【あなたと私/ナナメの関係】インタビュー第3回:みなみさん
あなたと私/ナナメの関係
「あなた」は、いまこの記事を読もうとしてるあなた、
「私」は、インタビューでお話を伺った人です。
この記事がもし知っているひとのインタビューだったら、その人のことをより深く知ることに。なんの前情報もなく記事を読んでくださっていたら…知らない人だけど、たまたまの遭遇・・偶発的な機会。
”ナナメの関係“のひとを知るインタビューシリーズの3人目は、みなみさんです。
みなみさん(仮名)のプロフィール
千葉県在住。看護師。
病院勤務を退職後、自分探しと称し世界各地を旅する。帰国後、看護師に復帰、仕事を続けながら、瞑想やカウンセリングを学ぶ。結婚後は子育てをしながら仕事を続けるが、夫の海外赴任に帯同する為、キャリアを中断する。
駐在員の妻としてアジア、アフリカに15年駐在。駐在中は障害者自立支援、邦人の電話相談、ゴミ拾い啓発活動、日本文化の講義など、ボランティアをする。
本編
—―子どもの頃、好きだったことは何ですか?
友達ともしくは一人でお人形遊びをするのが好きでした。外で動き回るより、家の中で遊ぶのが好きでした。
—―(子どもの頃と全然ちがうとのことですが)今の自分はどんな自分ですか?
今の私は、「自分らしくいること」を意識している自分と言えるでしょうね。子どもの時は周りの人の評価を気にして思うように行動できないことがよくありました。今は人からどう思われるかより、自分がどうありたいかを大切にしています。
仕事のときは周りの意見や会社の方針に従いますが、納得できずモヤモヤすることもあります。そんな時は、自分の気持ちと客観的な視点の両方から理由を見つめ直し、共感できる部分を探しながら行動するようにしています。
—―自分が変わっていったきっかけはありますか?
子どもの時は母に依存していましたね。母の考えに従っていれば良いと、何の疑問も持ちませんでした。
でも、思春期になると母の考えに反発し、母から「与えられる」から、自分で「~したい」に意識が変わりました。具体的には高校生の時に初めて友達と旅行に行ったことがきっかけになり、自分の殻を破ったと思っています。
――納得いかないこと、理不尽なことの具体的なエピソードがありますか?
外科病棟に勤務していた時に末期がん患者さんに対して、嘘をつき続けるという体験をしました。当時は患者本人にはがん告知をしないのが主流でした。(今は患者本人に告知して心理的なケアが行われています)そこで医師の指示のもと、がんの再発で再入院してきた患者さんに真実を隠し、「早く元気になって家に帰りましょうね」と医師、看護師、家族が言葉をかけ続けました。
ある時、私がいつものとおり明らかに病状が悪化している患者さんに対してその言葉をかけた時、患者さんは一言「俺はわかってるんだよ」と。そして私に背中を向け、その肩は震えていました。そのとき私は黙って背中をさする事しかできませんでした。
この時、嘘をつく罪悪感、何も返答出来ない自分の未熟さに失望しました。看護師の仕事は患者に寄り添うことなのに、患者を孤独にしているのではないかと考え苦しみました。
――看護師の仕事を辞めて、バックパッカーになった経緯を教えてください。
病院では生と死が身近にある環境ですが、悲しいことがあっても泣けない自分になっていました。その理由として看護師として働く中で私は自分のマイナス感情に蓋をしているのだと気づきました。
また、死を迎える人にどう向き合えばいいのか?というがん患者さんとの体験から答えを探していましたが、答えが見つかるはずもなくずっとモヤモヤする状況が続いていました。そんなとき、次第に自分自身の生き方を見つめたり、ふと自分の価値観を壊したいと思ったんです。
インドにはマザーテレサの「死を待つ人の家」がありボランティアができると知りました。
「インド旅行は好きになる人と嫌いになる人に分かれる」、当時のインドは汚い、危ないなど…女性が一人旅する国として全く不向きだったのですが、チャレンジしたい思いに駆られたんだと思います。
インドに行ってみてからの話ですが… マザーテレサの施設の中の孤児院でボランティアをしましたが、なんとなく期待外れな思いが芽生え、思い立ってインド一周旅行をしようとその場所を離れました。
インドでは列車やバスの移動が長時間だったので、やることもなく、長時間の移動中はぼーっと外を眺めていました。その時気づいたのは、私は今、日本の世間、職業、人間関係など…自分を取り巻いていたものから解放されたんだと。「今ここに居るのは自分自身だけだ」と、ありのままの自分という状態を実感できたんです。
それ以降は不思議とインドの見え方が変わってきました。インドは汚いと言われているけど「路上で生活している人でも毎日沐浴して掃除している…しかし汚い水であるガンジス川の水は彼らにとって聖水だし、不思議だ…」ともっと深くインドを知りたいと興味が出てきました。
――日本に帰りたいと思ったんですか?
