33番『蛇と出会う』
ヒッティーンの戦いでサラディンに処刑された事で知られるアンティオキア公がまだ幼い頃、大きな蛇が住まう洞窟で、蛇に自らの運命について告げられたことがあるそうです。
狩に出た山中で人とはぐれてしまい、日が暮れてやむを得ず身を寄せた洞窟の奥で、大きな蛇から将来の事をほのめかされたとのこと。
蛇は、何はともあれ、危険からはひとまず距離を置くことをアンティオキア公に諭したということですが、長じては、この蛇が、自身に臆病な行為を唆す邪な存在だと考える様になりました。
まさしく、公の命運が尽きるヒッティーンの戦いを前にした6月のある日、公は蛇と再び出会いました。
蛇が言うには、蛇と公は他の時、他の場所でも幾度も出会っており、それは全て同じ相になっているそうで、だからこそ、この瞬間には、公の運命もまだ何ひとつ定まっていないので、今居るところからは早々に逃げた方が良いということでした。
結局、アンティオキア公はこれに従わず、捕らえられて処刑されることになってしまいました。
