【考察】ゼロ世界における言語階層支配【ロックマンゼロ】
ゼロ世界の名前は耳に残る。
だが並べてみると、違和感が出る。
「フランス語ばかりでは?」という点だ。
どこか階級的で、人為的な美しさ──そう感じて調べてみた。
■レジスタンス
シエル=Ciel(空)
アルエット=Alouette(ひばり)
セルヴォ=Cerveau(脳)
イロンデル=Hirondelle(つばめ)
ネージュ=Neige(雪)
エルピス=Elpis(ギリシャ語の希望)
ここで例外が出た。
なので、例外を挙げていこう。
■例外
〜ネオ・アルカディア〜
バイル=Vile。英語
クラフト=Craft。英語
ハルピュイア、レヴィアタン等四天王
=ギリシャ神話や旧約聖書の怪物等の名前。
※ファントムは“英語っぽい造語”寄り
他、ネオ・アルカディアのレプリロイド
=形式番号。名前は無い。
◆気づいたこと、そして考察
人間が『フランス語』の名前を持っている、そう感じる。
バイルは旧時代の人間なので例外扱い。
シエル、ネージュが人間である。
Q.じゃあアルエットやセルヴォはどうなのよ?
最もな意見。
ただし、私はこう考える。
アルエットは、シエルが命名したレプリロイド。
アルエットがゲーム内で「シエルお姉ちゃんにつけてもらった」と言っている。
つまり、レジスタンスのレプリロイドが
フランス語の名前を持っているのは
『ネオ・アルカディアという階級世界を抜け出し、自ら人間同等の名前を名乗りだした』、そんな説。
この説を有力にするのが二人ほどいる。
①クラフト
ネージュと恋仲にありながらも、袂を分かつレプリロイド。
ネージュとニコイチでありながら、
クラフトは名前が英語である。
これは、ネオ・アルカディアではレプリロイドが上位階級となって名を手に入れても、
人間と同等の扱いはされない、
言語による差別をしているということではないだろうか。
②エルピス
元々はネオ・アルカディア従属のレプリロイド。元はTK31という形式番号。
ひょんなことから妖精戦争とDr.バイルの資料を閲覧してしまい、イレギュラー認定されて追放される。
名前の由来は『※プロジェクトエルピス』から、自ら名乗りだす。
(ロックマンゼローテロスー ドラマCD部分より推測)
エルピスはギリシャ語だが、時代ギャップでギリシャ語に触れた可能性がある。
(フランス語はギリシャ語の一部に関係がある)
※プロジェクトエルピス
100年以上前に起こった、∑ウイルスによるレプリロイドのイレギュラー化が発端で起こったイレギュラー戦争。これを抑えるためにゼロのボディを解析して作った∑アンチプログラム、『マザーエルフ』開発のこと。
マザーエルフはイレギュラーを正常にする作用があるため、まさに希望(エルピス)。
勘違いしやすいが、妖精戦争やDr.バイルの情報ではない。
蛇足だが、エルピスの連れのイソスとパソスもギリシャ語と思われる。
イソスは『同等、等しい、同じ』、
パソスは『感情、情熱、哀愁、同情』。
エルピスの『ゼロやシエルと同等となりたい』、『シエルに恋心を持ち、ゼロに嫉妬する感情』といったものの表現ではないだろうか?
●ネオ・アルカディアの統治と支配
ネオ・アルカディアは元々レプリロイドと人間の共存世界として作られたが、
大元を作った『オリジナルエックス』は既にいない。
統治……いや、支配しているのは『コピーエックス』。
超人間中心主義である。
エネルギー不足から、レプリロイドを処分したり追放したりしている。
人間のための行為である。
そう考えると、『レプリロイドは悪』という思想に行き着いてもおかしくない。
レプリロイドを形式番号で区別し、
名を貰えても人間とは言語が違うという
差別的支配を敷き、統治しているのだ。
言語支配は、文明の優劣を固定化する装置
ということになるだろう。
ちなみにハルピュイアたちが特別な名を与えられているのは、元々エックスのDNAから
生み出されたコピー体の為に特例だろう。
つまり“番号で呼ぶ/言語を奪う”ことが支配の装置だ。
●言語の役割〜近代SF〜
フランス語は貴族・アカデミズム・国際機関の象徴。
シエルもネージュもネオ・アルカディア出身の人間である。
ここでは特権階級としての貴族的フランス語として扱われていると考えられる。
英語は旧支配・軍事。
バイルは元々シエル同様、ネオ・アルカディアでレプリロイド研究をしていた人間だが、
イレギュラー戦争末期に妖精戦争を引き起こした元凶、追放済みである。
だが、数百年は『イレギュラー戦争を終わらせる』という目的でネオ・アルカディアで動けていたのだから、かなりの地位があったと思われる。それこそ、議会を支配するほどに。旧支配が当てはまるだろうか。
クラフトは『※アインヘリヤル八闘士』の隊長。敵としてゼロに刃を向ける。
アインヘリヤル八闘士はバイルの手先なので軍事・傭兵といったところだろうか。
※アインヘリヤル八闘士
『アインヘリヤル』は北欧神話で『死せる戦士たち』の意。バイルは『死んだレプリロイドの復活』を専門分野としていたので、屍を動かすという意味ではこれ以上にないネーミングだろう。
ちなみに八闘士たちはバイルに忠誠を誓っているわけではないが、ラグナロク作戦を邪魔するものを排除するという点だけで繋がっている。
ギリシャ語は思想・理性・理念。
エルピスは希望。
「理想を現実のものにしたいと願う心の働き」。理想が最も近い。
イソスは同等、等しい。
理念が近い。
パソスは情熱。
理念や思想を土台として、理想に向かって突き進む原動力。
●ゼロ世界の階層は“言語”で決まる
このように、ロックマンゼロの世界は
言語によって人間・レプリロイドに区別が
されている。
レプリロイドたちは形式番号で呼ばれ、
人間は美しいフランス語の名で呼ばれる。
支配から逃れて初めて、レプリロイドは
『自分の名前』を手に入れる。
ゼロ世界の先のゼクス世界では、
レプリロイドと人間が同等の扱いとなり、
名前もフランス語が多用されるようになっていた。
それこそ、理想の人間とレプリロイドの共存の証しだろう。
●最後に
エルピスは自ら名乗りをしたものの、
何の皮肉か因果か、
レジスタンスで『パンドラの箱の希望』として『ベビーエルフ・クリエ』を持ち込み、
『災いの予兆』としてダークエルフの復活のために、オリジナル・エックスのボディ破壊をしてしまいます。
名は体を冠するというが、彼は開発に愛されすぎて『箱をひっくり返したパンドーラー』になってしまった。
だが、それを含めてエルピスという男は
作中最も人間臭く、愛せずにはいられない
キャラである。
(※個人の意見です)
