26番『消えない虹のふもと』
虹の中には、大地から噴き出すものが堰き止めきれず、それが大気を彩って虹になっているものがあります。
虹をよく見ていると、たいへん珍しいことですが、そんな虹を見かけることがあります。この虹は、光の加減で見えにくくなることはあっても、普通の虹の様に消えることはないので、よくよく見ていると、運が良ければ見つけられることがあります。
王様から、この消えない不思議な虹の根元を見定める役目をおおせつかった学者が虹を追って、長い苦心の結果、虹のふもとに辿り着きました。
虹のふもとになる場所は、古い伝説の通り、守人たちに守られていました。
この特別な虹は、彼らとともに世界を移動しながら、不思議な何かを空に噴き出しています。
守人たちは、大地から何かが本当の勢いで噴き出してしまわない様に、とても変わった祈りの技を使ってこれを堰き止め、消えない虹を管理しているのでした。
虹が噴き出すのは、一箇所だけではありません。守人たちは常に大地を占って虹の出現する場所を守るために手分けして移動します。
学者は、進んで守人たちに交わって仲間になり、やがては、守人の娘のひとりと結婚することになりました。
家族もでき、学者自身も守人たちと同じ様に大地を鎮めて虹を操る術と、虹が出現する場所の占いの方法を全て身につけました。
学者は、妻と子供たちを連れて、一度故郷に帰り、王に報告をしようと考えて守人の長にそのことを申し出ましたが、学者は既に彼らと同じ運命に合流してしまったため、虹から離れると却って身を滅ぼすのだと教えられました。
学者も、占いを学ぶ間に、占っている自分自身の運命を知ることになっていたので、このことを承知しており、王宮に戻らなかったそうです。
