくのとでは、リカバリーコストが10倍違います。
ここでもMeeting Lensは画面上で発言が流れていくので、誰の声が拾えていて誰が拾えていないかが目視で分かります。話者分離が完璧ではない場面もありますが、「対面の3人ぶんの行が極端に少ない」みたいな異常はすぐ見えます。
Before / After
冒頭の失敗をしたときは、60分の会議の議事録を作り直すのに70分かかっていました。ログが半分以上使い物にならなかったので、自分の手書きメモと記憶をたよりに再構築していたわけです。
3ステップを定着させた後、同じ規模(6人・60分)の対面会議で、議事録の仕上げにかかる時間は12〜15分になりました。Meeting Lensで生成された要約に、自分の追記を3〜4箇所入れて、用語が怪しいところだけ手で直す。準備に使う時間は会議前の2分だけ。
落としていた発言数も、感覚値ですが90%以上はカバーできるようになりました。完璧ではないですが、議事録としては十分なラインです。
まとめ
対面会議でAI議事録を機能させるコツは、高い機材を揃えることではなく、「マイクの位置」「2分の起動チェック」「5秒の事後プレビュー」の3つを習慣にすることでした。一番安く始めるならスマホ1台、人数が増えたらスピーカーフォンを足す。順番はそれで十分です。
オンライン会議と同じ感覚で対面会議にのぞむと、僕みたいに発言の半分を落とします。逆に言うと、入り口の音声さえちゃんと拾えれば、AIは思っているよりずっとちゃんと働いてくれます。
実際にAI議事録を試してみたい方は、Meeting Lensの無料トライアルから:
👉 https://meeting.roy-al.co.jp/
来週は「議事録を共有したあとに誰も読んでくれない問題」を、自分の社内運用で試した解決策つきで書く予定です。
※本記事は Meeting Lens 運営の株式会社 RoyAl と関係があるライター(中村秀太)が執筆しています(関係性開示)。
内容は実体験に基づきますが、関係性をご承知の上ご参考ください。
