「薔薇」
あの薔薇が、咲いたらしい。
そう聞いたのは、朝起きて顔を洗い着替えをして朝食を食べて歯を磨き終わった時だった。
母の私を見る目が、何だか寂しそうで。気にならないはずはなかった。
父は新聞を広げるけれど、一ページも進んでいないことなんて。気がつかないはずはなかった。
「そう」
私から掠れた声が出た。
千年。
もう咲かないと思っていた。千年の余白の間に、一体どれだけの優しい人々と出会ったことか。
光を抱く森の中で生まれた。他の者がそうでないと知って、私は特別な何かであることを悟った。
最初の母は、私をそれはそれは慈しんでくれた。父となる人物は終ぞ現れなかったが、そんなことは気にならなかった。
近くにある川へ魚を獲りに行った。魚は私と同じくらい大きかったが、必死にくらいついて捕まえた時、母は満面の笑みで褒めてくれた。
100番目の母と父の間には子供ができず、村の掟で私の母と父になった。
その頃、森が時々光ることがあるということで、村人たちは私をチラチラと遠巻きに見ることがあった。だけれど、母と父はそんなことは気にするなと言わんばかりに、村中を巻き込んだ祭りや催しをして私を楽しませてくれた。
そして、今の母と父。今にも泣き出しそうな母。眉間に皺がよっている父。
村は、町へと変わっていた。
私の姿は、5歳ほどの子供のまま。
薔薇が咲く頃に大きくなれると、ただ、知っていた。
その日の夜、近くの川に一艘の舟がやってきた。
夜を渡る舟で、光を抱く森へ行き、千年の余白を埋めるため。
別れは言わぬ。いつかまた会える時、私はあなたたちを祝福しよう。
そうして、私は薔薇の中に溶けていった。
幸運の女神フォルトゥナ様、どうか、お変わりなくーー
人々の想いも天に溶けていった。
片桐みかんさんの#3つのお題に空想のひらめきを 【第37回】に参加いたします✨
お題:「夜を渡る舟」「光を抱く森」「千年の余白」小舟にランタンが一つ、光柱が神々しいイラスト

ここからは、お知らせですよ〜☺️
朝夢POPは随時募集しています。
お気軽にご参加ください😊私からお声がけさせていただくこともあります
最新受付状況は、ホーム画面の固定記事をご参照ください🙇
メンバーシップをゆるりと始めていますー👏
少人数制のメンシプです。応援し合えたら、めちゃめちゃ喜びます!
それではまた、お会いしましょう(^^)
いいなと思ったら応援しよう!
読んで読んでPOP、書いて書いて物語!ありがとうございます(人*´∀`)。*゚+