見出し画像

拾いものが繋げた恋について/片想い文芸部


初めて参加させていただきます。拙い文章ですがよろしくお願いいたします。

エターニア学園は大きな学校だ。小中高一貫教育で、貴族も庶民も、学ぶ意思があるものはすべて集められ、同じ教室で学ぶ。もちろんそこに身分はない。
「ミーリアーーー!」
友人のカティが大きく手を振りながらわたしを見つけて走ってくる。彼女は庶民、街のパン屋の娘だ。
わたしことミーリアはフィカス子爵令嬢、とも呼ばれる貴族。でもなぜかこのカティと意気投合して行動をともにしている。
「カティどこ行ってたの?また売店?」
「へへ〜、お父さんがパン焼きたてを持ってきてくれたの!これミーリアにって」
「あらあら、いつも悪いわねえ」
学校の売店には日替わりで街のパン屋が焼きたてを持ってきてくれる。今日はカティの家のパン屋・・・【ルミナスブレッド】だったらしく父の手伝いをしてきたそうだ。我が家でもルミナスブレッドのパンがよく食卓に出る。
「じゃ、お昼食べましょ」
学食もあるがいつも混むので、我が家の料理長の手作りお弁当を持参している。カティはもちろんルミナスブレッドのパンで作ったサンドイッチやベーグルサンドなどいつも美味しそうだ。うちのも負けてないけど。
「あっねえミーリア、あそこ」
ふとカティが、声をひそめて話しかけてきた。彼女の目線の先にはある人たちが…。
バルディリス第一皇子。次期皇帝候補。その隣にはわたしの幼なじみでもあるアストレイがいた。
アストレイは男爵子息だが父が現騎士団長のため、彼も騎士団に入ることになっており、バルディリス皇子の学校内での身辺警護も担っていた。
そして、わたしことミーリアの想い人、でもある…。幼少の頃からなので10年は経つかもしれない。

バルディリス皇子の金の髪に対してアストレイは黒。この対比が美しいので見とれてしまう。と、二人は何やら手にして話し合っているように見えた。
「皇子さまとアストレイさまなにか困られてるのではない?行ってみてよ…わたし皇子さま苦手。嫌いじゃないけど」
とカティが言うので、思い切り話しかけてみることにした。
まず皇子にご挨拶をした後、アストレイに目を向ける。
「ああ、ミーリア。どうやら落とし物らしいんだが、心当たりはないか?」
それは美しいブローチだった。アメジスト色の宝石が真ん中にはめ込まれた意匠の凝らされたブローチ。
「素敵なブローチですね、紫……」
本当に素敵なブローチで、またしても見惚れてしまっていると、ふと心当たりが思いついた。
「オルフェス侯爵令嬢ユーリさまならもしかしておわかりになるかも」
ユーリさまはこういうアクセサリーに目がなく、街へ繰り出してはこういったブローチやイヤリング、指輪など買い求めるのがご趣味のような方。わたしもユーリさまにイヤリングをいただいたことがある。
「なるほどユーリ嬢か、確かに彼女なら知っていそうだな。ミーリア嬢、ありがとう」
バルディリス皇子がぽん、と手をたたき、わたしにそう言って歩き出した。
「ミーリア、ありがとな。またあとで話そうぜ」
「アストレイもお疲れ様。うん、あとでね」

戻ってカティに報告をすると、そうだったのねー見つかるといいな!と言ってくれた。

その後アストレイから聞いたけどブローチは無事持ち主の手に戻ったそうだ。
めちゃくちゃ感謝されたらしく、家に招待したいとか言われたみたい。
どうも婚約者がまだいない方だったらしい。…アストレイも、ちなみにわたしも、まだ婚約者はいない。ただの、幼なじみだ。
身分の高い貴族などは早々に婚約を決めたりするが、わたしのような身分もそこそこの者は許嫁など特に決めないで、彼氏彼女がいないなら高等部を卒業したのち縁談を持ってくることが主流だった。
アストレイの家は男爵家だけど、バルディリス皇子の側近みたいなものだから。もう縁談の話があるみたいだけど、アストレイはすべて断ってる。アストレイのお父さま、ルーカスおじさまも特になにか言ったりもしてない。
わたしも…アストレイに告白なんて、とてもできない。恥ずかしいし、なにより断られるのが怖い。でもこのままでは何も起こらないし…

