住宅地の還元利回り(東京都23区)
還元利回りとは、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率であり、「将来の収益に影響を与える要因の変動予測」と「予測に伴う不確実性」を含むものです。
「将来の収益に影響を与える要因の変動予測」とは、賃貸マンションなどの将来における賃料収入の予測や空室が発生する程度などをいいます。
「予測に伴う不確実性」とは、予測したものから結果が乖離するリスクのことをいい、予測の精度ともいえます。
この不確実性は、対象不動産の特性や市場の状況によって異なるもので、この相違が価格差に表れます。
鑑定評価基準によると、『還元利回りは、地方別、用途的地域別、品等別によって異なる傾向を持つため、対象不動産に係る地域要因及び個別的要因の分析を踏まえつつ適切に求めることが必要である。』としています。
では、還元利回りは地域によって、どの程度の差があるのでしょうか。
令和7年1月1日の公示価格の鑑定評価書から、23区別の還元利回りの平均値を求めてみました。図は住宅地です。

住宅地の還元利回りを見てみると、低い順に「千代田区」3.02%、「港区」3.09%、「中央区」3.14%、「渋谷区」3.16%となっています。
一方、高い順では「葛飾区」3.90%、「足立区」3.79%、「板橋区」3.77%です。
また、住宅地の平均価格が高い順に並べると、「千代田区」3,282,900円/㎡、「港区」2,577,300円/㎡、「中央区」1,701,300円/㎡、「渋谷区」1,653,500円/㎡となっており、還元利回りが低い順と一致しています。
このことから、還元利回りが低い地域は総じて土地の価格が高く、還元利回りが高い地域は土地の価格が低い傾向にあるといえます。
しかし、土地の価格と還元利回りの関係が完全に一致するわけではありません。
例えば、平均価格が低い順に「葛飾区」368,300円/㎡、「足立区」379,500円/㎡、「江戸川区」413,200円/㎡となっており、還元利回りの高い順とは必ずしも一致していません。
では、地域によって異なる還元利回りは不動産の価格にどのように影響するでしょうか。
ここで、純収益が同じアパートを想定します。一方が港区に立地し、もう一方が葛飾区に立地している場合、不動産の価格は、港区 > 葛飾区となります。
つまり、純収益が同じであっても、立地する地域によって不動産価格が異なることが分かります。
還元利回りは不動産鑑定において純収益から不動産価格を求めるための指標であり、必ずしも不動産投資における投資家の期待利回りを示すものではありません。
しかし、不動産投資の参考として、毎期の純収益を得ることを目的に投資をするのであれば、還元利回りが高い方が価格が安くなるため、選択の基準になる場合もあります。
ただし、最初に述べたとおり、還元利回りには純収益の変動予測やそれに伴う不確実性が含まれているため、還元利回りが高いということは、純収益の変動や予測の不確実性も高いということを意味します。
したがって、還元利回りが高いことが常に良いとは限りません。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
※グラフ作成のため使用したデータです。
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