59番『猿の目的』
晴れ渡った空の下、かつて繁栄を極めた都市の瓦礫を背にした海辺で、磁石を持った猿が佇んでいました。
十分に機械化された猿は、自らの蒸気機関を動かし、更に多くの猿を製造するための歯車の材料になる金属を探しているのでした。
今は平常に戻っていますが、少し前までは、機械の排斥が盛んに行われ、人は再び自分たちの手仕事を全ての産業の中核に据える闘争を実行したのでした。
猿が仕事をしていた場所はさながら墓所の様で、まだ完全に動くことのできない猿たちが、いつされるとも知れない修理を待って、あるいは朽ちるのを待っています。
猿はかつての命令に忠実に動作を繰り返し、再び猿たちが働いて、何かを生産する日を夢見て、波打ち際を移動しています。