そんなことを考えていたある日、アストレイが次の休日に我が家に来るという知らせを受けた。

(なにかしら…もしかして、いえ、あの人のことだから…)
それから休日が来るまでドキドキも、不安も、入り交じった日々をおくった。

当日になり、我が家にアストレイがやって来た。普段の制服とは違うシンプルだけど気品ある服を着た彼にドキドキする。
「ついでに親父も来たいって言うから」とルーカスおじさまもついてやって来た。
「こんにちはおじさま。お久しゅうございます」
とカーテシーをする。
「ミーリアも元気そうで何よりだな!美しくなった!さてとそなたの父上に会いに来たのだが」
さらっと美しくなったって言われた…!!さりげなさすぎてなにも言えなかった。けどありがとうございますおじさま。
執事が対応して、ここでルーカスおじさまとは別れる。
「じゃ、アストレイよ……しっかりやれよ」
「おう、もちろんだ…!」
そんな会話を交わしていた。なんだ?
「じゃあアストレイはこっち。お茶を用意させるわ」
「あ、あぁ…ありがとう」
気を取りなおして部屋に案内する。いつになく緊張した面持ちの彼にドキドキしつつ、侍女が用意してくれた紅茶とクッキーを出した。

「ミーリア、これ…お前に、やる」
少しぶっきらぼうに言いテーブルの上に置かれた小さめの青い箱。
「なあに、これ…?わたしに?」
「お、おう。開けて、みてくれ…よ」
箱を開けてみると、そこにはブローチが輝いていたのだ。
「これ、ブローチ…?!どうして…わたしに?」
「こないだの落とし物騒動のとき、あのブローチにおまえが見入ってたから…」
えっ。確かに…きれいだったから見惚れてたな。でもなぜ…
「おやじに、せっつかれてたんだよ…いつ、言うのかって…」
そのまま黙りこくってしまったアストレイの顔がだんだん赤くなっていく。
いつ、言うのかって………えっまさか。

「ミーリア、おれと!結婚し……いや、その、結婚前提に!付き合ってくだ、さい!!」

………………へ?

唐突というか、心の準備ができないまま耳にした言葉に追いつけず混乱してしまう。本当ならばお返事をして涙でも流すところなのに…。

「待って、アストレイ……ええと」
「わ、悪い…でも、いつかは言わないとお前はよそにとられちまうし!」
返事は急がねえよ、というアストレイ。けれどわたしの心はもう、決まっていた。

「こちらこそ…よろしくお願いいたします。アストレイ、ずっと好きだった…」


黒髪の美しい彼、金の髪のバルディリス皇子とともにいる姿が、いつしか学校でも噂の的になっていた。
「初めて会ったときから、ミーリアって心に決めてたんだ。でもいざとなるとどうしてもお前を前にすると言えなくて…」
真っ赤な顔で頬を指でコリコリやりながら言う。
そこで先日のブローチだ。
これだ!とユーリさまに相談したらしい。そこで紹介された職人に作ってもらったという。
「俺の髪の黒と、瞳は茶色だから、オニキスとタイガーアイにしてみたんだ」
騎士団では虎の目をしたこの石は勝負の守りとしてとても人気があるそうで。デザインは最近の流行りのモチーフがちりばめられていておしゃれだ。
「つ、つけてみてくれないか」
つけてやりたいけど俺こういうの苦手なんだよ…と言いつつブローチを差し出すアストレイ。
胸に着けてみせると、
「似合ってる…よかった、ミーリア綺麗だわ…」
面と向かって言われると恥ずかしい、でも嬉しい。
「アストレイも、今日いつもよりカッコいい」
今度はわたしがなにかプレゼントしなくては。未来の、旦那様に。



#片想い文芸部  

お題/落とし物

異世界もので書いてみたくて書きました。さすがに設定とかいろいろ盛りすぎ感が否めません…。まだまだですね。お読みくださいました方にお礼申し上げます。














いいなと思ったら応援しよう!