連作ミステリ長編☆第3話「残響は、最後の言い訳に代えて」Vol.3
~私立探偵コジマ&検察官マイコのシリーズ~
「MUSEが微笑む時」
第3話「残響は、最後の言い訳に代えて」
○ ーーーーーーーー あらすじ ーーーーーーーーーーーーーーーー ○
私立探偵小嶋雅哉は法律事務所書記担当を退職し、京都に戻り元裁判所所長の叔父政之との共同経営が軌道に乗り始めた頃、検察官中原麻衣子と出逢った。仲が定着し始めた晩秋、退職前の元恋人から極秘の依頼を受けた。
組織的な音楽LIVEチケットの転売に、警察庁のトップが絡む疑惑を調べて欲しいとの依頼。他方で、巷の個人ネット販売による転売送検で停滞なく、麻衣子も忙殺されていた。警視庁と警察庁の相殺監視で、犯罪を未遂に留める動向の、互いのトップに犯罪疑惑が被せられている。
音楽を創る側、消費する側、違法を取り締まる側。各々の生活も絡み、最後に音楽の女神MUSEが微笑んだのは、誰の為なのか。。。
Vol.3‐①
谷警部は、カップの底溜まりになったコーヒーを、飲み干した。引き続き、黒田玲苑のマネージャー佐々木からの情報を語る。
「美咲さんが客席に来てるのは、黒田も佐々木も知らなかったんだ。
実は招待チケットだったが、今も繋がってやしないか❔と佐々木に訊いたんだ。そしたら、今はどうなのかは知らないが、何事もなくLIVEを終演したから玲苑は知らないはずだと、答えたんだ。
イベンターに呼ばれてから旧知の女性だと判ったが、来てると知らなかったから、警察も呼んだしイベンター処理対応にしてもらった、と語った」
「その聞き取り捜査は、いつ頃ですか❓何日❓」
「事件の2日後。美咲さんが京都府立医科大学の附属病院に移送される日の午前中だ。被害者本人はまだ眠っているか意識のない状態だった。ウソを言ってる感じはなかったが、何か隠してるよ、あれはな」
「なるほど。では、イベンター担当者の岩崎の方は、いかがでしたか❓」「ああ、それが重要だ」
「お話頂く前に、もう1杯どうぞ。冷めてるでしょ❓」
「ああ、悪いな。それならカフェオレにしてくれるか❔
普段は砂糖もミルクもたっぷり入れるんだ。このコーヒーは旨いけどな」
谷警部が言うが速いか、神田君は、すぐさまPCデスクから離れて階下へオーダーに降りて行った。
「岩崎が、招待チケットを用意したんだそうだ。
だが、美咲さん本人とは初対面だ。黒田玲苑から電話で直接頼まれて、佐々木は知らないはずと言っていた。
玲苑は、運命的な女性だとも語っていたらしい。
『スノボやるからポラリス(北極星)が好きで、〖冬のソナタ〗みたいな出逢いだ』とも言っていたらしい。
最近の玲苑はTV局を出入り禁止になっているんだと。
素行が悪くて、プライベートな姿はあまり好きじゃないが、エージェントの佐々木とは、黒田玲苑担当以前からの仕事上の付き合いなので、頼まれると断れなくて、イベンター処理で示談に臨んだ。そんな所だ」
神田君の差し出したカフェオレの大き目カップを見て、また谷警部はにっこりと口元を緩めた。
谷警部がブラウンシュガーを注いでいる間に、神田君がPCデスクに戻って再度、記録の続きを始める。
「スノーボードのカジガヤというメーカーから連絡が来て、『ウチのチームの選手で広告塔なんで、引き取って、河隅美咲選手の普段の住所地の病院へ移します』と言って来たそうだ。
府立医大と云や、がん治療の権威が外科長だぞ⁉贅沢な個室入院だったし、美咲さんの個人負担はムリだ。
イベンターが示談に応じたが、実際は佐々木を通じて〈タナベ・カンパニー〉から支出してるんだ。手続きは、メーカーのカジガヤVSサウンド・ガレージだがな」
「それ、カジガヤの方も黒幕居ますよ」
「、、、えっ⁉ホントか?」
「ボードメーカーに圧をかけたのは、宗教団体です。多分」
「なんじゃそりゃ?」
「詳細は冊子にしますよ。あとで」
そこでPCデスクにいる神田君のもとへ、九州出張に出ている菅原君から外線が繋がれ、何やら報告を受けているのを、オレは一瞥する。
「谷さん、もひとつ。レオンは二人居ます。
今、部下が出身地へ出張して確認取ってます。ゴーストライターではなく、二人居て入れ替わってるんです」
「なんだって!!」
「黒田は一卵性双生児なんです」
「、、、それって、完全にアリバイ崩れるじゃんか」
「はい。だから示談で双方折り合いつけたんですよ」
「、、、そこか。。。」
「そこですね」
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