「オリーブの木と猫のミウ」
ミウは、列車を待っておりました。
額の縞模様が愛らしい、猫でございます。
ミウの視界の端の方には、ガシャンガシャんと音をたてながら歩く騎士の姿が映っています。けれど、特に話しかけようなどとは思いませんでした。
オールリーにももちろんその猫が見えています。けれどこちらも話しかけません。だって、急に話しかけたらびっくりされてしまうでしょう?
列車はなかなか来ませんでしたが、そんなに退屈することもありませんでした。なぜなら、その猫以外にもたくさんの生き物たちがいたのですから。
例えば、記憶を編む織物屋。
蚕のユーリが吐き出す糸で作った服を着ると、人生で一番楽しかったこと嬉しかった出来事をその服に映し出されるといいます。本当でしょうか。私も一つ編んでもらおうかと悩みます。
他には、海の底にある古い劇場の管理人。人間です。この人の名はわかりませんでしたが、雲の下の下の下の方に海という水がたくさんあるところが広がっているそうです。そこにポツンと建っている劇場という場所では、日々物語を演じている人たちがいるそうです。最近では、ロミオとジュリエットという名作を上演していたそうです。私は知りませんでしたので、是非ともいつか観に行きたいものです。
鳥も馬も蝶々も人魚もいました。それぞれが今か今かと列車を待っているのでした。
さて、猫のミウもただ遠くを見つめて待っています。
そんなミウを横目に、生き物たちは噂話をしているのでした。ヒソヒソコソコソと。決して、ミウはそちらに目を向けることはありませんでした。
オールリーの耳にも、聞きたくなくても聞こえてくる言葉がありました。
その猫は、世界の終わりを見た猫だというではありませんか。
オールリーにはどういう意味かは全くわかりません。昔話でも聞いたことがありませんでした。気になりましたが、やはり噂は噂。本人ならぬ本猫に聞いてみないことには、本当のことはわからないと思いました。
なので、詳しく聞きにいくなんてことはしたくありませんでした。
ガタンゴトン、ガタン、ゴトン。
列車がゆっくりと近づいてきました。
片桐みかんさんの#3つのお題に空想のひらめきを 【第45回】のお題で書きました。
お題:「海の底にある古い劇場」「世界の終わりを見た猫」「記憶を編む織物屋」

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