🫠 ロエル式キャリア逆走録 第五話:「何をやるか」より「誰とやるか」──心から楽しいと思えた場所の終わりと次の始まり
▼第四話
激務の広告代理店から、“腹の底から楽しい”と思えた場所へ──僕が「誰と働くか」を深く知った転機
ずっと走り続けてきた営業の先にあった不安
広告代理店として10年以上走り続けてきた中で、ふと自分の中に違和感が湧いてきた。
実績も積んだ。マネージャーとしてチームを引っ張る立場にもなった。
でも──「このままずっと営業をやっていくのか?」
長期的なキャリアを考えたとき、その働き方に不安がよぎった。
営業職は体力勝負だ。年齢を重ねるごとに、ずっと第一線で走り続けられる自信はなかった。
それもあって、次は代理店側ではなく、クライアント側──
つまり、自社プロダクトを持つ事業会社での仕事に挑戦してみたいと思った。
「辞めよう」と思った自分に、異動の提案が届いた
だから一度、本気で辞めようと思った。
ただそのとき、人事の方からこう言われた。
「せっかくなら社内の異動先も見てから判断したら?」
確かにそれも一つの手だなと感じて、いくつかの子会社の社長と面談する機会をもらうことになった。
その中で、本当にいい出会いがあった。
あるアプリサービスがちょうどマーケターを探していて、
自分にとっても興味の持てるテーマだった。
「ここで一回マーケティングをやってみて、
つまらなかったら辞めればいいか」──
そんな軽い気持ちで出向を決めた。
あえて最下層ポジションでスタートすることを選んだ
それまでマネージャー職についていた自分だったけど、
今回も某コンビニから転職して、プレイヤーからスタートした時と同様、
ゼロからやってみたいという思いがあって、
あえて「マーケティングプランナー」という一番下の職種でスタートすることにした。
出向だからといって特別扱いされるのではなく、現場の一員として真正面から取り組みたかった。
「え、これで同じ給料?」と驚いた“楽勝すぎる日々”
ところが、出向して1ヶ月ほど経った頃、ちょっとした驚きがあった。
「え、こんなにプレッシャーないのに、今までと同じ給料もらってていいの?」
そんな罪悪感すら覚えるほど、自分の中では“楽勝”に感じた。
もちろん、周囲のメンバーが劣っていたわけではなく、
それまでの自分の職場があまりに過酷すぎたのだと気づいた。
急成長、そしてCMOに──「裁量って、最高だ」
その後はトントン拍子で昇格していった。
出向して3ヶ月後にはダイレクト領域の責任者に。
さらにその3ヶ月後、つまり入って半年後にはマーケ全体の責任者になり、
1年後には役員やCMOといったポジションにまで就いていた。
扱える広告費も桁違いだった。
毎月“●億円”を超える規模の予算を使って、大胆な施策が打てた。
代理店時代には到底できなかったような勝負ができ、自分の得意領域でもある広告でV字回復を達成。
やっぱり、裁量があるって楽しい。手応えもあった。
「この人と働きたい」が、すべての原動力になった
でも何よりも大きかったのは、当時の社長との出会いだった。
価値観がものすごく合っていて、この人と仕事をしていると、
どこまでも深く頑張れるという感覚があった。
変なプレッシャーもない、信頼に満ちた環境。
“この人と働けるから頑張れる”と思えたのは、
自分にとって本当に大きかった。
ハードじゃないのに、成長できる。そんな環境があることを知った
もちろん、業務の幅は広がったし、難易度も上がった。
広告だけじゃなく、プロダクトや組織、ブランディングなど、あらゆる領域に関わった。やったことないことも多かったがなぜかどれもスムーズにこなすことができた。恐らく広告代理店の時に思った以上に色々な軸で成長していたのだと思う。
さらに精神的にも圧倒的に“楽”だった。
代理店時代は、常にクライアントと本部とスタッフの板挟み。
何をするにも全方位に気を遣い、胃がキリキリするような毎日。
朝起きると、みぞおちが痛かった。
だけどここでは、そんな感覚がまったくなかった。
しかも、給与も大幅に上がっていた。
あの瞬間、「やっぱり環境って大事だな」と強く思った。
過酷を経験したからこそ、全部が“楽”に見えた
周りの同僚が「大変だ」と口にする中、自分には“何が大変なのか正直わからない”と感じるくらいだった。
10年間、代理店であらゆる業界・規模・文化のクライアントに対応し続けてきたからこそ、
どんな状況にも対応できる引き出しと胆力が身についていたのかもしれない。
BtoC×積み上げ型──マーケ職が性に合っていた
さらに言えば、BtoCの事業だったので、
“ユーザーのことさえ考えていればいい”というシンプルさが、自分にはとても心地よかった。
営業のように毎月ゼロからのスタートではなく、
マーケの仕事は一度改善すれば成果が積み上がっていく。
この“積み上げ型の手応え”がすごく性に合っていた。
気づけばチームも10人以上になり、自分にとってはかけがえのない仲間が
集まっていた。
今でも飲みに行くような、大切な存在になっている。
地位、名誉、裁量、時間──ぜんぶ手に入った日々
取材されたり、メディアに出たり、
代理店時代とは違い、地位も名誉も、そして時間も手に入った。
マーケティングを体系的に学び、自分の事業で実験し、
有名な人と仕事をして「すごいな」と思うこともあれば、
ソーシャルで名が立っているだけの“ただのペテン師”に出会うこともあった。
また時間があったので、投資を勉強したり、FIREという考え方を知ったり。
仕事に限らず、様々なことに触れる機会が異常に増えた。選択肢も同様に。
ただ──やっぱり社長やメンバーが大好き過ぎたので、辞めようとは思わなかった。
でも、節目は突然訪れる
でも、そんな中でひとつの節目が訪れた。
あの、大好きだった社長が退任することになったのだ。
自分にとって「何をやるか」以上に大事なのは、「誰とやるか」だった。
だから迷わなかった。
「じゃあ、自分も出よう」と。
そして、また次のステージへ
そうして僕は、また次のステージへ進むことを決めた。

次回:
第6話「全てにおいて、劣って見えてしまう苦悩──次なる挑戦」へつづく。
