38番『災難に見舞われる』

 本来と見た目が違うことで、いろいろなことが起こります。
 ある男が、そもそもそれが、どんな災難かもわからないほどの凄まじい災難に見舞われました。
 最後には、どうにか元の通りになったそうですが、百日ほどの間に男が出会った災難の話しが、今も伝えられていますが、どれも何かの見た目と関わりのある災難でした。
 ある日、男が飼っていた羊の毛が、普通のものではなくなり、毛糸になるにしても柔らかすぎる細い毛に変わってしまいました。よく見ると柔らかさだけでなく、普通よりも黄色く、かなり細いことがわかったということです。
 男の家にある鍵が、ある日突然、どんな鍵でも開いてしまういい加減なものになってしまったこともありました。
 ただ、鍵の中には、鍵穴があること自体で、正しい鍵が必要だと思いこませて惑わせる魔法がかかったものもあり、どんな鍵でも開くとわかっているからこそ、正しい鍵を探さなければと思い込んでしまい、なかなか鍵を開けなくなったそうです。
 一夜のうちに近隣の橋が全て新しいものにかけ変わったものの、どれも非常に頼りない出来で、皆を閉口させました。
 災難が終わった日、男が飼っていた馬がどこからか戻ってきたそうですが、そもそも、その馬を飼っていたことすら、災難の間は思い出すことができなかったそうですが、これだけは見た目がどうという事とは、あまり関わりがなかった様です。

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