27番『街が栄えた理由』

 分かるか分からないか、人はよくそこに気を取られますが、なにかよくわからないけれど、なんとなく物事が良い方向にいくときは、仕組みを明確にしない方が、かえって良い結果を続けられることがあります。
 わかっていないために元の木阿弥になってしまうこともありますが、なにもなかったわけではないので、特段問題になりません。
 そこは、すばらしい繁栄を遂げた街ですが、その地方を統治する太守はとても猜疑心が強く、お世辞にも優れた君主というわけではありませんでした。
 それでも、どういうわけか多くの富がその街には集まってくる様になっていました。なにはともあれ、金で贖えるものについては、全く困るということのない場所でした。
 ただどうも、その街の辺りでは、人はどうもよくばりな気持ちになる様でした。
 本当は、そんなつもりがなかったのに、なぜかそんな風に考えてしまうのですが、皆がそうなのであまり深く考える人は居ませんでした。
 あるとき、牧場の辺りの風景があまりに美しいので、太守はこの一帯から牧場を移動させて、少し離れた別の場所に移る様に命じました。この風景を独り占めしようと考えたのです。
 牧場の主たちは、十分な対価を得てのことなので、誰も文句は言いませんでした。
 しかし、その頃をきっかけに、人々が、あまり欲張ったりケチだったりということがなくなっていき、かえって街の繁栄が損なわれていったと言われています。
 今では、この地方にはびこったよくばりの原因も、ケチの原因も、チーズをはじめ、農場で作られたものに着くカビが原因だったと考えられていますが、はっきりとはわかっていません。

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