ショートショート「秋の通り道」#3つのお題に空想のひらめきを 【第16回】
今回は、3つのお題を合わせて短い物語を書かせていただきましたm(_ _)m
参加させていただきます!
お題:「真夜中のバス停」「落ち葉の手紙」「鏡の向こうの約束」
私は確かにベッドで寝ていたはずだった。
でも、目覚まし時計が鳴って目を開けると、墨汁を落としたかのような暗闇に包まれていた。
不思議と怖くはなかった。ただ、暗いだけ。
私はまずベッドから降りようと思った。
すると、自分が椅子に座っていることに気がついた。
「お客さん、着きましたよ」誰かが話している。でも、誰もいない。
「お客さん、お客さん!」肩をポンっとたたかれた。
「終点ですので、降りてください」
やはり誰もいない。
とりあえず私は、「はい」とだけ答えて立ち上がった。
すると、いつの間にか椅子は消えていた。
目の前には、"あきのとおりみち"と書かれたバス停があった。
真っ暗な中にポツンとあるバス停。
乗った記憶も降りた記憶もないが、私はバスに乗っていたんだろうか。
「おや?こんなところにいたんだね、探すのが大変だったよ」
誰もいないことにはもう慣れた。
「あなたに、手紙が届いているよ」
それは枯れた葉っぱだった。何か文字が書かれている。
ーバスを乗り過ごしてしまったみたいだね、地図も入れておいたから、お店においで。ー
裏返しても差出人は分からない。
落ち葉の手紙に書いてあるとおり、地図が入っていた。
周りには何もないのに、地図通りに行けるだろうか。
そう思ったとき、地図の中に赤い点が現れた。
少し右に動いてみる。赤い点は右に。
元いた場所に戻ると、赤い点は左に動いた。
どうやらここは、"真夜中のバス通り"というところらしい。その真ん中あたりに赤い点がある。
そして、"めぐりや"というお店に印がついていて、ココ!と書き込まれている。

とにかく、ここにいてもどうすることもできないので、"めぐりや"に行くことにした。
何も見えないがまだいることを信じて、
「ありがとう」と言うと、「どういたしまして」と返ってきた。
私は左に向かって、真夜中のバス停"あきのとおりみち"を振り返ることなく進んだ。
十字路の手前、角にあるお店を見た。看板には、"めぐりや"と書かれている。
私は、特に躊躇することなく暖簾をくぐった。
カランコロン
「いらっしゃい、待っていたよ」
どうやら店主がいるようだ。やっぱり、見えないけれど。
「あれ?もしかして・・ここがわからないのかい?」
キョロキョロと見回しているのがおかしかったようだ。店というのに、何も品物がおかれていない。
「そうか・・それじゃあ、その鏡をのぞいてごらん」
鏡・・?そう思ったら、目の前の棚に鏡が現れた。
暗い世界に光がさしたようだった。それは、虹色の鏡だった。
私は眩しさにクラクラしながらも、鏡をのぞきこんだ。
たくさんの色、音、匂い、生きもの、人間・・
まるで走馬灯のように、景色がグルグルと変わる。
それは、ひまわり畑の眩い黄色。
それは、せみの鳴き声。
それは、プールの匂い。
それは、カブトムシやクワガタムシ。
それは、かき氷や綿菓子を食べる子どもたち。
「思い出したかい?」
私がぱっと前を見ると、"めぐりや"の店主が笑っていた。
「さっき、"夏"さんが焦っていたよ。
今年は、"秋"さんとの約束を果たせなかったかもしれないって。
どうしても暑さを抑えられなかったみたいだから、"秋"さんが迷ってしまったのは僕のせいかもって」
そう言われて、私は静かに首をふった。
「いや・・"夏"さんはいつも、頑張ってくれてるよ。
"めぐりや"さん、来年の"夏"さんに伝えてくれるかい?」
この鏡の向こうの約束を、来年の"夏"さん、またよろしくねって。
私はニッコリ笑うと、"めぐりや"の店主に大きく手を振りながら、鏡に吸い込まれていった。
あとがき
今年の夏も暑かったですね汗
少し涼しくなって過ごしやすいですが、体調や天候に気をつけましょう!
読んでくださり、ありがとうございます!
日常で感じたことや出来事を、お話としてお伝えしています。
それではまた、お会いしましょう(^^)
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読んで読んでPOP、書いて書いて物語!ありがとうございます(人*´∀`)。*゚+