インド旅行中にA型肝炎になってしまいました。この時は帰国して病院で治療を受けたいと思いましたが、発症して寝込んでしまった場所は、日本にたどり着くまで5日ほどかかる僻地でした。そこで看護師時代の知識から、肝炎は劇症化しなければ寝ていれば治ると考え、現地のホテルで1ヶ月、回復するまでひたすら寝ていました(苦笑)
インド旅行が半年経過した頃、当時はSNSがなかったので誰とも連絡が出来ない状況でした。皆私の事なんか忘れてるんじゃない?私がいなくても友達や日本社会には何の影響もないのでは?と急に不安にかられました。そして、私の存在価値って何だろう?「友だちに会いたい!仕事したい!」という思いが強くなり、帰国の途に就きました。
――冒険好きのみなみちゃんだなと思うんですが、怖いものはありますか?
今も海外、国内で一人旅やソロツーリング&キャンプなどチャレンジは続けていますが、たまに日常生活での他人の否定的な評価が怖くなって気にしちゃいます。些細な事なんですが、例えば電車の中で咳が出るのですが、その際にジロっとみられたり、私を避けて車両を移動する人の行動が気になったりしますね(苦笑)
――なにか回避する方法はありますか?
否定的な評価をされた時は、自分が何を気にしてるのか、自分の思いをひとつひとつ言語化して、具体的に何に対してどんな感情を抱いていたのか…その原因を探求します。そして、その分析が終わり、思いの原因に関しての結果がわかると気持ちが落ち着いて、次はどうしようかな?と前に進めるんです。
例えば白髪が増えた時。 「これじゃあおばあちゃんみたい」って思って落胆しますよね。つまり私は老いる事を否定的にとらえていたんです。でも白髪になるのは自然なことで実際におばあちゃんの年齢に近いのかもと気づいた時「まあいいかな」と私自身の気持ちが楽になり、逆に白髪をピンクに染めようかな~と思ったり…不安に心を支配されることを回避できます。
――みなみちゃんにとって外国で過ごすこととは?
海外旅行と海外赴任は少し違っていました。 旅行では良い所が見えて楽しい!と思っていました。でも、同じ国に赴任して住んでみると旅行の時とは違う大変さに直面しました。言葉の壁、住居探し契約、公共料金の支払い、食材探し…など。
一番大変だったのは医療でした。赴任国は開発途上国だったので、西洋医学より祈祷や呪術が優先される地域もあり、看護師の知識が役に立ち家族の健康を守れたことは良かったです。とは言え私は看護師としての日本でのキャリアはあきらめざるを得ませんでした。
当時は、女性が自分のキャリアを考えることは一般的ではなかったと思いますが、駐在先の先輩女性をみて、当たり前に自分のキャリアを考えるきっかけになったと思います。それは赴任先は、夫だけでは人間関係の構築が難しいことも多くあり、妻が夫の職場の人間関係のクッションになることがたびたびあったと夫に言われたことがありました。だから職業としてのキャリアは一時中断したものの、海外駐在の経験は人として無駄なことはひとつもないと考えています。
アフリカのある国の調理法に驚いたことがありました。アフリカはスパイスを輸出していると聞いていたので、料理にはどんなスパイスが使われているのか?辛いのかな?と思いきや、使われている調味料は塩と油だけのとてもシンプル料理でした。
私は赴任先では食べ物をキーワードに深堀りするようにしています。この現地の食べ物を調べることで現地の気候や習慣、歴史からもよく理解できるので本当に興味深いと考えています。
――日常生活での楽しみは何ですか?
最近は、鉄道で北海道や東北を一人旅をしています。旅行前に計画したり、旅行後SNSにアップするのも楽しみになりました。
民族衣装を収集するのが趣味だったので、それを使ってバッグを作ったりTシャツに縫い付けてアレンジしています。
――看護師を志したのには理由があるんですか?
母から勧められたことがきっかけですが、女性が経済的に自立できる職業だと思ったのが一番でした。生涯独身でも離別しても収入を得られますからね。
そして、人の為になる仕事…人に寄り添うことが大切だと思っています。
聞き手・記録
荒木 絢子
インタビュー後記
ご自身の経験を丁寧に捉え、ひとつひとつの経験から生まれた
気づきや新たな問いが次の行動につながるのだな、
ということを感じるお話でした。
”自分の経験が自分を前に進める!”ともいえる強さは、
自分と向き合う習慣の賜物ではないでしょうか。
ご自分の視点を持ってるから、ささやかなおもしろいを発見できる。
発見が幸福であると言い切るみなみちゃんは
日々を楽しむスペシャリストです!
〈おわり〉
最後までお読みいただきありがとうございました。
