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AIに文字起こしされて気づいた——僕は30分の会議で『えーと』を87回言っていた

# AIに文字起こしされて気づいた——僕は30分の会議で『えーと』を87回言っていた

「中村さん、これ……ちょっと笑っていいですか」

去年の秋、隣の席の後輩が僕のノートPCを覗き込んでそう言いました。画面には、その日の午前にあった社内の機能仕様レビューの文字起こしログが開かれていて、後輩が指差した先には、こう書いてありました。

「えーと、まあ、その、えーと、つまり、あのー、えーと」

たった一文の中に、フィラーが7回。これが30分続いていたわけです。後で数えてみたら、僕の発言中の「えーと」「あのー」「そのー」「まあ」の合計は87回ありました。1分あたり約3回。気づいた瞬間、椅子に座ったまま耳が熱くなりました。




「自分の話し方、なんかダサいな」では済まなかった


きっかけは些細でした。事業企画にロールチェンジして半年、社内レビューやベンダーとの定例で話す機会が一気に増えていて、ある日マネージャーから1on1でこう言われたんです。

「中村くん、内容はいいんだけどさ、もうちょっと言い切ってくれると伝わると思うよ」

そのときは「あー、自信なさげに見えるってことかな」くらいに受け取って、特に何もしませんでした。自分の話し方って、自分では聞けないじゃないですか。録音した自分の声を聞き返す習慣なんて、当時の僕にはゼロでした。

転機は、その2週間後です。会議メモを取るのが追いつかなくて、AI文字起こしツール(Meeting Lens)をブラウザで立ち上げて、30分の仕様レビューを丸ごと文字起こしさせてみたんです。会議が終わって、議事録を整える目的でログを開いた——そこで冒頭のシーンに戻ります。

話し方研修をやっている会社のレポートを後で読んだのですが、「会議やプレゼンで自分の話し方を録音して聞いたことがある人」は全体の2〜3割しかいないそうです。残りの7〜8割は、自分が他人にどう聞こえているかを一度も検証していない。僕もずっと、その多数派側にいました。

やらかし1: 「えーと」をゼロにしようとして、頭が真っ白になった


文字起こしを見た翌日から、僕は意気込んで「フィラー完全ゼロ作戦」を始めました。会議中に「えーと」と言いそうになったら、口の中で押し殺す。とにかく言わない。「言わない」だけに意識を集中する。

結果、3日目の進捗会議で完全に詰まりました。

部長からの質問に答えようとした瞬間、「えーと」を抑え込もうとした脳のリソースが先に動いて、肝心の答えるべき内容が頭から飛んだんです。10秒くらい、ただ口をぱくぱくさせていたと思います。最終的に出てきたのは「すみません、もう一度お願いします」という情けない一言。

後で日本語学の入門書をめくって知ったのですが、「えーと」って実は無意味なノイズではなくて、認知的に次の言葉を組み立てる時間を稼ぐ機能があるらしいんですね。それを無理やり封じ込めると、思考と発話のタイミングが合わなくなる。完全ゼロを目指すこと自体が、そもそも筋の悪い目標でした。

「直そうとしすぎて、逆に話せなくなる」——これが最初の躓きです。

やらかし2: 意識しすぎて、会議の内容が入ってこなくなった


次に試したのは、「言ったらカウントする」作戦。手元のメモ帳に「正」の字を書いて、自分が「えーと」と言うたびに線を足していく方式です。

これも1週間で破綻しました。

自分のフィラーを数えることに意識が向きすぎて、相手の話の中身がまったく頭に入ってこないんです。営業から共有された商談状況も、エンジニアからの仕様確認も、全部「正の字」の隙間をすり抜けていく。会議後、「で、結局何が決まったんだっけ?」が増えました。本末転倒です。

このとき、ようやく自分のアプローチがおかしいことに気づきました。フィラーを直すこと自体が目的化していて、「伝わる話し方になる」という本来のゴールから完全にズレていたんです。

やり方を変えた——「ゼロ」ではなく「置き換え」へ


そこから方針を変えました。やったのはシンプルに3つだけです。

1. 週1回、自分の発言ログを「読み返すだけ」の時間を作る


毎週金曜の夕方、その週に出た会議のうち1本だけをピックアップして、Meeting Lensの文字起こし結果を頭から読み返すようにしました。最初の2週間は本当にそれだけ。直そうとしない。ただ「ああ、自分はこう話しているんだな」と眺める。

