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「文通」#3つのお題に空想のひらめきを 【第23回】

片桐みかん様の企画に参加させていただきます!

お題:「海のポスト」「風の渡し舟」「砂の中の星座」


お母さんに、また、怒られた。
私が帰るの遅くなったから。何でも知りたいちゃん、早く帰るちゃんにもなってよねって。でも、今日は特別な日だったから、しょうがないんだ。
白い貝殻がいっぱいついた、三角お屋根のポスト。私と彼を出会わせてくれた、素敵なポスト。


海の瀬学校からの帰り道。
ハマグリのマルくんと別れたあと、ちょっとだけ寄り道した。先生はまっすぐ帰りなさーいなんていつも言うんだけど、マルくんが言ってたのを聞いたら、行かないわけにはいかない。

「海の底にお引越しした、サメハダホウズキイカのイツカちゃん覚えてる?イツカちゃんと文通始めたの。とっても仲良しだったから、寂しくて。お手紙だったら、できるかなって思ったんだ。
大きい岩と小さい岩の間にある、海の瀬公園の近くにね、白ーいポストがあるんだよ。うみわん配達が1日1回きてくれて、そのポストにある手紙や贈り物を海の底まで運んでくれるんだ!
あと、海の底からきた手紙とかも、家まで持ってきてくれるんだよ。
うみわんのおじさん、とっても優しいんだ!」

私はポストを見たことがない。手紙も書いたことがない。うみわん配達は聞いたことあるけれど、おじさん?には会ったことはない。
・・あっ、一回だけ、授業で手紙書いたかも!お母さんお父さんへ感謝のお手紙。みんなの前で読むのがとっても恥ずかしかった。でも、その手紙は家でお母さんに渡したから、ポストには入れてない。
私は、自分が知らないことを知ることや学ぶことがのが好きだ。だから、自分の目でポストを見てみたくなった。

いつもは左に曲がるところを、反対側に動く。この曲がる動きがなかなかできなくて泣いたこともあったな。
もっと小さい時は、海底を真っ直ぐ移動するのも大変だった。お母さんみたいな星型になりたくて、一生懸命腕をぐいっと伸ばそうとしたりもした。お母さんは30cmくらいの大きさなんだ。私だって、きっと大きくなれるはず。

そんなことを考えていたら、海の瀬公園に着いた。えーと、確か、公園の手前を右に曲がって、その後しばらく真っ直ぐ動いたら、着くんだったかな。

腕が砂に捉われそうになりながら、一生懸命動かす。後ろを振り返ると、砂がサラサラと流れていくのが見えた。
ちょっとだけ泣きそうになった時、石と石の間から、急にマルくんが言っていた白いポストだと思われるものが見えてきた。
三角お屋根でとても可愛らしい。白い貝殻で覆われているけれど、ちゃんと手紙が入れられるようになっている。
しばらくポストを見つめてから、ポストの投函口の方を見た。そこには、キラキラしたような何かがくっついていた。貝殻に引っかかっているようだ。
それは授業で習った人間が使う紙のようだけど、濡れてグシャグシャになってはいないから、普通の紙ではないのかもしれない。

裏返してみる。ドッドッドッっと体内から音が聞こえる気がする。ヒトデには、人間みたいな心臓はないのに。
そこには文字が書いてあった。

すきなものは?

石で書いたからか、この紙が書きにくかったのか。頑張って書いたんだろうなと思う字だった。

私も手紙を書こう。返事を書こう。
大きな海藻を見つけて、最近流行りのイカ墨インクを鞄から取り出す。
私が一番好きなものは・・そうだ!これなら人間にも伝わるかしら。

月のすなが、すき

ニジイロヒトデのヒーと名前を書こうとして、やめた。びっくりして返事をくれないかもしれない。それに、ニジイロヒトデなんてきっと聞いたことないだろうし。

ポストの下の方に、何か書いてある。
配達時間とかだ。あとは・・・あれ?なんだろう?風の渡し舟
なになに・・

ーこのポストは1年に1回しか陸に上がりません。もし、人間と文通したい場合は、風の渡し舟をご利用ください。渡したい人間の家に、届きます。そうでない場合は、人間がポストを見に来るまで、何も起こりません。ー

うーん。どうしようかな・・・。
確かに、ちゃんと届いたら嬉しいんだけど。でも、それって大丈夫なのかな。
”わからないや迷ったものは、一旦やめておきなさい。大人に聞くか、自分で調べるか。とにかく、納得してからにしなさい。”ってお母さんはよく言ってるし、とりあえず今はやめておこうかな。

私は海藻を投函口に入れようとした。あれ?入らない?
どうしよう、海藻が大きすぎたみたい。
うーん、こうでこうでこうだ!
海藻の端の方を投函口に入れて、あとはポストに巻きつけた。これで、きっと、多分、大丈夫だろう。

海の上の方が、赤く染まってきた。
大変だ。暗くなってしまったら、道がわからなくなってしまう。そして、きっとお母さんに怒られるんだ。

急いで帰ったけど、やっぱりお母さんに怒られた。
小さなヒトデが砂の上を動いた跡は、砂の中の星座のようになっていた。


あとがき

このお話は、ここに繋がっています。

ハマグリのマルくんは、このお話にも出ています。


読んでくださり、ありがとうございます!
日常で感じたことや出来事を、お話としてお伝えしています。
それではまた、お会いしましょう(^^)


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なみあさむ 読んで読んでPOP、書いて書いて物語!ありがとうございます(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+