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「オリーブの木と羊のメーコ」

 雲の上にポツンと生えているのは、オリーブの木のオールリーでございます。満月を眺めながらまったりと過ごしておりました。怒ることも騒ぐこともありません。
そんなオールリーにも、驚くようなことが最近起こったんですよ。

 一昨日の夜のことでした。猿のミミコがオールリーを訪ねてきたのです。
ミミコは、とても驚いた様子でした。なぜそんなにも驚いているのか、オールリーには初め理解ができませんでした。けれど、話を聞いているうちにオールリーにも他の生き物たちにも驚きの輪が広がっていったんです。

 ちょっとここで、昔話を一つさせていただきますね。その後ちゃーんと何があったのか分かりますから、ご安心ください。

 昔々、羊と兎は犬猿の仲でした。いえ、羊兎ようとの仲と呼んだ方がよいでしょうか。
 羊はもふもふの体の毛を、兎に自慢します。それを見た兎は大層悔しがり、歯をグーっと食いしばるものですから、前歯以外の歯が目立たなくなりました。
 一方、兎は愛くるしいふわふわの尻尾を自慢するのです。それを見た羊は地団駄を踏んで悔しがり、尻尾をブンブン振り回すものですがら、余計に細長くなってしまったのでした。

 そんな昔話がありましたので、羊のメーコと兎のコタロウが話をしているところを見たことがありませんでした。

 さて、猿のミミコがなんでそんなに驚いていたかっていうと、そう、メーコとコタロウが仲良く話しているのを見かけたからなんです。
いえ、正確にはその記憶を見つけたんです。

 記憶ときらめく風の通り道には、柔らかく優しい風が吹いています。その風は、空で暮らす生き物たちの記憶を飛ばしてくることがありました。

 ミミコがその道を歩いていたら、羊のメーコと兎のコタロウの映像が通り過ぎていったのです。その映像はキラキラと輝いて、ミミコはしばらくの間見つめておりました。

 その後急いで、オールリーの元に来てくれたってわけですね。
どんな映像だったのか詳しく聞いたところによりますと、どうやらメーコのひつじ雲ホテルで、コタロウの月うさぎのパン屋を開店させないかという話をしていたそうなんです。

 その話は、ミミコによって瞬く間に空中そらじゅうの生き物たちが知ることとなりました。

 羊のメーコと兎のコタロウは、みんなが昔話を気にしていたことの方に驚き、開店前からすごい反響となったことをただただ喜んでおりました。

 さあ、今日はひつじ雲ホテルで月うさぎのパン屋が開店する日です。
三つ先の雲の上からは、メェーバァーピョンピョン楽しそうな音とパンの良い香りが漂ってくるのでした。

 オールリーはそんな雰囲気の中、幹に開いた小さな穴に挟まっている手紙をそっと枝で撫でました。
昔話はもう、気にしなくても良いのかもしれないと思いながら……。
それではまた。




片桐みかんさんの#3つのお題に空想のひらめきを 【第41回】のお題で書きました。

お題:「ひつじ雲ホテル」「月うさぎのパン屋」「記憶ときらめく風の通り道」


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