不思議なもので、3週目あたりから会議中に「あ、今"えーと"って言ったな」とリアルタイムで気づくようになりました。可視化が先で、意識が後から追いつく順番だったんです。これは大事な学びでした。

2. 「えーと」の代わりに、息を吸う


フィラーをゼロにするのではなく、「ポーズ(沈黙)」に置き換える練習に切り替えました。具体的には、言葉に詰まりそうになったら、口を閉じて一回鼻から息を吸う。これだけ。

最初は2秒の沈黙でも「あ、変な空気になった」と焦りましたが、実際に文字起こしログで確認すると、聞き手側はそこまで気にしていない。むしろ「えーと、えーと」が続くより、一拍置いて言い切るほうが内容が伝わる、と後で同僚にも言われました。TEDのスピーチコーチが言うところの「沈黙は自信の証」というやつを、地味な社内会議で身につけていった感じです。

3. 「言い切る一文」を会議前にひとつだけ用意する


これが効果絶大でした。会議に入る前に、その日に必ず言い切りたい一文を、ひとつだけメモしておく。「この機能のリリースは7月第3週で進めます」とか、「優先度はAよりBが上です」とか、本当にひとつだけ。

事前に文章として書いておくと、会議中にその一文を口にするとき、フィラーが入る隙間がない。"自信のある一文"が会議に1個でも混ざると、不思議とその後の発話も少し締まります。これは僕の体感ですが、フィラーは「自信のなさ」というより「文の終わりが見えないまま話し始めていること」が原因なんじゃないかと思っています。

Before / After


3ヶ月続けた結果、こんな感じになりました。

  • Before(去年10月): 30分会議で「えーと/あのー/そのー/まあ」合計87回

  • - 2週間後: 同じくらいの長さの会議で41回

  • - 1ヶ月半後: 22回

  • - 3ヶ月後(今年1月): 12回

ゼロにはなっていません。でも、1分あたり3回が1分あたり0.4回まで減れば、聞き手の印象はかなり変わります。実際、年明けの1on1でマネージャーから「最近、話の輪郭がはっきりしてきたね」と言われました。同じ人が3ヶ月前に「言い切ってほしい」と言っていたわけで、変化は他人にも見えていたようです。

もうひとつ副産物がありました。文字起こしログを毎週読み返す習慣がついたことで、自分の発言の論理が曖昧な箇所にも気づくようになったんです。「えーと」が多い箇所は、だいたい自分でも結論が固まっていない箇所でした。フィラーは、考えが整理できていないサインでもあったんですね。

同じ悩みの人へ


もし「自分の話し方が気になっている」けど何から手をつけていいか分からない、という人がいたら、僕からの提案はシンプルです。

まず、自分の発言を文字で読み返してみてください。録音を聞き返すのはハードルが高い(自分の声って、聞くのつらいですよね)ので、AI文字起こしで「テキスト」として眺めるくらいがちょうどいいと思います。Meeting Lensはブラウザだけで動いて、音声もクラウドに送らない設計なので、社内会議のログを残すのに僕は心理的に使いやすかったです。

そして、いきなり直そうとしないこと。これが一番大事です。1〜2週間は「読み返すだけ」でいい。意識が勝手に追いついてきます。

直し始めるときも、「ゼロにする」ではなく「ポーズに置き換える」を目標にしてください。「えーと」を消すんじゃなくて、「えーと」の場所に2秒の沈黙を置く。これだけで、会議の印象は変わります。

まとめ


僕の場合、フィラー87回という数字を突きつけられなければ、たぶん今も同じ話し方をしていました。可視化されないと、人は自分の癖を直せない。でも、可視化された瞬間に無理して直そうとすると、逆に悪化する——この2つを同時に理解するのに3ヶ月かかりました。

会議の話し方は、生まれ持った性格ではなくて、後から練習で変えられる技術なんだな、と今は思っています。

実際にAI議事録を試してみたい方は、Meeting Lensの無料トライアルから:
👉 https://meeting.roy-al.co.jp/

来週は、会議中の「相槌」が多すぎて議事録が読めなくなった話を書く予定です。自分の話し方シリーズ、もう少し続きます。




※本記事は Meeting Lens 運営の株式会社 RoyAl と関係があるライター(中村秀太)が執筆しています(関係性開示)。
内容は実体験に基づきますが、関係性をご承知の上ご参考ください。

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